tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

混乱期に突入するか、世界経済社会

2015年09月07日 09時29分30秒 | 国際経済
混乱期に突入するか、世界経済社会
 アンカラG20は終わりましたが、 マスコミはその成果の評価には消極的なようです。麻生副総理は中国に不良債権の解消、過剰設備の処理、高齢化への対応など具体的な助言をされたようですが、問題は、中国自体の自己認識でしょう。

 アメリカの利上げの問題には新興国が懸念を示したようです。黒田総裁は、利上げが可能になるということはアメリカ経済が好調の証左で世界経済にプラスとの認識のようですが、経常赤字の拡大を伴っていることには触れていません。

 G20の結果がどこにどう反映されるかはわかりませんが、それが巧く反映されて、世界経済社会の混乱が収拾される方向に順調に進むとは、あまり期待できないような気がします。

 G20の主要なテーマの1つは、世界同時株安だったようですが、これは中国経済の懸念と、米国の利上げ問題の絡まり合いをビジネスチャンスととらえる国際投機資本筋の思惑が渦巻いている中での出来事です。
 実体経済に比べてはるかに巨大なカネが動く投機ビジネスの波乱増幅効果を適切なレベルにするようなことは至難でしょう。

 もともとこうしたマネー資本主義、マネー経済(学)、金融工学などを流行らせたのはアメリカですし、アメリカはその成果を自らの赤字のファイナンスに活用したのですが、そのやり過ぎがサブプライム景気、その破綻によるリーマンンショックで世界的金融混乱を引き起こしたのが現実です。

 その解決策として、バーナンキ流異次元金融緩和を導入、世界中にカネをばらまきながら(基軸通貨ですから)アメリカ経済立て直しを図り、そろそろいいかなと緩和をやめ、金利引き上げに動こうという時、中国の経済変調に重なることになったのです。

 世界同時株安の直接の原因は中国経済の問題かもしれませんが、経緯を辿れば、いままでのG20で何度も問題になっているマネー資本主義の問題が根底にあっての話です。さらにその元を辿れば、アメリカが経常赤字から脱出できないという問題です。

 人類社会の統治能力とかNGRとか覇権国・基軸通貨国の責任とか書いて来ましたが、こうした基本的な問題へのアプローチがない限り、本当の問題解決は不可能でしょう。

 ここからは少し余計なことです。
 アメリカと中国の覇権争いといったテーマがマスコミを賑わせますが、今日の地球社会では、覇権国方式は、どこが覇権を握ってもうまく機能することはないでしょう。

 解決策はレジティマシー(正当性)のある民主的な国際組織、具体的には民主的に運用される国連組織しかない、ということは誰しもお分かりなのでしょうが、そこまで行くのに人類は、これからどのくらいの時間を使うのでしょうか。