tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

蓄積社会の銀行の機能:「預金通帳有料論」

2020年08月24日 15時59分43秒 | 文化社会
蓄積社会の銀行の機能
 前回は、みずほ銀行の「紙の通帳の有料化」の問題を、銀行の経営環境という面から見てみました。
 今回は、銀行を利用する人の立場から考えてみましょう。

 今の日本は蓄積社会といって大きな間違いはないでしょう。
 もちろん「とんでもない。住んでるのはアパートだし、持ってる現金は千円札中心、銀行残高は普通預金がちょこっと」という方もおられるでしょう。

 残念ながら日本は格差社会化が進行中です。30年近い平成不況の中で、就職氷河期は、バブル崩壊後とリーマンショック後の二度にわたり、その都度、社会人の入り口で、大きく躓き、そこからの立ち直りは容易でなく、世にいう80-50問題も存在します。

 しかし全体的に言えば、日本の個人貯蓄は1800兆円を超え、経常収支も万年黒字で、世界トップクラスの資産蓄積国です。
 政府の政策も、この全体像を前提に置いているようで、格差社会化の是正にはあまり熱心でないようです。

  コロナ対策の1人10万円も、それを生活に使った人は少なく大部分は振り込まれた銀行の預金残高になっているようです。
 
 ところで、昔から蓄積資産をどう管理するかという問題があります。守銭奴の寓話では、稼いだ金塊を壺に入れて縁の下に埋めて、その上の部屋で「俺は金持ちだ」とニコニコ暮らしていたが、実はとっくに泥棒が掘り出して壺は空だった」とのことです。
では、安全な隠し場所は何処でしょうか。

 企業の場合は別として、個人の場合は、タンス預金は家事や水害が心配、丈夫な金庫に入れても強盗が心配、安全なのは、銀行などに預けることでしょうが、国債、投資信託、株式、NISA、iDeCo 等などいろいろありますが、手数料も、管理料もなくて、預けた分は間違いなく満額引き出し可能というのは、よく考えると銀行預金だけです。しかも、普通預金はいつでも引き出せるのです。

 従来は、その上に利息が付いて増えていくというのですから、こんな巧い方法は他にありません。銀行は実はそれだけの利便性を提供して呉れていたのです。

 それに利息まで付いたというのは、おカネというものが貴くて、利息を払っても借りたい人が大勢いたからです。

 今の時代は、おカネは印刷できていくらでも増やせます。それならと政府も中央銀行もどんどんおカネを供給する( MMT信奉者になって)ようになり、おカネの借り手もそれ程いませんし、貸しても大した利息は取れませんから、預金にも金利を付けないゼロ金利になります。

そうなると、本来に戻って、利息は付けないが、おカネを安全に預かるだけでも大変なサービスという事になるのでしょう。
そのうえ、明細は全部ネットに載せておきますからそれを見ていただければ、お取引内容はすべて正確に解ります、それをご覧ください、紙の通帳がご入要なら、すみませんが有料ですとなります。

言われてみれば、それもそうだという事になるのではないでしょうか。
如何でしょうかご納得いただけますでしょうか。
(そこで問題になるのは、銀行預金の利便性は解りますが、それなら銀行は何で儲けるのですか、という事になるのでしょう。)

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