tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

為替政策: 行き過ぎた自由の再考(3)

2011年09月07日 16時26分19秒 | 経済
為替政策: 行き過ぎた自由の再考(3)
 スイスはいよいよ、「無制限な為替介入」で過度なスイスフラン高を防ぐという姿勢を明確にしました。流石、やるときにはやるな、というのが実感です。よほどの覚悟と思います。
 国際投機資本と真っ向からの対立です。国際投機資本は、一瞬たじろぎ、スイスフランにつれて思惑で、77円台の円安になっています。

 もちろんこのままでは先行きは不透明です。しかしこれは、世界の実体経済を、マネー・キャピタリズムの汚染 から立ち直らせるためのきっかけを作りうるチャンスではないでしょうか。
 もし日本の政権と金融当局が本気で世界経済の先行きの健全化、日本経済のサバイバルを考えていたら、ここで何もしないのは、不作為の罪を犯すものと考えるべきでしょう。

  新たに就任した安住財務相は、報道によれば、「前財務相(現首相)の方針に沿って、G20の場でも、超円高の脱出について、積極的に発言をしていきたい」といっているようです。

 ならば、このチャンスに、スイスに続いて、超円高脱出の強力な意思表示をし、「それが一時の苦しみはあっても、世界経済の流れを実体経済中心に戻し 、少し長期に見れば、世界経済を救うことになる」と、明確に実体経済中心の経済思想を打ち出し、行き詰まりつつあるマネー・キャピタリズムに引導を渡すべく、スイスと共に対決姿勢を明らかにすべきではないでしょうか。

 スイスは金融取引については、世界で最も先進国で、あらゆる経験とノーハウを蓄積している国でしょう。日本は、国際的な金融取引では、公的年金の資金運用にみるように、損ばかりしている国で、得意技は「ものづくり」ですが、スイスは、金融立国の側面も持つ国です。そのスイスにしてからが、というところが、本気で日本が考えなければならないところでしょう。

 では、いかなる手を考え、いかなる作戦で、政策を展開していくべきなのか。政府、日銀にも、アカデミアにも、優れた経済学者はいくらでもいるのでしょうから、tnlaboごときが余計なことをいう必要な無いのかもしれませんが、これも年寄りの老婆心ならぬ老爺心、矢張りヒントぐらいはと考えます。
 
 現に、円高で切羽詰まった日本が、為替介入しても、何処も協調介入などしてくれる様子はみられません。「何だかんだいっても、日本は黒字国で、今回の震災にも耐えて、抜群のパフォーマンスを示しているではないか」 といったところに落ち着いてしまうのが落ちでしょうか。

 そうならないために、どう考え、いかなる政策を採るか、tnlaboも考えたいと思いますが、GDPを増やすことの無いキャピタルゲイン獲得に狂奔することは(日本にもFXにうつつを抜かす若者も多いようです)良くないと思っている政策担当者、金融担当者、経済・金融学者は、この際、脳味噌を搾れるだけ搾るべきではないでしょうか。


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