tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

東京電力グループの経営理念を見る

2011年06月21日 12時04分11秒 | 経営
東京電力グループの経営理念を見る
 ネットで東京電力の社是を探して見ました。グループの経営理念が出てきて、
「エネルギーの最適サービスを通じて豊かで快適な環境の実現に貢献します」とありました。
 そして解説に、「豊かで快適な環境」とは、「便利で暮らしやすいだけでなく、心豊かで、自然とも調和した持続可能な社会」と書かれていました。

 日本の企業は何処も、こうした素晴らしい社是や経営理念を持っていて、その内容は、利益中心の欧米企業のものとは、一味違って 「社会に役立つ」といった精神が基本になっています。

 社是や経営理念は、何かあったら、その原点に帰るための、企業の良心の拠り所として定められているものといえましょう。
 時に、何かの弾みで、ついついそうした原点を踏みはすしてしまっても、改めて社是に鑑みて反省し、自社の存在の原点に戻るといったことが出来るのも、「社会に役立つ」といった基本的な精神を謳った社是があるからと思えるところです。

 今回の東京電力の問題は、東京電力にとってはもちろん、日本社会、世界人類にとっても、不幸なことでしたが、本当の問題はこれを将来のために如何に生かすかでしょう。

 これまで、電力供給という仕事は、生産と消費の同時性と、特に日本においては輸出入(国際競争)がないという特殊な事情の下でなされるという、まさに「特殊性」がありました。そのために集中発電、片道配電が、最も効率的、経済的という見方も生まれ、原子力発電の有用性も大きく評価されました。

 しかし、状況は急速に変わりつつあります。蓄電技術は日進月歩で、需給のバッファーは次第に可能性を増しています。国際競争は多様な面から浸透してきています。多様な発電方式のコストの低下も技術進歩と普及率次第となってきました。一方、原子力発電のトータルコストの高さは見直されることになるでしょう。おそらく10~20年で状況は更に様変わりでしょう

 経営理念に照らしてみれば、東京電力のあり方も、当然変わらなければ、エネルギー供給者としてのサステイナビリティーの確保が困難になる将来も見えているように思われます。
 かりそめにも、過去に固執して、進むべき方向を誤ることのないような「柔軟な経営」が求められているというのが現実ではないでしょうか。
 
 環境に最も適応したものが生き残るという進化論の大原則は日本人、日本企業の本性でもあるようです。
環境を自分に合ったように作り変えるといった欧米的手法は、長い目で見ると矢張り失敗のようです。日本人として(実は世界人類としても)、十分に心すべきでしょう。