tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

米中首脳会談の限界

2015年09月27日 21時02分55秒 | 国際政治
米中首脳会談の限界
 米中首脳会談は、新たな大国関係を模索しようという趣旨でしょう、サイバー攻撃、南沙諸島埋め立て問題、人権問題、人民元レートの問題、温室効果ガス排出問題、などなど多くの問題を取り上げ、お互いに本気で意見交換そしたといった雰囲気が報道からも感じられました。

 中国も、ボーイング社から旅客機300機を購入するという手土産を持って、友好関係を何とか構築(演出?)しようと努力したようです。
 首脳同士が膝突き合わせて、こうした難しい問題も含め、話し合うことは大変結構なことだという認識は誰にも共通でしょう。

 しかし総論は賛成でも、各論に至れば意見はなかなか噛み合わないでしょう。世界の二大大国が紛争を起こせばそれこそ大変なことになりますから、その点ではぎりぎりの共通認識はあるのでしょうが、紛争を起こさない範囲で自国の有利にといった駆け引きは当然でしょう。

 アメリカは中国のサイバー攻撃を言いますが、中国はお互いさまという見方のようです。我々には真実はわかりませんが、アメリカも、報道された盗聴問題では脛に傷持つ身です。
 中国は南沙埋め立て問題では、中国とアメリカの間の太平洋には十分な空間があるという主張なようですが、米中の間には空間があっても、アジア諸国との間にはあまり空間はありません。

 世界は二大大國で出来ているものではありません。多くの国が対等の権利を持って存在しています。
 アメリカも中国も、共に二大大国をもって任じ、物理的には確かにそうですが、世界の覇権を競う両国が、他の多くの国から見れば、あまりに多くの国内問題、対外問題を抱え、それが内外の種々の紛争を生んでいることは現実が証明しています。

 たまたま力を持った大国が世界を管理するといった方式では、地球人類にとって本当に平穏な時代は来ないのではないでしょうか。
 今。世界は民主主義という原理を、最も優れたものとして尊重するという意識を明確にしてきています。
 ならば選択すべき道は、国連中心主義しかないでしょう。

 二回の大戦を経て、戦勝国は「国連」が中心となる世界を作ろうと考えたはずです。しかし、それらの国が覇権国願望を持つとき、国連は形だけのものとなり、地球人類の民主的システムは機能しなくなるのでしょう。

 サイバー攻撃や、領土問題や、国際通貨問題は、多様な発展段階の国々が共存する地球人類全体の問題として、国連を活用する以外、本格的な解決に近づくことは困難ではないでしょうか。

 こうした問題、折角作った国連をいかに人類社会の平和、安定、進歩のために活用するかという問題にアプローチするという視点も、世界の二大大国の話し合いの中に入ってきてほしいものです。