tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

企業に求めたい国内労働力の活用

2013年07月31日 12時03分56秒 | 労働
企業に求めたい国内労働力の活用
 昨日総務省から発表された完全失業率は3.9パーセントになり2008年リーマンンショック以前に戻りました。雇用の質の問題は残りますが経済社会は、徐々に正常化に向かって動いているようです。

 アベノミクスに絡んで、政府は企業に賃上げを求めてみたりし、経済評論家などの中にも、円安による日本経済の改善が賃金に反映されていないと指摘する人もいます。
 本来賃金の上昇は、経済成長の成果の配分ですから円レートが正常化し、経済が成長を取り戻し、その成果が賃金決定に反映するのは来年以降というのが正常な姿でしょう。

 賃金の問題はさておき、いま日本経済(労働経済)に課せられている問題は、賃金上昇の前に「雇用の正常化」があるのではないでしょうか。賃金は雇用にくっついたものです。雇用が正常化しなければ、賃金の正常化も、賃上げもちぐはぐなものになるでしょう。

 その意味で、いま日本の企業労使に求めるべきは、まず、雇用の本格的な正常化ではないでしょうか。その中身は、①、非正規雇用の割合の20パーセント程度まで引き下げ、②賃上げより雇用拡大を優先する取り組みの2つで、これが出来て、はじめて長期に亘る円高で歪みに歪んだ日本経済社会の正常化が緒に就くのでしょう。

 おりしもアジア諸国での低賃金若年労働力の枯渇、インフレ高進、賃金上昇、コスト競争力の低下などが言われ始めました。高度成長の真っただ中からその後半期にかけて起こるこうした現象は(わが国でも経験がありますが)、その国の労使関係如何にもよりますが、容易に解決されない問題です。
 すでに書かせて頂きましたように、低賃金を求めての海外進出は、再検討を要する問題になりつつあります。

 それに引き換え、日本の労働力は、その労使関係の歴史から、世界で最も安定した「生産性・賃金コスト」のバランスを維持できるという、世界のどこの国でも真似のできない素晴らしい特徴を持っているのではないでしょうか。

 勤勉で争いを好まず、高い素質と能力を持つ日本の労働力を本格的に活用することが、日本経済社会再建の王道であり、近道でもあるという認識を、日本企業に改めて確認し、確信してほしいと思う所です。

 ところで、その際、最も大事なのが、企業が最も危惧する「再び円高に戻らないか?」という懸念の払拭でしょう。
 この問題は、政府・日銀がコミットしなければどうにもならない問題です。政府・日銀は、この問題で企業や国民に安心を与えることが出来なければ、アベノミクスも画餅に帰すことを肝に銘じ、明確な意思表示をしてほしいものです。


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