tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

労働分配率論議

2008年02月02日 11時44分56秒 | 経営
労働分配率論議
 以前は春季闘争今は春季討論の「しゅんとう」ということのようですが、今年もその中で労働分配率についての論議がされています。大まかに言えば、労働側は「このところ労働分配率が下がっているから賃上げが出来るはずだ」といい、経営者側は「労働分配率は景気循環によって上下するので、下がったから賃上げ出来るというものではない」といった論議のようです。

 労働分配率というのは、労使が協力して生み出した付加価値の中の何パーセントを人件費として配分するかという割合(残りは資本への配分)ですから、労働分配率論議はともすると分捕り合戦的なものになり、水掛け論で終わります。しかし本当は、水掛け論で終わらせてはならない問題のはずです。労使で作ったものを労使で分けるのですから、良く話し合って、納得ずくで配分を決めるべきでしょう。

 労働分配率論議を合理的なものにするための「核心」は、実は、「付加価値の分配(労働分配率)如何が企業の明日を決める」という事実で、もう少しソフトにいえば、「付加価値の分配は企業の成長に影響する」という事実への認識です。

 企業の成長(国ならば経済成長)は、労使(国ならば国民)共通の目標ですから、この目標、たとえば3%成長とか、5%成長とか、10%成長とかは労使(国民)で共有することが出来ます。付加価値の分配が企業の成長に影響するのであれば、まず労使共通の企業の成長目標を話し合って決め、その成長を達成するために最も良い影響を生むような労働分配率を労使で検討して合意すればよいわけです。

 現実には日本の労使は、この辺りが何となく解っていて、あまりひどい分配論争にはならないのですが、もう一歩進めて論議を具体的に深めていくべきでしょう。個別企業では、これは経営計画の内容についての労使の論議ということになります。
 「分配は成長に影響する」、この事実を理解することが、労働分配率論争合理化の核心です。