tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

FRB、株バブル牽制の意図

2015年05月08日 09時31分18秒 | 経済
FRB、株バブル牽制の意図
 日本ではゴールデンウィークの最終日、5月6日に、アメリカ中央銀行FRBのイエレン議長は「アメリカの株価水準は一般的に見て、極めて割高。潜在的な危険がある」と発言したとのことです。微妙な言い回しですね。

 NYダウは一時200ドルも下げたそうで、一寸した発言で株価が大幅に動くのは、「やっぱりバブルっぽいのかな」と感じた方も多かったのではないでしょうか。

 報道によれば、イエレン議長の発言は、「潜在的な危険はあるが、今の水準はバブルではない」と説明、現状については「極めて割高」と言いながらも一応肯定しています。いわば、将来の危険性についての警告が発言の趣旨、ということでしょう。

 イエレン議長の発言から何となく感じられることは、「マネー経済の行き過ぎが、往々にして実体経済の正常な活動の邪魔をするアメリカの現状を、何とかして実体経済中心に持って行きたい」という気持ちが表れているように感じられます。

 関連して周辺の方々から、利上げは9月か、いや12月だろうなどと様々な発言があるようですが、アメリカ経済がそう簡単に健全化するとは思われません。イエレン議長の難しい舵取りは続くのでしょう。

 少なくともその間、金融市場の事情で株価がバブルになり、利上げでバブルが崩壊して実体経済が痛手を受けたり、崩壊の危険で利上げに行き着けなかったり、といった事態は何とか避けたいという思いが、上記発言に繋がったのではないでしょうか。

 以前も触れましたように、イエレン女史は労働経済の学徒だということです。現在の仕事である金融の面から出来るだけマネーの跳梁を抑えて、実体経済の一日も早い改善をと願う女史のマネー経済との格闘はまだまだ続きそうです。

 日本の株式市場も、影響は受けるでしょう。政府日銀の舵取りは、扨て、どちらを向いているのでしょうか。GPIFの株式投資で年金原資を稼ぎたいなどといっているところからは、バブル歓迎の様子も見えてきます。

 長い目で見れば、株価は実体経済に「ついてくる」もの、という基本原則が政府にはどのように認識されているのか、ここは実体経済を担う民間企業が一層確りしなければならないような気がします。