tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

正しい円高対策

2010年08月17日 11時40分04秒 | 経済
正しい円高対策  
 8月13日には 円が1ドル85円を割り込みました。日本では、政府も日銀も、「これは多少気にしなければならない」といった趣旨を、控えめに発言しました。何か、「形だけでも発言しておかないと」といった雰囲気ですが、それでも円は少し戻りました。

 円高になっている原因は、アメリカが国際競争力強化のためにドル安を容認する気になったからなどと解説されています。それもあるでしょうが、もともとの原因は日本経済にあるというのが、日本として考えなければならないことでしょう。

 政府が口先介入しても、日銀がまたゼロ金利にして量的緩和を徹底しても、さらには日本が総力を挙げて円売り介入しても、また主要各国の政策当局の協力があったとしても、本格的な円安反転は至難でしょう。原因は日本経済の「万年経常黒字」という客観的事実にあるからです。

 日本の政策当局の政策や介入で、1円か3円今より円安に戻してみても、問題の根本解決には役に立つものではないでしょう。
 少したてば、あるいはまた何かあれば、すぐ円高に戻ってしまう可能性が大です。  日本の雇用や社会が安定と正常化を取り戻すには、現時点では少なくとも1割とか2割の円安が必要でしょう。ですから、日本の取るべき政策は、「口先介入」や「金融の小手先対策」ではなく、世界中誰が見ても、合理的で正しく、非難の仕様のないものでなければなりません。世界のためにも、日本のためにもなる政策、まさに「王道の政策」を考えるべきです。

 残念ながら、各政党の政策にも、経済学者の主張にも、評論家の言説にも、それらしいものは見当たりません。しかし、理論的に考えれば、決め手は「日本の内需拡大 」、「万年経常黒字の解消」であることは明らかでしょう。  今日、多くの人は、そんなことをいっても出来ないから困っているのだ、とか、そんなことは全く実現性がない、といった批判をするでしょう。それは、経済政策は財政政策と金融政策しかないと思い込んでいるからに過ぎません。

  正しい円高対策は、日本で最も金を持っている「家計」に、日本経済再建のためにと「消費拡大 」をお願いすることです。国民の将来は、「貯金」に頼るより、「経済の成長」に頼るほうが必ず正しい、という理念で、内需拡大、万年経常黒字解消、円高偏向是正、成長経済復帰、という道筋を、理論と政策を固めて、国民を説得するのです。 これを政権政党にやって欲しいですね。

 日本人は真面目です。納得すれば必ず期待に応えてくれると思います。