tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

良く使われる割に良く解らない言葉「支払能力」

2016年09月14日 16時24分02秒 | 労働
良く使われる割に良く解らない言葉「支払能力」
 安倍政権が「働き方改革」の中で、まず「長時間労働の撲滅」を上げていますが、もう一つ「同一労働・同一賃金」が当然のことのように言っています。

 この問題は今後も折に触れて取り上げていかなければならない問題だと思っていますが、それにかかわる問題で、「企業別賃金格差」という問題があります。

 パートたいまーやアルバイトの賃金は毎日曜日の新聞の求人折込広告に見ますように、職種や地域、時間帯などで決まっているようで、企業別にあまり格差はないようです。
 格差があれば、賃金の低い企業には人が来ませんから、その意味ではマーケットの働きというのは大変偉大で同一労働・同一賃金は自然に出来ています。

 しかし、これが正社員になると、なかなかそうはいきません。大体揃っているのは初任給ぐらいで(これはマーケットがありますから)、入社後5年、10年、15年、同じ業種で同じ仕事をしていても、企業間格差があることは明らかです。

 月例賃金水準も企業によって違いますし、ボーナスなどになると、専門紙・誌にランキングが乗ったりしますが、格差は歴然です。同一労働・同一賃金はここには及ばなくていいのでしょうか。

 この格差の説明に使われる言葉が「支払能力」です。春闘の際、財界団体なども「自社の支払能力を勘案の上」賃上げを決めるべきだといった発言をします。

 「支払能力」とは厳密に言えば「賃金支払い能力」、もっと正確に言えば、社会保障費なども含めた「人件費支払能力」という事でしょう。

 「収益力」と言い換えてもいいかもしれませんが、厳密には、人件費をどれだけ支払ったかで収益力は後から決まるのですから、別概念という事になります。

 では、「支払能力」とは何でしょうか、どう定義をすればいいのでしょうか、あるいはどう計算すれば求める答えが出てくるのでしょうか?

 いつも安易に使われている割に、定義も計算式もないという事になると、労使で話し合っても同床異夢ならぬ「同語違味」の水掛け論になるのが結果でしょう。

 よく使われる言葉だけに、この問題も、今後いろいろな機会に論じてみたいように思います。

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