tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

口先介入の成果と日本経済

2010年08月29日 13時42分00秒 | 経済
口先介入の成果と日本経済
 政府の口先介入の段階で、円は$1=¥85台に戻したようです。もちろんこれで安心というようなものではありません。実体のないものはいずれ剥げ落ちます。

 日本経済、国民生活よりも、党内事情のほうを優先か、などとの批判がマスコミを賑わしたからでしょうか、菅総理も、円高に対して何らかの手を打つとの意思表示をしました。もちろん政府には金はないし、積極的な財政政策などは無理ですから、住宅関連を含むエコポイントの延長などが言われています。しかし、一方ではエコカーへの減税、補助金の廃止の見直しはないようで、そのマイナス効果は心配です。

 雇用対策への取り組みも報道されていますが、経済が良くならない中で雇用に対してどんな手を打っても、本格的に効果を期待するのはとても無理でしょう。雇用は経済成長の結果増えるものなのです。

 情勢から見ると、日銀の金融政策頼みのほうが大きいようですが、アメリカの方はすでに実質ゼロ金利です。量的緩和も、実体経済に悪い副作用のないような量的緩和、投機資本の動きも含めて国際金融情勢などを検討してみても、どの程度の効果があるのか、予測は困難でしょう。

 多分試行錯誤で、やってみながら修正していくより無いのでしょうが、矢張り、超巨大な政府の借金残高と超低金利の中で、財政・金融政策だけで現状打開というのは大変難しい問題でしょう。

 こんな状況の中でも、マスコミは日銀の独立性云々など言ったりしますが、国民生活の先行きそのものが心配される時に、国民生活と日銀の独立性と、どっちが大事かを考えるべきでしょう。本来、こうして時には、政府と日銀の判断が同じものになるのが当たり前という事ではないでしょうか。

 しかし本当の問題は、日本の経済社会が健全性を取り戻すためには、一体どの程度の円レートが、最低限望ましいかという本質論でしょう。今回の円高は、プラザ合意の時とは違い、それほどのものではないなどという解説もあるようですが、2~3年で30~40パーセントの円高は、世界各国の生産性と物価をどう分析してもまともなものではありません。

 日本企業の海外移転の激化、それによる雇用と賃金水準の劣化、生活水準の低下によって可能になるような円高対応策は、決してまともなものではありません。財政・金融政策のように、オカネの面ばかりに着目した経済政策から、小手先だけでないもっと本格的な「頭を使った経済政策」、社会と経済をひっくるめて考えるような 経済政策を、本気で頭を使って考えるときではないでしょうか。