tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

縮小均衡経済からの脱出:その3

2010年02月15日 10時19分18秒 | 経済
縮小均衡経済からの脱出:その3
 前々回、日本人は、折角生産したGDPを使い残していると書きました。年間10~20兆円使い残しているのですが、これは国民経済計算で明らかなように、国際収支の黒字幅(経常黒字)と同額です(説明は下の注をご覧下さい)。

 つまり、日本人が生産したGDPを国内で「消費と投資」に全部使えば国際収支は均衡します。均衡といっても、現実には年によって黒字になったり赤字になったりといった状態で何年か見るとほぼ均衡という事でしょうか。

 日本経済は落ち目だといった声が外国からもよく聞かれます。財政の累積赤字が世界最大だとか、生産性の国際ランキングはどんどん下がっているとか、1人当たりの国民所得はかつて世界のトップクラスだったが今ではG7中最下位だとか世界19位がとか、そんなことで日本の国債の格付けは「安定」から「ネガティブ」に下げられたとか、・・・・・。
 
 自虐的な日本のマスコミが、そんな報道ばかりするからかもしれませんが、現実には「そんな国」である日本の通貨「円」は、変動為替制導入以来、世界中で最も切り上げ率が大きい通貨で、しかも現在でも、何かというと円高が予想される状態です。

 つまり国際金融市場では、「円」は、確りした価値を持っており、円を持っていれば、多分損はないと多くの人が考えているからこそ、円を買う人が多くなってその結果円高になるということでしょう。その最大の理由は、日本の国際収支が万円黒字という事ではないでしょうか。

 そして円高になると日本経済は苦労しなければならないわけですから、思い切って、万年黒字をやめる、言い換えれば、「生産したGDPは全部国内で使いきる」ようにすることが、どうも大変大事で、 円高懸念への最も有効な対策になるように思えます。

 そのためにはどんなアイデアがあるのでしょうか。それこそが今最も有効な経済政策でしょう。

(注)  GDP=消費+貯蓄+税金等   (収入の分配面)
     GDP=消費+投資+政府支出+輸出-輸入  (支出面)
              消費+貯蓄+税金等=消費+投資+政府支出+輸出-輸入
     両辺から消費を引いて、投資と政府支出を左辺に移項すると
         貯蓄-投資+税金等-政府支出 = 輸出-輸入
         (過剰貯蓄)    (財政赤字)        (万年黒字)
 つまり、消費でも投資でも財政赤字でも使い切れないGDPが国際収支の黒字になります。