tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

緊縮か緩和か:判断基準は「生産性」

2013年05月21日 12時06分52秒 | 経済
緊縮か緩和か:判断基準は「生産性」
財政危機の国々で、緊縮か緩和の論議がされています。政権党は責任上も、緊縮政策を取って、何とか自国経済の健全性を取り戻さなければならないと考えるようですが、野党の方は、そんな辛いことを強いるのには反対だ、経済は緩和政策を取って、もっと経済活動を活発にして、経済を元気にすることが大事だといった言い方をします。

国民はその方が楽に決まっていますから、政権交代が起き、政治が安定しないという
可能性が高くなります。

所で、アメリカやヨーロッパの多くの国々のように国民経済そのものが赤字で、借金しなければ一国経済が運営できない国が、支出を切り詰めないで、逆に景気刺激をして赤字を解消することが現実に可能なのでしょうか。経験的にそれはどうも不可能なようです。

 確かに政府が借金をして、いわゆるケインズ政策のような形で積極政策・緩和政策を取れば、その時点では経済活動は活発になるかもしれません。
 しかし結局は、財政支出増の効果で民間消費が活発になり、一時的に経済が活況を呈するというだけで、その効果が消えた時には、より大きな借金が残るだけ、ということのようです。

 もし、そうした積極策で、経済が再建されるとすれば、経済が活況化した結果、国内生産力が強化され、自力で経済発展でき、借金も返せるような経済が実現した時です。しかしこれは言うほど簡単ではありません。その分国民が働かねければならないからです。

 もともと、汗水たらして働くのが嫌だから、緊縮が嫌いで、緩和を選んだのですから、その可能性は極めて小さくて当然です。結果的に、緩和はより厳しい緊縮政策を必要とするというより悪い状態をもたらします。
 サステイナブルな経済(自分の力で持続可能な経済)というのは、それなりの経済構造 を国民が努力して作らないと成り立たないのです。

 その判断基準が「生産性」です。一国経済でいえば、緩和政策による経済活動の活発化で「国民経済生産性」を引き上げ、赤字をカバーする所まで持っていけるかどうかです。

  アメリカでもユーロ圏でも、緊縮か緩和かを論議する中で、生産性についての論議がほとんどないことが、大変気がかりです。