tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

頑張るだけ円高になる日本

2010年08月23日 11時45分27秒 | 国際経済
頑張るだけ円高になる日本
 世界経済はサブプライム/リーマンショックを一応抜け出したように見られています。
 不良債権を高い格付けをし、世界に売って、挙句の果ては世界の多くの金融機関に巨額の穴があくという事態を演じたアメリカ発の世界金融危機は何とかなったのでしょうか。

 1929年の世界恐慌の研究者のバーナンキさんもおられて、政府の力で金融機関の救済をすれば何とかなると世界中が協力して「経済の血流」である金融を持ちこたえさせました。
 しかしこれは 当時指摘しましたように、いわば、火事の火を消し延焼を食い止めたに過ぎません。さてこれからなにをやるかです。

 さいわい実体経済は、アジアを中心に成長過程にはいっており、EUも一部にソブリンリスクといった問題をはらみつつも、そのためのユーロの下落を奇貨として好調です。

 問題はアメリカです。今回の金融危機まで、アメリカも、その代表的企業のGMも 、借金でやりくりをして、実力以上の規模を保っていました。
 GMは国有化され、年金負担などの負債を切り離して、「小ぶり」になって再上場を目指しています。アメリカ自体も、消費過剰のキリギリス生活 をやめれば、借金で遣り繰っていた部分は剥がれ落ち、「ひと回り小さくなって」健全な経済の国になるのではないでしょうか。

 アメリカ経済は、今そのプロセスに入りつつあると考えるべきでしょう。アメリカ経済の成長を待望する意見は多いのですが、相変わらずの経常赤字でキリギリス型の成長してもらっても、またどこかで世界に迷惑をかけるという繰り返しにかなりません。

 世界は、アメリカが一回り小さいが、健全な経済の国になることを望むべきでしょう。アメリカの借金による需要ではなくて、アジアの若い旺盛な需要を育てることに目を向けるべきでしょう。必要なのは頭の切り替えです。そして、健全になって戻って来るアメリカを歓迎すればいいでしょう。

 さて日本はどうかというと、アジアの中という好条件、日本企業は真面目に品質のいいものを作り続け、政府は赤字ですが、国としては万年黒字で健全という大変結構な評価です。

 これは大変結構なことですが、この万年黒字というのが国際投機資本に目をつけられ、何かというと円が買われ円高になります。
 私は、プラザ合意の円高を克服すれば、そこからは正常にやれると思っていましたが、今度はマネーゲームの世の中になり、巨大な投機資本のご意向で、「健全経済を目指して頑張れば、 頑張るだけ円高」という事になったようです。
 これに対して日本は何も対応策がありません。そこに日本の最大の問題があります。