tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

国民意識変化の兆しか

2011年06月01日 14時07分14秒 | 社会
国民意識変化の兆しか
 東日本大震災は、日本人の意識に、何か大きな変化をもたらしてることが明らかになりつつあるように思われます。
 特に、日本の将来を託す若者や、社会とのつながりが希薄になりつつある中年世代などの心に、何か本来の人の心に帰るような変化をもたらしているのではないかと感じられます。
  
 最近、「無気力」などといわれた若者が、決してそうではないという事が、ボランティア活動への積極的な参加や献身ではっきりしてきました。
 加えて、家族の大切さ、ご近所とのつながりの大切さ、地域社会活動への参加などいろいろな面での変化が、被災地だけでなく、広範に見られています。
 更に結婚につての意識が大きく変わったようです。婚活などという決して語感のよくない言葉が流行るような状態から、若者が自然に結婚を選択するという、本来の人間らしいあり方に戻るような動きが強まっているようです。

 こうした動きというのは総じて、過度に人工的なものに依存してきた世界から、改めて自然の世界に回帰する動きではないかと感じられます。
 もともと人間は自然の一部なのですが、人工の世界が余りに進んできたため、人工構造物、人工的な環境、ますます人工的な自然の中で、自然の一部である人間が、人工的な世界の中だけで生活できるといった、慢心、あるいは錯覚に囚われていたのではないでしょうか。

 この所の変化の本質は、本当の自然の力、自然の有難さ、自然の恐ろしさに改めて目覚め、本能的な感覚の中で、自然への畏怖を強め、人間の生活は、矢張り自然と共存する、文字通り「自然な」ものでなければならないという感覚への回帰でしょうか。もしそうであれば、それは、本来の日本人らしい、日本人の心根の復活という事が出来るような気がします。

 「やおよろず」の神々を持つ日本人は、もともと、「自然は征服すべきもの」という考え方ではなく、自然と共存 することが人間のあり方だと考えてきたといわれます。そして、今、西欧文明も、本来の自然を残そうと、生物多様性などを主張するようになっています。

 大震災をきっかけにして日本列島に起こりつつある種々の変化を、改めて、われわれにとって大変大事な変化だと感じ、災害からの復興を超えた、あるべき日本の再建への契機として捉えることが必要なのではないかと感じる人は多いのではないかと思います。

 この変化を日本人本来の心根への回帰として、何十年、100年の長期的な将来を目指すものになるよう、国民意識、国民的活動につなげることができればと願うところです。