tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

金融、財政大盤振舞いでも「インフレにならない」のか?-6

2020年06月07日 23時12分41秒 | 文化社会
MMTは、アメリカ発なのが気になりますが
日本では、国債紙屑もハイパーインフレもまだ心配しなくていいのではないかというのがこれまでの纏めではないかと思います。
 
 という事で、MMT(新時代の通貨理論)をどう考えるかという問題ですが、MMTが成り立つためには、やはり、それなりの条件が必要ではないかと考えるところです。

 MMTでは、中央銀行が通貨の発行権を持っている限り、自国通貨建てでいくら国債を発行しても、その償還は、自国通貨を増発すれば(お札を印刷して支払えば)済むことなので、デフォルト(国としての支払い不能)になることはないと言っていますがこれは当然です。

 ドル建てとかユーロ建てで発行するからが外貨準備が不足すれば国債の償還が出来なくなるのである、という事になっているわけです。
 日本の国債はみんな円建てですから、日銀券を増刷して日銀が国債を買ってしまえばそれで済むわけで、政府にお金があるかないかは関係ないといことになるのでしょう。

 日本では、政府にお金がないから日銀が市中から国債を買い上げて、それで市中に出回ったお金を当てにして、政府が国債を発行している、つまり、間接的ですが、国際を買い上げることで、日銀が政府にカネを貸しているという事です。

 政府は日銀からいくらでも借金が出来るのかという疑問は出ますが、国民が1万円札や国債の価値を信用していれば、それは可能です。
では、金利が上がったら、利払いのために国債発行額はさらに増えるかといいますとどうでしょうか。

 上がった金利は国債保有者の日銀に入ります。日銀の収益は増え、日銀の国庫納付金が増え、その分は政府に還流します。

 金利が上がれば国債の評価額は下がって、日銀は膨大な評価損を被るとも言われます。評価損は時価評価ですから、満期まで持っていれば満額支払われます。世の中がインフレなら大変ですが、インフレでなければ満額払われれば問題ありません。

 どうも、日銀が、政府に国債を持っていって、現金にしてくれ(政府に借金を返せ)という事はありそうもないような気がします。

 結局は、国民経由で日銀が政府に金を貸し、政府は財政支出をして経済を回し、それで景気の落ち込みを防いだり、技術革新を刺激して経済成長率を高めたりという役割をして、日本経済の付加価値(GDP)が増えた中から日銀は利息を受け取り、(日銀は必要以上に利益を蓄積しませんから)儲けは国庫納付金になって政府に還流するという循環の中で、国債発行が経済成長を刺激するのです、という事になり、MMTは成立するという事になるのでしょう。

 ケインズもこれを先見して、ケインズ政策を主唱したのかもしれません。
 しかし、「ええ? 本当にそれで良いの」とどうしても言いたくなります。「経済にタダの昼飯はない」というのも「真理」のはずです。

 では、本当の所はどうなのでしょうか。最後にその点を見ていかなければならないでしょう。 長くなりますので次回にします。