tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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日銀は何を目指しているのか?

2017年09月22日 11時59分38秒 | 経済
日銀は何を目指しているのか?
 9月のFOMCでアメリカの中央銀行であるFRBは、政策金利は慎重(据え置き)でしたが、リーマンショック以来の金融緩和で4.5兆ドルまで積みあがった手持ちアメリカ国債の残高を、今後徐々に減らしてく方向を明確にしたとのことです。

 すでに一昨年来、金融緩和の副作用や、景気過熱の予防なども視野に、政策金利の漸進的な引き上げも含め、テーパリング(金融緩和から緩やかな引締め)へのアプローチを進め来ているアメリカですが、今回のFRBのバランスシート正常化プログラム(資産縮小:買い上げてきた国債残高を次第に減らしていく)を、いよいよ来月から開始するとしています。
 これで、金融の質的(金利)、量的(通貨供給)の両面の政策が揃い、アメリカの金融正常化は、いわば「仕上げ」の段階に入ったという事でしょう。

 過去2年にかけて超金融緩和の見直しを進めてきているアメリカですが、イエレン議長は極めて慎重で、実体経済、特に雇用については細心の気配りをしながらも、経済の健全化を目指したテーパリングには一貫した態度をとってきたことが印象的です。

 前回のFOMCでは、トランプ政権の政策の不透明さから具体策は打ち出せなかった様子でしたが、今回は、景気の現状を受け、ハリケーンの影響は一時的と明確に指摘し、量的緩和の転換を明確に打ち出したのは、アメリカ経済を健全なものにしようという強い意志の表れのように感じます。

 注目される1つの点は、インフレ目標2%に達しない状況についての説明です。イエレン議長自身が、「なぜこんなに物価が上がらないのか不思議」と記者会見で言っています。そして、あくまで2%を目標にしながら、今後の金融政策は考えると付け加えていますが、日本でも上がらない物価、新しい経済学が必要でしょう( これは私見です)。

 以上はアメリカの情勢ですが、日本ではすでに日銀が、マイナス金利を含めた異次元緩和の継続を決めています。
 このブログでは「日本には 2%インフレ目標は不適切」と指摘していますが、この所、経済情勢が改善、雇用の逼迫度にも拘らず、日銀はひたすら異次元緩和継続です。

 FRBが4,5兆ドルの保有国債の縮小を来月から始めるとの事ですが、日銀の国債保有残高は約440兆円、ドルにして($1=¥110)4兆ドルです。
 ちなみに、アメリカのGDPは18.5兆ドル、日本のGDPは4.9兆ドルです。日銀の国債保有残高の相対的な巨大さが目立ちます。

 日本経済はアメリカより健全だと私は思っていますが、この面(国債依存と金融政策)では、日本経済の健全化のためにやることはまだまだ多いようです。

 日銀の黒田総裁は、相変わらずにこにこしながら、異次元金融緩和の継続を当然のことのように言っていますが、 政府の安易な国債依存への傾斜、 金融機関の経営の不健全化、 一部にみられるバブル状況、家計における 低金利の罠など、社会にひずみをもたらす副作用が多発する状態です。

 黒田総裁のあの笑顔の裏に何があるのか、それともないのか、知りたいのは、私だけではないのではないでしょうか。

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