アセアンの努力に期待する:アジア発、世界を変えるか
アセアン代表が、今日にもミャンマーを訪れ、軍と民主派勢力との対話を仲介する特使派遣の実現について、ミャンマーの軍側と協議する見通しというニュースがはいってきました。
4月に、インドネシアのジャカルタで開催されたアセアンの会合では、ミャンマー問題が議題となり、次の5項目も決議されています。(Bangkok Post)
・ミャンマーにおける暴力行為の即時停止
・全関係組織による全国民の利害にたつ平和的な解決探求のための建設的対話
・アセアン事務局長中心のアセアン主導による仲介
・アセアンAHAセンターによる人道的援助
・ミャンマーにおける諸種の活動の現実確認のための特別使節団、代表団の派遣
この会議には軍事政権の代表も参加しましたが、正式のメンバーとしては認められず、
今回は、アセアンとしてこの決議に基づき事態の前進を図るための行動の開始という事でしょう。
事の起こりは、アセアンのメンバーであるミャンマーで、軍事政権がクーデターを起こし、政権を奪取するという事態が発生し、クーデターに反対し、民主化を擁護しようとする国民を銃で威嚇し最終的には銃弾の標的にし、100人近い死者を出している事です。
アセアン諸国の多くは、第二次大戦後、苦難の末、欧米の植民地からの独立を果たし、それぞれ立派な民主主義国として社会・経済の急速な発展を遂げた国々です。
そうした歴史を持つアセアン諸国が、更なる発展のための地域的国際組織としてのアセアンを作ってきたのです。
こうして共に社会・経済の発展を促進し、今や21世紀はアジアの世紀という言葉がまさに現実となりつつあるこの時期に、共に平和な民主主義社会建設を目指す仲間の中に、それとは全く相容れない軍政の国が生まれる事は、アセアンとしては到底認められないことでしょう。
世界の国の中には、国内で何が起きようと、外国の感知するところではない、余計な口出しはすべて「内政干渉」であると言い切る国も、少なからず存在する現在の国際関係に中で、アセアンは、加盟国ミャンマーのクーデターによる軍の政権掌握、さらに自国民を殺戮してまで政権を維持しようとする独裁的行動を認めるべきではないとし、上記5項目の様な決定をしたことは、素晴らしい事ではないでしょうか。
平たく言ってしまえば、これは現在の国連にも出来ない事でしょう。国連憲章があり、国連人権理事会もありながら、加盟国の国内問題には、どうにも手が出せないのが現実でしょう。
今、アセアンは、国連を超えて、加盟国に、本気で積極的に国政の正常化を働きかけえようとしているのです。
これが成功すれば、国連を含め現在の国際組織が、より良き人類社会の実現のために、そのソフトパワーによって、問題解決をすることの可能性が、大きく広がってくることも考えらえます。
そう考えるとき、日本政府にも、口癖の「重大な関心を持って状況を注視する」だけではない、陰に陽に出来るだけのことは確りやるという、近隣国、アジアの一員としての本気での努力が望まれるような気がするところです。