tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

長期的視点の必要性

2011年10月12日 12時07分51秒 | 経済
長期的視点の必要性
 日本的経営の原点は2つあって、
・ひとつは、人間中心の経営
・もう1つは、長期視点に立った経営
といわれています。

 これらはいわば当たり前の事で、企業は「人間と資本」で構成されていますが、もともと人間が人間のために作ったものですから、おカネ中心ではありえないでしょう。
 また、企業は、人間の役に立つためには、ゴーイングコンサーンとして長期に安定して存在しなければなりませんから、長期的視点に立つのは当然でしょう。

 この2つは、経営だけでなく、人間の社会制度のいろいろな面において、大変重要だと思われます。特に最近の世界各国の経済の様相を見ますと、一国経済を見るのにも、もっともっと人間中心で長期的な見方をすれば、今起こっているような混乱を未然に防ぐことが出来たのではないかと思われるようなことが少なくありません。

 ところがこの所の経済は、ますますマネー中心になり、近視眼的になっているようです。格付け会社にしてからが、破綻が確実になってから、格付けを下げたりしていますが、本当に役に立つ仕事をしようと思ったら、例えば、ギリシャがユーロに加盟した当初から、ドラクマとユーロの交換をきちんとやらないと、ギリシャは高物価、高価格の国になって、国際競争力上やれなくなる可能性が出るとか、国際収支や財政が不健全になる恐れが大きいとか、長期的に見て危険をはらむ問題を指摘し、警告の意味も含めた格付けをしてしかるべきではないでしょうか。

 アメリカにしても、ニクソンショック以来の経常赤字の連続の中で、何回もの財政健全化策も成功せず、いつかは「ドル暴落」といわれながら、その「いつか」が来るまでは大丈夫といった、極めて短期的な見方で、彌縫策に専念するといったことが続いてきたわけで、こうした短期的な視点を、トリプルAという格付けが支えてきていたということでしょう。

 今度のG20でも、ユーロ圏の金融支援システムの増強の問題が中心のようですが、これもまた、極めて短期的な視点のもので、本当の解決策は、長期的視点を持って、想定される非支援国がどうすれば支援を受けなくて済むようになれるのか、何年かけてそれを実現するのか、といった問題をきちんとしないと、何時までたっても同じことの繰り返しでしょう。

 人類は未だにそんなに愚かなのでしょうか。今後のG20や首脳会議においても、数々の失敗の経験を糧にした、長期的視点に立つ本質的論議を、短期的彌縫策の一方で、確りと進めて欲しいものです。


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