tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

多様共存

2013年05月18日 16時13分10秒 | 社会
多様共存
 昔からの癖で、正月には書初めをしています。今年は「多様共存」と書きました。
 多分四文字熟語の辞典にはないと思いますが、私の造語で、「多様なものが仲良く共存するような状態が一番良い事ではないか」と考えて書いてみたわけです。

 勿論意識の中には、日本列島が、世界で最も多様なDNAが共存 する地域だといったこともありましたし、また、宗教も異教を認めないのではなく、お互いに尊敬し、尊重し合いながら仲良く共存できればいいなという気持ちもありました。
 経済・経営にしても、それぞれの国や地域の文化的背景の違いに応じて、それぞれに特徴があって、それが巧く共存できればいいな、といった気持もありました。

 例えば、企業間で問題が起きても(自動車事故でもそうだそうですが)、欧米では絶対に先に謝らないと言います。あらゆる理屈をつけて「こちらは悪くない」と主張するそうです。
 労使関係でいえば、労使は対立すべきもので、協調してはいけないというのが欧米では基本的な考え方のようです。労使協調は御用組合と同義でしょう。
 ベンチャー企業で時価総額が上がれば、良い時に企業を売却して大金を得るのは当たり前の行動で、日本人はなぜ企業を売りたがらないのかとアメリカの有力ファンドの経営者が言っていました。

 自分の利益や立場もさることながら、相手も同じ人間で、お互いに人間同士、気持ちが解ってしまう(解り合おうと考える)。多くの日本人からすれば、矢張り、日本的の考え方や態度の方が「人間味」があっていいのではないかと思ってしまいます。

 企業を売りたがらないというのも、自分(自分たち)の手作りのものに愛着を持ったり、一緒に仕事をしてきた仲間との人間関係を大事に考えたりする文化が日本人にはあるからでしょう。

 経済的に見れば、そうした人間的な関心や配慮のために、得られたはずの利得を失うのは馬鹿げているのかもしれませんが、日本人は単なる目先の金銭的な利得より、生涯の中での人間関係の方が大事だと考え、それがまた長い目で見れば、経済的にもより大きな報酬をもたらすこともあるのです。

 生物多様性は欧米でも関心の的ですが、これは自然界のもたらす優れた働きを大事にしようということでしょう。人間の歴史、伝統、文化などの多様性も、出来るだけ残しつつ、それぞれの特色、長所を生かして共存できる社会を目指す方が、結果的には優れた文化のあり方のように思うのですが、どうも世界を一色に塗りつぶそうとする動きの方が強いのは残念です。