tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

変動相場制の帰結

2013年07月27日 12時02分26秒 | 経済
変動相場制の帰結
 いつも書いていることですが、家庭でも国でも赤字の場合は借金しなければなりません。アメリカも毎年赤字ですから毎年借金をしなければなりません。
 一番簡単な方法は、アメリカ国債を外国に買ってもらうことで、日本が一番買っていたり、中国が一番買っていたりということでアメリカはやって来ました。

 世界全体の貿易はゼロサムですから当然赤字の国があれば、黒字の国があります。アメリカが考えついたのは、黒字の国は使い道がないわけですからその分はアメリカが借りて使って、アメリカ経済は赤字を気にせず好況を維持していけば、日本や中国はアメリカへの輸出を伸ばして好況になる、みんな喜ぶ、という図柄だったようです。

 そのためにアメリカは、世界中が金融自由化をし、資金状態が一目瞭然になるよう時価会計を国際標準にし、実体経済を長い目で見るのではなく短期のマネーの移動中心に経済が動くように、マネー資本主義を一般化し、金融工学を開発して、マネーゲームを流行させ、アメリカへの資金の還流をしやすくしたようです。

 しかし、そんなことが永久に続くことは矢張り不可能です。最終的には国内でバブルをやり、その中で生じた不良債権を証券化して(サブプライムローンの証券化)世界に売ったりしましたが、結局は破綻し、アメリカの証券は信用を失い、世界はアメリカへの資金供給に二の足を踏むようになりました。

 ドルの切り下げ戦略も、中国が拒否し、ヨーロッパはユーロ圏内の赤字で手いっぱいとなり、とばっちりでフラン高になったスイスも堪らずユーロリンクし、とうとう日本もアメリカ流金融緩和策で円安を実現し、アメリカの戦略も行き詰まることになりました。
 これに代わる戦略として考えたらしいTPPもそう巧くはいかないでしょう。

 本来なら、世界不況をもたらすような状況ですが、バーナンキ流金融緩和というウルトラCで当面を糊塗しましたが、今その出口戦略で行き詰まっています。
 本来アメリカへの資金還流の手段として考えられたマネー資本主義や金融工学も、鬼子となって、世界不況のキッカケになりかねません。

 ここまでこじれてしまった世界経済の歪んだ依存関係をいかにしてまともなものに戻していくかが、アメリカに、そしてG20に課せられた課題というのが本当の所ではないでしょうか。

 問題解決に必要な条件は、沢山あるでしょうが、最も基本的なものを2つ上げれば、
① 基軸通貨国アメリカが、赤字の垂れ流しを止めること
② 経済変動を殊更に大きくするマネーゲームを制限すること
の2つではないかと考えます。
 この2つともアメリカの経済政策が原点ですから、アメリカが事態の本質的解決(経常赤字国からの脱出)に本気にならない限り何をやっても問題の繰り返しか先延ばしでしょう。


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