tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

前3回の物価論議の補論:景気の現状認識

2013年05月31日 10時36分56秒 | 経済
前3回の物価論議の補論:景気の現状認識
 インフレにもいろいろな種類があり、インフレの起こり方も、お国柄によっていろいろと違うということを論じてきました。政府、日銀のインフレ・ターゲット自体が、輸入インフレをどう考えるとか、消費増税による物価動向をどう勘定するかといった点の正確な説明がないので、後から議論が混乱する可能性を残していることも気になります。

 OECDが今年の日本のインフレ率は0.5パーセントという予測を出したようですが、比較的よく日本の現状を見ているのではないかと思います。

 ところで、こうした物価論議の背景にある、日本の景気の現状というのはどういうことになるのでしょうか。その辺りを少し考えておきたいと思います。

 アベノミクスという言葉が到る所に出てきますが、今回の円安転換の手段は、エコノミクスという言葉になぞらえるような経済政策と言えるものだったのでしょうか。
 確かに3本目の矢の内容は経済政策と言ってもいいものでしょう。しかしこれらは、報道はされていますが、実施の段階には入っていません。トップの経済外交という外遊が始まった程度です。

 現状までの動きは、実体経済論から言えば、経済政策というより、いわば「安倍・黒mix」で安倍さんと黒田さんが一緒(mix)になって、国際投機資本を脅かし、画期的な円安を実現したという心理作戦が成功したというマネーゲームの問題でしょう。

 ですから、まず動いているのは株価で、それも国際投機資本の思惑次第、急上昇の後は1~2円の円高、円安に翻弄されて乱高下を繰り返すといった日々が続いているのです。

 私自身は、円安は大変結構、それによる株価上昇も大変結構で、そのおかげで発生したウィンドフォール・プロフィットを、日本の産業労使は、安易な賃上げや消費拡大などに無駄遣いして、インフレを起こして終りなどということではなく、必ずや、日本経済の将来の発展のために有効に活用する知恵を持っていると先行きを楽観しています。

 最近の専門誌紙の報道などを見ても、日本の技術革新は、基礎材料から応用技術まで、急速に元気づいて活動が活発化し、その成果も着々現れる兆候を示しているように思われます。徐々ながら、雇用の改善もみられます。円安、株価上昇によって発生した企業の資金的余裕が、それを経済的にも心理的にも支えているのは明らかでしょう。

 アベノミクスはそうした企業の自主的な動きを一層活発化するように環境を整備し、活動を支援するものであってほしいと思っています。