tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

10銭の値動きでキャピタルゲイン!?

2014年07月23日 11時11分19秒 | 経済
10銭の値動きでキャピタルゲイン!?
 急に株式欄の表示が小数点以下1桁までになつて吃驚しました。
 最近値動きの少ない東京市場です。値動きがなければ株屋は仕事になりません。以前もこのブログで書きましたが、
 大工殺すにゃ 刃物は要らぬ 雨の三日も 降ればいい (江戸都都逸)
 噺家殺すにゃ 刃物は要らぬ 欠伸ひとつで 即死する  (某落語家)
 株や殺すにゃ 刃物は要らぬ 寄り引け同値で ザラバなし (某相場師)
などと言われるのは昔からです。
 
 聞けば10銭単位にするのは、取引を活発にしたいからだという事だそうです。
上の都都逸に従えば、値動きがなければ仕事になりませんから、値動きがあるようにしたい、1円の値動きがなければ、10銭幅にすれば値動きがあるだろう、10銭幅でも動きがないより良い、という事でしょうか。

 今はプロのトレーダーはコンピュータにソフトを組み込んで、売買はコンピュータがやるのだそうで、コンピュータなら、JRのスイカと切符の運賃の違いでも明らかですが、端数処理に特にコストがかかるわけではありません。
 巧く行けば、同じ1万円儲けるのに、10銭幅なら1円幅の10倍の株を動かさなければならないので、株の売買高は10倍に増えて、万々歳!なんてことも有り得るのでしょうか。

 しかし考えてみれば、こういう取引をする人は、売買する株を発行している企業の役に立つかどうかなどは全く念頭になく(コンピュータだから当然)、ただ自分のファンドのキャピタルゲインが極大になることしか眼中にないでしょう。
 一般投資家にはほとんど関係がないことだという意見も多いようです。

 株式市場というのは、本来、その国の企業の活動を支援し、実体経済の活動を活発化するために作られたものでしょう。投機資本が利益を得てファンドマネジャーが億万長者になり、庶民が貧しくなるようなマネーゲーム、マネー資本主義(最近のTV番組でも取り上げられていますね)のお先棒を担ぐためにあるのではありません。

 サブプライム・リーマンショック以来、マネー資本主義の行き過ぎが反省される中で、一般投資家はさておき、付加価値創出に関係ないキャピタルゲインだけを純粋に求める投機資本の活動に期待するような政策には何となく違和感を感じるのは、私だけでしょうか。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿