tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

正確なデータを持たずに政策を打つ人達

2020年05月04日 23時46分02秒 | 政治
正確なデータを持たずに政策を打つ人達
 緊急事態宣言が1か月ほど延長され5月いっぱいになりました。
 安倍さんは、5月6日で終えられなかったことを「断腸の思い」といい国民に陳謝する旨の発言をしました。

 国民の事を真面目に考えてくれていると思いたいのですが、どうもその辺りがすっきりしません。
 というのは、緊急事態宣言を「連休明けまで」と決めたときに、全く根拠を示していなかったからです。

 出来るという確信があって決めたのならば、自分の確信が誤っていたことが解り、何故間違ったかを反省し「断腸の思い」になるのでしょうが、確信がないままに、同じく確信のない専門家会議の意見を承知で決めたのですから、「断腸」は言い過ぎで、「当たればいいなと思っていたが、当たらなくて残念」程度と見ました。

 そして今度は、5月1一杯です。それでは、また当てずっぽうなどと思われると思ったのでしょう、その前に解除できる状態になれば、早くしますとのことでした。

 これでは、常識的に言えば、当然6月になったら解除になるだろうという事になるのですが、多くの人は信用していないでしょう。私も信用していません。

 なぜかと言えば、「新しい生活様式」などという中身の良く解らないことを付け加えていますし、苟も一国の政府ですから、出来るだけ精緻なデータを準備し、それを多角的に各分野の専門家の目で検討し、この数字がこういう傾向を示しているから「解除」といった、人を納得させるようなデータが全然示されていないからです。

 安倍内閣には前科があります。裁量労働を認めさせようという意図だったのでしょう、裁量労働者の方が通常の労働者より労働時間が短いデータがあると発言しましたが、それが、統計的には全く意味のない業務調査だったことが明らかになり、法案は潰れました。

 新型コロナで具体的に言えば、日本に感染者がどれだけいるのか、本当の所は解っていない、統計分析に役立つような数字が「ない」という事です。
 理由は、検査が確り行われていないからです。その結果、亡くなった人を調べたら感染者だったといったことがたびたび起きます。

 統計的には国民の何%が感染し、その数字(%でも実数でも)それがどう動いているかが解って、はじめてデータとして意味を持ちます。
 再生産数(1人の感染者が何人に感染させたか)が、普通の生活をして、1人を割れば収束段階と言われます。その通りでしょう。
 今は、社会生活を制限して再生産数を減らしているのですが、正常の生活に戻ればどうなるかわからないので、「新しい生活様式」という言葉が出てきたのでしょう。それも「準非常事態」でしょうから、それがいつまで続くかも心配です。

 問題は、現在の感染者数が不明なことです、今日感染した人の数は出ていますが、限られた検査数の結果ですから正確な分析ができるわけはありません。
 某大学病院の調査では 新型コロナ以外の患者でも6%ぐらいは感染しているという結果が出ているといいます。

 昔の結核患者を例にとれば、開放性と閉鎖性があり、開放性は感染させるので病院で療養などと言いましたが、新型コロナには、うつす感染者とうつさない感染者がいるのでしょうか。
 専門家会議の話では、以前は、感染者の4分の1がうつし、4分の3はうつさないなどと発表していました。何が正しいのでしょうか。

 念のために、以前掲げた公式を再掲します。
   人口×検査率×感染率×致死率=死者数
 検査率が100%になって初めて日本国についてのデータとなります。
 実態が解るというのが統計調査であれば100%が原則でしょう(なんならランダムサンプリングでもいいですね)。サンプルに偏りがある調査は、統計的には誤りです。
 今のデータで、物を決めるのは、投票率がいくら低くてもトップになれば当選という選挙と同じで、政治ではそればまかり通っても、相手がウィルスではそれでは済まないのではないでしょうか。