tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

先物、レバレッジ、デリバティブ

2009年05月18日 11時20分44秒 | 経済
先物、レバレッジ、デリバティブ
 三題噺ではありませんが、マネー資本主義(金融資本主義)の跳梁跋扈の基本条件はこの3つにあるのではないでしょうか。
 この3つのうち最も歴史の古いのは先物でしょうか。日本でも、江戸時代からあったといわれています。

 特に変動為替相場制の中で、国際貿易を活発化しようとすれば、為替差損を先物でヘッジすることは必須でしょう。問題は、先物を現実の取引のヘッジの範囲の防衛的なものと考えるか、一歩踏み出してレバレッジ をかけて、ヘッジ機能をマネーゲームの手段にするかでしょう。
 日本を代表するような企業のトップが、「ウチはリスクヘッジ以上のことはやらない」と言っておられたことが印象に残っています。

 レバレッジはビジネス、財務の基本的概念ですが、少ない自己資本にレバレッジをかけて、大きな取引をするということは私的に勝手に行われる信用創造に道を開くことでもありますし、その結果、企業や経済の変動を「レバレッジの分だけ」大きくする危険性を持っています。
 金融取引の多様化、活発化が、マーケットメカニズムによる価格や金利の安定化をもたらすといった主張は、これまでの経験では全く逆で、いわば群集心理の結果として、変動への加速度効果を持つというのが現実でしょう。

 デリバティブ(金融派生商品)は、あくまで「派生」商品です。ですから本来の根っこ、つまり「由来」があるわけです。
 最近多くの実物商品はその由来(デライベーション)を、原産地表示、添加物表示、加工方表示などで明らかにするようになっています。金融派生商品も、当然その商品のよって来る「由来」を解り易く表示して、買い手が中身を判断できるようにしておくべきです。
  「由来」が解らないようにするのが「金融工学」であるならば、金融工学はもともと偽装の手段とかインチキといわれても仕方ありません。こうした動きを加速したのが投資銀行だといわれますが、投資銀行の本来の役割は何だったのでしょうか。

 最近、レバレッジを規制しようといった動きが、典型的にFXにおいて見られ、業界と論議があるようです。
 アメリカ、中国では、デリバティブ取引を大幅に規制するとか、国の管轄化に置こうという動きもあるようです。おそらくいろいろな論議が起こるでしょう。 これらは新たな資本主義進化 の「芽」でしょう。

 こうした問題のすべての判断は、「人間は実体経済によって生きるものであり、金融は実体経済のより良い発展に役立つように人間が考え出したもの」という視点で判断すべきではないでしょうか。