tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

縮小均衡経済からの脱出:その2

2010年02月12日 10時50分04秒 | 経済
縮小均衡経済からの脱出:その2
 前回申し上げたように、苦しい時のために貯蓄しておいたのですが、苦しくなると、「将来はもっと苦しくなるのではないかと」と考えて、さらに貯蓄に励む 日本人です。
 貯蓄が安定して果実を生んでくれればいいのですが、いま、世界中どこを探しても、昔の確定利付きのような安全で着実に増えていくような貯蓄(あるいは投資)などはありません。

 今回のG7でもそのようですし、オバマ大統領が言い出した金融規制の問題でも、足元のアメリカでも反対論が多く、国際金融は矢張り、国際投機資本のギャンブルの影響から脱出することは困難なようです。

 特に日本のような、国際収支が 万年黒字の国 (次回にでもご説明したいと思いますが、これは日本人が毎年GDPを使い残していることと同じことなのです) の通貨は何かというと高くなり、つまり円高になって、海外投資はその分目減りし、コスト高で国際競争力は低下して、現状のようなデフレ不況をもたらします。

 まさに「 確定利付きへの郷愁」ですが、海外投資が常にリスク覚悟でなければならないという事になると、「そんなに宛てにならない外国へ投資するより、真面目によく働く日本人に投資した方がいいのではないか、と思えないでしょうか。

 確かに日本人は真面目によく働きますし、技術水準も、働く人の技能の水準も世界ではトップクラスで、しかも投資するお金があるのです。
 自分たち日本人に投資したのであれば、余り上手くいかなくても納得がいきますし、何より、「それならこうしようか」といった、新しい検討も自分の手で可能です。

 但し、今まではその多くの部分を政府に任せて、無駄の多い、余り役に立たないコンクリートもの(ダム、河口堰、空港、高速道路、いろいろな箱物などなど)に投資していたので、経済成長の役にも立たなかったのですから、今度は、本気で、経済成長を引っ張るような(乗数効果のある)部門に、民間の知恵を生かしてやるべきでしょう。

 バブル崩壊以降の日本人には、どうも頭と行動の切り替えが必要なようです。そのベースとなるのは、日本人自身の自分に対する「自信」であり、未来社会への国としての明確なビジョンではないでしょうか。

 減税や補助金 を効果的に使えば、政府支出の何倍もの経済効果があり、無駄になる投資もうんと減るでしょう。最大の投資対象には「脱化石燃料社会」 という世界の望む未来社会の実現があります。そのための開発技術は世界中に売れるでしょう。