tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

緊急課題と長期課題は分けて

2011年07月16日 11時12分17秒 | 社会
緊急課題と長期課題は分けて
 前回、「緊急課題と長期課題をごっちゃにしてはいけません」と書きました。
 緊急課題は、あくまで「被災地、被災者対応」です。その範囲も現実にはどんどん広がっています。

 稲藁飼料と牛肉汚染の問題が新たに発生しました。汚染経路の追及も大事です。汚染拡大による被害の拡大を防ぐためです。汚染によって、経済的損失を蒙った人たちへの経済活動の健全な継続、人心の荒廃阻止のための援助や賠償も喫緊の課題です。
 こうした事で、経済活動が停滞してしまいますと、地域経済のベースがくずれ、災害復旧が更に長期に停滞してしまう怖れがあるからです。

 福島1号機の安定化もなかなか進みません。故障や事故があまりにも多すぎます。外国製品を日本品と同じように使おうとしても、製品のキメの細かさが違うのかもしれません。緊急に国産装置も作られていますが、この動きの一層の促進も必要でしょう。

 これらにはすべてお金がかかります。政府の政策として、経済が停滞せず、復興が加速するような政策を取り続けることが必要です。そのための法律が必要なら、挙国一致でどんどん国会を通すべきでしょう。
 日本には おカネはあるのです。震災直後、いみじくもアメリカの財務長官のガイトナーが上院で発言したように、日本は VERY RICH COUNTRY なのです。

 東電も、国民の共感を得ようと思ったら、徹底して賠償に力を入れるべきです。国民の支持なくしては会社の明日はありえません。この際きめ細かい賠償を迅速にやってこそ、東電の明日につながるのです。

 東電の支払い能力は、すでに見てきましたように、こうした従来の想定の外にある問題に対応するにはあまりにも脆弱 です。しかし電力供給は、必要不可欠なものですから、誰かがやらなければなりません。最終責任は政策担当者としての政府にあるのでしょう。東電はその中で経営理念に掲げる責任 を果たすためにも利用者のためにベストの努力をしなければなりません。

 今後、原発をどうするかは、将来こうした災害とその後始末の苦労をしなくて済むように、しかも現在の経済活動をきちんと続けながら対策を考えるという問題の検討です。それを考えるためにも、起こってしまった災害対応をきちんとすることが対策を考えるベースになるのです。

 先ずは燃え盛っている火を消してください。少なくとも、長期問題の論議における混乱が、喫緊の問題対応の促進の邪魔になることがあってはならないと思います。