tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「確定利付き」への郷愁

2009年05月28日 22時25分00秒 | 経済
「確定利付き」への郷愁
 このところの世の中は経済的な意味で大変不安定になってきたように思われます。そのひとつに 「確定利付き」の貯蓄手段がなくなったということがあるのではないでしょうか。
 
 たとえば、サラリーマンの退職金の運用の問題です。確定給付型は影を潜め、確定拠出中心に変わってきています。30年、40年後、安心して退職金を受け取るためにはどうしたいいのか、若いサラリーマンに、資金運用の術を身につけろといっても、毎日の忙しい仕事の中で不可能でしょう。 プロのトレーダーでも、投資銀行でも倒産する世の中です。

 高齢者は、老後のための蓄えを、どう保全したらいいのでしょうか。投資信託の勧誘は盛んです。しかし元本が減るようなことになったら、一大事です。

 確定利付きの貯蓄は確かにあります。しかし現実に利息は小銭程度。少しでも物価が上がれば目減りです。何故日本の金利は こんなに低いのか、多くの専門家に聞きましたが、納得できる答は聞いたことがありません。何か経済原則だけではない感じがするのは私だけでしょうか。

 以前は、銀行が、自ら融資活動のリスクを背負って、預金者にはまともな確定金利をつけてくれました。なんでも自由化、規制撤廃で金利も自由化、金融機関はリスクを預金者や出資者にパスしてしまうということで本当にいいのでしょうか。

 ほとんどの国民は資金運用のプロではありませんし、なれるものでもありません。矢張り、以前のように銀行が、自らの体力の中でリスクを消化して、預金者には確定利付きの預金を用意する、そして、利率はある程度のものを確保するといった体制が、国民の将来不安を緩和し、まともな消費行動を回復するためには必要なのではないでしょうか。

 因みに、定期預金の利息が年2.5パーセントでも、30年預けておけば、元利合計は2.1倍に増えます。退職積み立ては安定するでしょうし、退職者の預金1,000万円は、年間25万の利息を生みます。
 
 フリーターでもFXで月に何十万の収入などというネットの書き込みのような派手さはありませんが、それはそれとして、政府はどういう社会を目指して金融行政をやっているのでしょうか。