インフレを正確に理解しましょう
最近インフレについて様々な議論があります。
・政府・日銀が2パーセントインフレターゲットを言い出し、何か健全な経済というのは2パーセントのインフレを伴うものという意識が蔓延。
・円安になったのは良いが、輸入品の値上がりでインフレになり、一方賃金は上がらないのでこれは悪いインフレである。
・賃金も上がって、インフレ2パーセントというのなら、これは良いインフレである。
・原油や食料価格が世界的に上がってガソリンや毎日の食料品も上がっている、賃金が上がらなければ、景気が回復しても、生活は苦しくなるばかりだ。
・消費税が上がれば、さらに物価が上がり生活を圧迫する。消費税10パーセントになればさらに大変になる。
などなど・・・・。
「良いインフレ」「悪いインフレ」などという奇妙な表現も加わって、様々なインフレ論が飛び交うという状態は、皆んながインフレに関心を持つという点では良いのかもしれませんが、インフレについての知識が正確に整理されないと、無駄な論議と混乱だけになる可能性もあります。
日本経済の現状は、デフレからインフレへの過渡期のようなところにありますが、まだデフレの残っている部分もあり、物価上昇の原因にも、様々なものが混在しつつ、少しづつインフレ率が上がりそう、といったところでしょう。
そんな時期ですから、今の多少の物価上昇、デフレからインフレへの転換については、矢張り、インフレについての正確な分析と理解をしたうえで、きちんと整理し、何がよくて何が悪いのか、何は対策があり、何は対策がない(インフレを認める)のか、だからこれからどうなるか、どうすべきかを誤りなく判断していくことが最も大切なように思われます。
そんな認識を持ちながら、錯綜するインフレ論議を少し整理しておきたいと思います。
先ず、何故日本経済がデフレからインフレに転換してきたのかです。
これはもうとうに皆様ごご理解の事と思いますが、最大の理由は、昨年4月の$1=¥80から$1=¥100への20円幅の円安です。
もともと日本が世界で唯一、大変長期のデフレを経験した原因は「円高」です。プラザ合意で1ドルが240円から120円になり、日本は物価も賃金も世界一高い国になりました。世界経済はグローバル化が進んできていますから、日本には世界中から安い品物が入ってくるようになり、スーパーもコンビニも、量販店も100円ショップも、「メイドイン途上国」の商品がどんどん増えていきました。
日本の企業も、潰れるわけにはいきませんからあらゆる合理化をしてさらに賃金を下げ、人減らしをし、減らせないところは正規社員を非正規に切り替えて平均賃金を下げ、価格を下げて対抗することになります。それでも2倍になったコストも物価も容易には下がりません。これが長期デフレの実態です。
何とかそろそろ国際価格並みにまで下げられたかなという迄に20年近くかかりました。しかし一息ついた「いざなぎ越え」もつかの間、今度はリーマンショックで$1=¥120が$1=¥80円に、またサバイバルの努力を続け(長期不況の続き)、「$1=¥70~50になって日本は潰れる」などというエコノミストもいる中で、やっと日銀の政策転換、昨年4月、20円幅の円安実現で、デフレ脱出となったのです。
実のところは、まだ国際価格より高い部分(デフレ部分)と、品質から見れば高いとは言わせないという部分が混在しますが、円安でデフレを脱した部分が増えて全体ではインフレ傾向に移行してきたというのが今日の状態でしょう。
そこでいろいろなことが起こります。そろそろ長くなるので次回にします。
最近インフレについて様々な議論があります。
・政府・日銀が2パーセントインフレターゲットを言い出し、何か健全な経済というのは2パーセントのインフレを伴うものという意識が蔓延。
・円安になったのは良いが、輸入品の値上がりでインフレになり、一方賃金は上がらないのでこれは悪いインフレである。
・賃金も上がって、インフレ2パーセントというのなら、これは良いインフレである。
・原油や食料価格が世界的に上がってガソリンや毎日の食料品も上がっている、賃金が上がらなければ、景気が回復しても、生活は苦しくなるばかりだ。
・消費税が上がれば、さらに物価が上がり生活を圧迫する。消費税10パーセントになればさらに大変になる。
などなど・・・・。
「良いインフレ」「悪いインフレ」などという奇妙な表現も加わって、様々なインフレ論が飛び交うという状態は、皆んながインフレに関心を持つという点では良いのかもしれませんが、インフレについての知識が正確に整理されないと、無駄な論議と混乱だけになる可能性もあります。
日本経済の現状は、デフレからインフレへの過渡期のようなところにありますが、まだデフレの残っている部分もあり、物価上昇の原因にも、様々なものが混在しつつ、少しづつインフレ率が上がりそう、といったところでしょう。
そんな時期ですから、今の多少の物価上昇、デフレからインフレへの転換については、矢張り、インフレについての正確な分析と理解をしたうえで、きちんと整理し、何がよくて何が悪いのか、何は対策があり、何は対策がない(インフレを認める)のか、だからこれからどうなるか、どうすべきかを誤りなく判断していくことが最も大切なように思われます。
そんな認識を持ちながら、錯綜するインフレ論議を少し整理しておきたいと思います。
先ず、何故日本経済がデフレからインフレに転換してきたのかです。
これはもうとうに皆様ごご理解の事と思いますが、最大の理由は、昨年4月の$1=¥80から$1=¥100への20円幅の円安です。
もともと日本が世界で唯一、大変長期のデフレを経験した原因は「円高」です。プラザ合意で1ドルが240円から120円になり、日本は物価も賃金も世界一高い国になりました。世界経済はグローバル化が進んできていますから、日本には世界中から安い品物が入ってくるようになり、スーパーもコンビニも、量販店も100円ショップも、「メイドイン途上国」の商品がどんどん増えていきました。
日本の企業も、潰れるわけにはいきませんからあらゆる合理化をしてさらに賃金を下げ、人減らしをし、減らせないところは正規社員を非正規に切り替えて平均賃金を下げ、価格を下げて対抗することになります。それでも2倍になったコストも物価も容易には下がりません。これが長期デフレの実態です。
何とかそろそろ国際価格並みにまで下げられたかなという迄に20年近くかかりました。しかし一息ついた「いざなぎ越え」もつかの間、今度はリーマンショックで$1=¥120が$1=¥80円に、またサバイバルの努力を続け(長期不況の続き)、「$1=¥70~50になって日本は潰れる」などというエコノミストもいる中で、やっと日銀の政策転換、昨年4月、20円幅の円安実現で、デフレ脱出となったのです。
実のところは、まだ国際価格より高い部分(デフレ部分)と、品質から見れば高いとは言わせないという部分が混在しますが、円安でデフレを脱した部分が増えて全体ではインフレ傾向に移行してきたというのが今日の状態でしょう。
そこでいろいろなことが起こります。そろそろ長くなるので次回にします。