tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

米中関係の中で問われる日本の外交力

2021年11月18日 17時12分11秒 | 文化社会
米中首脳会談で当面の両国のスタンスが見えてきました。
 
双方とも礼儀正しく、バイデン大統領は独特の柔和な笑顔で、習近平主席は、かつて副大統領だったバイデン大統領を「老朋友」と呼び親しさを感じさせました。
 
 経済規模で世界の1、2位の大国を率いるお二人ですから、無駄なトラブルは避けたいという気持は、多分共通なのだろうという感じの双方の表情で、見ていても、安心感の様なものが感じられるシーンでしたが、話し合いそのものはどうなるのかなと思っていました。

詰まる所は気候変動などの共通する問題については協力という点では一致するのですが、南シナ海、東シナ海、台湾問題といった領土問題になりますと 最後まで平行線という事だってようです。

アメリカは3億5千万の人口を抱え、トランプ後遺症(国家の分断状況)の中で、何とか国論を収斂させ、世界をリードする立場を守るという難しい事情があります。

一方中国は14億という巨大な多民族、多言語の人口、宗教問題も抱え、更にはかつての内戦の相手である台湾との立場の相違もあり、国のまとまりを経済成長と一党支配という政治体制によって確保しようという、これも大変難しい事情があります。

中國はいまだ発展途上の国であり、自国の発展を最優先に考える国でしょう。アメリカは成長を遂げた大国で、世界のリーダーの役割を課せられた国でしょう。

そしてともに、国を纏めるためには、政府は国民の意思を代表し、それが国際的にも認められ、多くの国から支持を得ているという状況を作り出さなければならないでしょう。

そうした狭間で、日本は、戦後復興も独立も、更に防衛もアメリカに依存するという面が大きくなり、外交力はアメリカに頼ることが通常になって来たようです。

既に、世界はハードパワーよりもソフトパワーの時代に入っているのですが、この所の日本は、(平和憲法を掲げるのだから?)ソフトパワーでもアメリカ依存でいいのだ、といった残念な状態が通常化しているようです。

そうした関係から、この所は、残念ながら、アメリカにとって、日本ほど与し易い国はないといったことになっているように感じられます。

偶々、今回の日米2国間の貿易交渉の問題でも、アメリカの提案する新しい日米通商協力の枠組みの中で、従来日本側が最も重視していたアメリカの日本車への関税問題などは消え、日本の希望であるアメリカのTPP加盟は議論の外になったようです。

振り返って見れば、レーガン=中曽根の「ロン・ヤス」の日米蜜月と言われたのさ中に、アメリカは「プラザ合意」を仕掛け、大幅円高による日本経済の追い落としを、30年間もほとんど成長しない日本経済実現という形で成功させています。 
 
矢張り覇権国アメリカは、世界のどの国に対しても、極めて厳しい国だという事ではないでしょうか。

勿論対立する事が良いと言っているのではありません。
日本は、米中首脳二人が共にそう思っているのであれば、その通り「無駄なトラブルは避けよう」と米中双方に常に働きかけることを徹底して行うべき立場にあるのでしょう。

そして、そうした行動が説得力を持って出来るように、世界から信頼される国としての行動を常に堅持して、そうした行動力を基盤に、独自の外交力を身に付けて行かなければならないのではないでしょうか。

アメリカの驥尾に付して、それで何とかなるかなどと考えていて、なんとなかる時代では、もう既にないのですから。

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