tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

喫緊の課題は被災地、被災者対応

2011年07月15日 12時14分44秒 | 社会
喫緊の課題は被災地、被災者対応
 原発を止める、止めないの論議が続いています。確かにこれも大事なことでしょう。しかし喫緊の課題は、原発問題でいえば、原発事故の被災地、被害者対応でしょう。

 特に問題は福島第一原発で、綱渡りのようなつぎはぎ工事で水漏れを防いだりしていますが、汚染水の海への流出、新たな水素爆発、放射能汚染瓦礫や汚染水処理で生じる汚染物質の保管や処理は、ちょっとした自然災害でも、新たな大きな被害をもたらす可能性が高い状態です。

 汚染水除去の配管などの工事は、新たな自然災害などは想定せずに緊急対応として行われているのでしょうが、何もなくても事故が多発しています。何かあれば、危険度は被災していない原発に比べれば、格段に大きいでしょう。

 更に、被災地には、すでに起こってしまった問題があるのです。現実に人々が困っているという問題と、今から困る人が出てくるかもしれないという問題とは、はっきり分けなければいけないと思います。

 被災地には義捐金もなかなか届かないし、賠償金支払いも極めて不徹底な状況のようです。原発対応論議の迷走が、それに拍車をかけているようですが、いま、最大限の努力を傾注しなければならない問題は、地震、津波、原発事故の被災者に対しての救援と被災地の復興です。
 最近、被災者の中からの半ば諦めにも似た不満の声が報道されたりします。大変残念です。

 これに比べれば、エネルギー選択の問題は、喫緊というより、長期の問題です。長期の問題は長期の問題として、緊急課題とは別に論議するのでなくてはなりません。
 ポピュリストという立場であれば、原発被災者の悲劇を掲げて、原発停止を謳いあげることに意味を見出すかもしれません。しかしそれは今の原発被災者に役立つものではありません。
 緊急課題と、長期課題をごっちゃにしてはいけません。

 長期の問題は、結局は確率の問題です。明日巨大地震が送るかもしれないし、100年後かもしれません。この辺りは未だ人知の及ぶところではありません。ここでは、理論性や合理性は、判断材料にはなっても、結局多数者の納得性で決めるよりないのでしょう。例えそれが間違っても、それが人間の限界です。

 緊急課題は違います。やるべきことはハッキリしています。それの手を抜いて、長期の問題で不毛の論議をするのは如何なものでしょうか。緊急課題対応のベストを尽くしながら、長期課題については、多少時間はかかっても、「本音の論議」をしてほしいと思います。