tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ポピュリズム、短期視点、思索の欠如

2016年06月27日 17時10分44秒 | 国際関係
ポピュリズム、短期視点、思索の欠如
 イギリスの国民投票の結果は、世界に大きな影響を与えています。
 多くのニュースは、為替の乱高下や、株の暴落など、経済的な影響を報じ、リーマンショック並みなどといった意見もありますが、そうした当面の動揺は、今日の東京市場の動きなどから見ても、早晩落ち着く所に落ち着いていくのではないでしょうか。

 世界の主要銀行のバランスシートに大穴を空けたリーマンショックとは問題の形の質も違いますし、影響が出るとすれば、今後長い期間かけて徐々に影響が出てくるといった性質のものでしょう。

 主要国が賢明な対応をすれば、マイナスの影響を最低限に抑えられると前回書きましたが、一夜明けて、いくらか冷静になったイギリス自体でも、これで良かったのかといった反省があるようです。

 現地にいるわけではないので、現場の雰囲気はわかりませんが、私共の感慨とすれば、政治の面では「マグナカルタ」、経済活動では「産業革命」、経済学では「国富論」、といった多くの面で世界に先駆け、7つの海を制覇して覇権国として君臨したイギリスです。
 今回の国民投票には、イギリス人の「思索」の結果が反映されると思っていました。しかし結果は予想外の混乱のようです。

 イギリスを買い被り過ぎているといわれればそれまでかもしれませんが、矢張り我々が学んだイギリス的なイギリスであって欲しかったと思うところです。

 しかし、論戦にも「理性」や「思索」よりも「感情」や「即物的」な表現が多く、歴史の流れの中での長期的、基本的な問題意識よりも、短期的なポピュリズムに毒されたようなものが多かったように感じられました。
 伯仲した賛否は国論を二分し、今後の融和が案じられます。

 政治は専門ではありませんが、経営・経済で見れば、この所の流れは明らかに短期的な視点中心になりつつあります。「時価総額最大」といった経営目標は、正に短期的視点、ポピュリズムの典型ですし、少しでも高い経済成長率達成のためなら「将来を犠牲にしても」といった近視眼的経済政策は、正に政治のポピュリズムと裏腹でしょう。

 アメリカもかつての戦後世界の長期安定を目指した頃とは大きく変わったようです。アメリカ大統領選の行方も解りませんが、世界の主要国が、経済だけでなく、政治においても短期的視点で、深い思索を欠くポピュリズム主流のようなことになると、これは世界の危機ではないかとすら思われるところです。
 さて、日本はどうなのでしょうか。

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