tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

巨大補正予算の活躍分野は・・・

2020年06月12日 23時55分26秒 | 経済
巨大補正予算の活躍分野は・・・
 第2次補正予算も成立のようで、政治面のプロセスは進捗していますが、予算に組まれた個人や企業に対する給付金はなかなか届かないようです。私の所にも、マスクは先週届きましたが、給付金は、登録は済ませましたが、その後音沙汰はありません。

 マスコミによると、雇用調整助成金や事業継続給付金などはトラブル続きで、なかなか必要な所に届かないようです。

 マイナンバーカードもほとんど活用できないようで、日本でも、行政の効率化、電子化は進んでいないことが、問題が起きるたびに、はっきりするようです。

 他方、随分先走ったものもあるようです。Go To というのは何かと思ったら観光旅行などへの補助金だそうですが、「新型コロナ感染の危険を冒して」観光旅行に行ったら補助金を出すという事でしょうか。

 コロナの心配がなくなれば、我慢していた人たちがどっと観光旅行に行くでしょうから、その時はもう補助御金は要らないはずです。
そんなお金はコロナワクチン開発の早期化に使った方が根本解決になると思うのですが、何か政策が逆立ちしているように思います。

 二次にわたる補正は事業規模総額230兆円という触れ込みですが、単純にこれが全て適切に使われ日本経済の最終需要になったら、新型コロナ下で2020年度の日本経済がマイナス40%の落ち込みになっても、日本経済はゼロ成長程度で済むという計算になります。

 現実問題として、政府がどの程度の落ち込みを想定して補正を組んでいるのか解りませんが、国会では、さらに歳出を100兆円増やせとか、1人10万円の支援の2次、3次を考えるべきだなどといった常識では考えられないような論戦があるようです。

 安倍政権にしてみれば、財政問題についての今迄での失政、財政再建を言いながら、その努力が現実問題として為されていないという状態を、うやむやにするチャンスと考えても当然でしょう、コロナ禍は100年に1度の日本経済の危機と発言し、それに対しては赤字国債をいくら発行しても当然というスタンスのようです。

 MMT(新時代の貨幣理論)も追い風でしょう。2兆円、3兆円のプライマリーバランス達成の遅れは、数10兆円のコロナ対策の中では些細な誤差で片付くでしょう。
 日銀の無期限の異次元金融緩和(FRBは2022年までとのこと)とタッグを組んで、財政・金融双方からの猛烈な貨幣供給に踏み切っているところです。

 背後には、多分MMTがあるのでしょう。日銀の国債保有がいくら膨らんでも、日銀は政府に買い戻してくれとか現金にしてくれとは言わないでしょう。
 そして、政府はいくら借金しても(国債を発行しても)返済を迫られなければ、問題はないというのがMMTなのです。

 では本当になにも問題が起こらないのでしょうか。
 問題の方はすでに起きているようにtnlaboでは考えています。同じことはアメリカでも起きています。

 国民(個人・家計・企業)が必要とする以上に供給された貨幣は、昔ならインフレを起こしたでしょう、しかし今は、経済は国際化し、モノ余りの時代です、時に一部の商品が値上がりしても、全般的なインフレにはならないのです。
 これには、目に見える国際価格比較の中で、物価上昇をもたらすような賃金上昇を労働組合の力で勝ち取るといった「物価・賃金スパイラル」が極めて起きにくい状態も関わっています。

 では余ったお金の行く先は・・・?
 それは当然マネーマーケットでしょう。過剰な貨幣の供給が物価上昇を齎さず、マネーマーケット、典型的には株式市場に流れ込むのは当然の結果でしょう。

 「モノづくり」より「金融工学」という資本主義の変質はリーマンショック以降も健在です。基軸通貨のドルの本家アメリカで、株の上がることが経済の活性化と喧伝して大統領選を戦うトランプさんの影響も大きいでしょう。

 金融工学は「時価総額最大」という形で貨幣量をいくらでも増やします。これも信用創造というのでしょうか。
 これ(必要以上の貨幣供給)は貨幣そのもののバブルにつながります。
 そしてバブルは通常2つの問題を齎します。
 1つは所得格差の拡大とそれに伴う社会の不安定です。
 もう1つは何時かは破裂して実体経済に手ひどい打撃を与える事です。
 
 MMTでは、いくら財政赤字で貨幣供給を増やしても、インフレは起きないように言います、今の国際情勢の中では、物やザービスの価格が上がるインフレは起きにくいでしょう。

 しかし、株式市場のバブル(株価インフレ)は容易に起きるようです。
 今の東京市場の株価がバブルかどうか、判断できる人はいないでしょう。そして、バブルが何時はじけるか、何日後か何年後か、を判断できる人もいないでしょう。

 今の日本経済が、危ない道を歩んでいるのでなければいいのですが・・・。