tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ギリシャ問題の現実とアメリカ

2015年07月21日 11時24分36秒 | 経済
ギリシャ問題の現実とアメリカ
 ギリシャ問題も、当面落ち着いたようです。本当に落ち着くかどうかは、ギリシャが緊縮政策をきちんと取れることが分かった時でしょう。

 チプラス首相のやったことはよく言う「マッチ・ポンプ」で、緊縮を強いるECBやユーロ圏財務相会合に反対し、緊縮政策反対の国民投票をやって圧勝しました。国民は当然緊縮などはやらなくて済むようにと「反対」の投票をしたわけですが、「圧勝」を掲げて交渉にかかったチプラス氏は、結局「緊縮」を飲まされ、国民に「ヤッパリ緊縮は必要」と説得しているわけです。

 ユーロ圏サイドも一枚岩ではない様で、厳格な対応のドイツ、そんなにきつくしなくてもというフランス、それに大西洋の向こうから、アメリカが、「あんまり厳しくしない方がいいですよ」と口出しといった状況です。

 先に「経済にタダの昼飯はない」と書きましたが、このプロセスの中で感じたのは黒字国ドイツは厳格、対応の甘いフランス、アメリカは経常収支赤字国という色分けです。
 つまり稼ぎ以上の生活をして、その分「ツケ」がたまってしまって返済できないギリシャに対し、ギリシャほど膨大ではないが、それぞれつけをためているフランスやアメリカは「同情的」という傾向です。

 そしてこの問題に関しては、2つの問題認識の分野があるようです。
 1つは、あまり厳しくして、ギリシャをロシヤや中国サイドに追いやるのは得策ではないという、最近見えてきた新しい東西対立の構図の中での戦略的な政策です。
 そしてもう1つは、純粋に経済的なもので、こうした赤字国の救済や改善は「金融政策で可能」なので、そちらの方法を考えるべきだ、というものです。

 ロシアが石油のパイプラインを材料にギリシャに接近するという見方はよく言われますし、中国が一帯一路政策の中でアテネを目指すなどという意見も聞かれます。
 チプラス氏は「ギリシャはヨーロッパから離れない」と言っていましたが、これは、政治・経済の意味なのか、地理的な位置の意味なのか解りません。

 かつて問題にされたユーロ圏の赤字国、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、イタリアは経常黒字を取り戻し、経済成長もプラスに転じつつあるのですから、もうひと頑張りなのでしょうが、矢張り、分不相応な支出による借金の「ツケ」は何とか自力で返す努力をするという意思があって、はじめて援助も期待できるというのが常識でしょう。
 ということで、次回は「金融政策で解決できる」という見方を検討したいと思います。


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