tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「円安と経済政策:忘れられた賃金」雑感

2023年08月28日 14時16分29秒 | 経済
前3回の上の表題のテーマで、為替レートと物価と賃金の問題は、日本においては、政府や日銀も、アカデミアも余り的確に整理されていないのではないかという感じを強くしていました。

最初は、古い話ですが、プラザ合意による円高の際、日銀は、円高は良い事と評価していた事に疑問を持ちました。しかし円高はデフレを招き日本経済を長期不況にしました。
これは、白川総裁の末期までつづき、白川総裁は2012年ごろ気が付かれ『1%インフレ』を提起しています。

その間には、2008年のリーマンショックがありました。そしてバーナンキさんが「世界恐慌は金融緩和で救える」との信念のもとにゼロ金利政策を取りました。
世界恐慌にはつながりませんでしたが。ドルは大幅安になり、日本は円レート75円の円高で、日本経済は経済は再起不能になりました。

アメリカは「金利政策は、為替政策ではない」という意見のようですが、現実は最強の為替政策になっています。

白川さんから替わった黒田日銀総裁は、アメリカに倣ってゼロ金利を導入、円安を実現して日本経済を再生させる事を安倍さんに託されたのでしょう。

黒田バズーカと言われる異次元金融緩和で$1=120円の円安が実現します。政府も日銀も、円安になればすぐにインフレになると考えていたようで、2%インフレターゲットは2年ぐらいで達成と考えていたようです。

所がインフレにはならずアベノミクスは前提条件が崩れ、財政偏重で世界一の借金財政で支えても日本経済はゼロ成長を続け、今に至っています。

そうした中で、昨年から国際資源価格などの高騰で、世界的にインフレが加速します。主要国では10%前後に達する状態になりました。

その中で日本は3%台のインフレと低インフレですが、日銀はこのインフレは、2%のインフレターゲットとは違うとゼロ金利を変えていません。

一方、主要国は、アメリカ主導で、インフレを抑えようと軒並み金利を引き上げ、おかげで日本は円安が急激に進行、インフレが収まりません。

賃上げと円安の関係の把握が不十分の日本は実質賃金の上昇が長期に亘ってマイナスですが、政府、日銀も「先行きを注視」するだけです。

ここ3回で、何故こんなことになったか、どうすべきだったのか、これからどうすべきかのヒントを拾ってきたつもりですが、少しは役に立つのではないかと思っているところです。

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