tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

本質論議を避ける?G20

2013年07月21日 22時07分57秒 | 経済
本質論議を避ける?G20
 アメリカの出口戦略に振り回される世界経済を何とかしようというのが今回のG20主要議題ではなかったのでしょうか。しかし、報告されている内容では、出口戦略についてのコミュニケーションを良くして、混乱が起きないようにしようといった程度の、多分ほとんど役に立たない論議で、結局は終わったようです。

 世界主要国の財政・金融のリーダーたちが集まって、こんなことを繰り返しているだけでいいのかと思う人は多いのでないでしょうか。 こんなことをいくら繰り返しても、世界の不安定な金融問題はとても解決には近づかないでしょう。

 例え、コミュニケーションを良くしたところで、アメリカが金融を引き締めれば、世界中に溢れ出しているマネーが引き上げられることに変わりはありません。例えいつ引き締めに転じるか、どんな手順でやるかが解っても、それではと簡単に準備できるような情勢でないことは明らかです。前広に発表すれば、対策の準備が整うよりも、引締めた時の影響がより深刻になるような結果が目に見えるようです。

 各国がアメリカの引締めが延びたと安心するだけでなく、今日、今から、いずれ取られる引き締めに備える行動がとれるかというと、それは大変難しいでしょう。巨大なヘッジファンドをはじめ、世界の国際投機資本は、金融環境の変化をレバレッジによって出来るだけ大きくすることで彼らの活躍の場を作り出すのですから、大規模な資金の移動が、平穏のうちに終わるなどはとても望めないでしょう。

 もともと、金融を緩めればパニックは起きないというFRBの信念で行われたアメリカの超金融緩和です。ドルは基軸通貨ですから、それは当然世界中に影響を与えます。FRBにしたところで、それは解っているはずですから、出口戦略がアメリカの都合だけでは出来ないということも解っていたはずです。

 それを承知でアメリカは、世界中が同じような経済活動をするように世界の経済・金融システムの作り変えを進めて生きているのですから、否応なしに世界経済は同じ動きになり、アメリカの金融引き締めが、世界に影響を与えることは当然で、根本原因はアメリカの世界経済戦略の作り方にあることは誰の目にも明らかです。

 G20は本当に、アメリカが出口戦略を少し延ばしたり、コミュニケーションを良くすれば、問題が解決できると思っているのでしょうか。 
 はっきり言ってしまえば、アメリカの赤字垂れ流しの経済政策に根本原因があることは知りつつも、アメリカにそれが言えないという所に問題の本質があるのでしょう。

 アメリカ経済の健全化が進まない限り、問題の本質的な解決はないのですから、解決にはアメリカが基軸通貨国の義務と責任を果たすように考えを改めるか、G20がそれを指摘してアメリカに襟を正させるかしか解決への道はありません。

 その辺りが解らないというのならこれは最悪で、解っていてやらないのなら、まさに最悪以下でしょう。この問題はまた改めて論じたいと思います。


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