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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカとの友好・同盟を世界と日本に役立てるには

2023年05月11日 17時03分13秒 | 国際関係
こんな大変な問題を市井の1老人が書くのは、大それたことでしょうが、それでも、現状を見ると、この問題は、世界人類のためにも、日本人全体が真面目に考えなければならない問題の様に思われるので、敢えて書く次第です。

欧米の文化というのは、もともとが二分論が原則のようです。これは、「神と悪魔」という2元論と同根の思想と考えられます。
世の中の関係というのは、対立する相手がいて、それはお互いに譲らないのです。妥協して仲良くなるという事は本来的にあり得ないのでしょう。

この考え方を原則にしますと、世のなかの事象は総て対立する2つの主体に分けて整理しないと気がすまず、それが行動の原則にもなるようです。

それに引き換え日本的なものの見方というのは、対立はあってもそれは絶対的なものではなく、相互理解も和解も渾然一体化もあるといったもののようです。

これは神話の時代からの伝統で、欧米の宗教では悪魔は今でも悪魔ですが、古事記ではオオクニヌシの子で国譲りに反対したタケミナカタは最後までアマテラスの使い タケミカヅチと対立、信州諏訪湖まで逃げて争い降伏しますが、諏訪大社の主神として祀られています。

今、世界は民主主義か独裁主義かの対立の様相ですが、とことん対立するという二元論では犠牲が大きすぎるのではないでしょうか。
最後は対立が解けて、同じ人類社会というベースで共存が望ましいという考え方の方が、余程賢いでしょう。

ロシアの問題も、今後も拡大する巨大な犠牲と共に終わるのでしょうか。
中台問題はまだそうした犠牲を払わずに解決する可能性はある(何とかして探し出す)と考えるのが最も賢明でしょう。

ところが今の状態を見ていますと、「有事」、つまり、中国が台湾に侵攻したらどうするかというベースでアメリカは全面的に考えているのでしょう。
残念なことに、日本政府は、その時どうすればアメリカの役に立つかばかりに熱心です。

二分論、二元論によって立たない日本が、日本の伝統文化をすっかり忘れて、アメリカ追随、中国とは批判や悪口ばかり言いあう関係になってしまっているようです。

関係が悪化しているときこそ、「建前」という二元論でなく、「本音」で「腹を割った」話し合いをすることが分け隔ての緩和、解消に最も重要でしょう。

話す相手は中国だけではありません。二元論を崩して行くことが大事な日本の伝統文化が、地球人類にとっていかに重要かという事を二元論のアメリカにも理解してもらうように、丁寧に説明する事がまず大事だと思うのですが、どうでしょうか。

国際関係の基礎は「競いの文化」で築こう

2023年03月23日 14時10分07秒 | 国際関係
新形コロナというパンデミックが世界を揺るがし、延び延びになっていた第5回WBCの優勝者は「侍ジャパン」でした。

昨年優勝のアメリカは、連覇を目指して途中、対メキシコでの失点もありましたが、満を持して決勝に勝ち上がってきたようです。

日本は準決勝でメキシコに逆転勝ちで決勝進出。夢の日米対決の優勝決定戦がマイアミでくり広げられました。
そして結果は、大谷、ダルビッシュ、村上、それに吉田の驚異の打撃力、そして、メジャーリーガーの強力打線を要所で封じる継投に活躍した投手陣等々の総合的な頑張りで「侍ジャパン」が念願の3度目の優勝を3‐2で飾ったのです。

放送席からは「呆然としているアメリカチーム」などという言葉も聞かれました。
そしてこれは、次回への切磋琢磨、それぞれの力と技の向上で、次回の優勝を目指しての研鑚に繋がっていくのでしょう。

スポーツの世界は「清々しい」世界です。勝っても負けても、それは努力・向上の「糧」となって将来に進んでいくのです。

優勝の感激で少し長く書き過ぎましたが、この清々しさは「競いの文化」に基礎を置くからと考えています。

「競いの文化」の対極は「争いの文化」です。これは今、現実に「ロシアのウクライナ侵攻」という形で起きています。

「争いの文化」では、石や棍棒から戦車、ミサイル、核爆弾まで、武器によって相手を滅ぼし自らの優位を保つという人類の野蛮な時代の遺物のような文化です。

今、この文化が残っているのは世界の少数な独裁国においてで、民主主義国ではほとんど見られない文化です。

そうした意味で考えてみますと、プーチンのロシアは「争いの文化」を是とする国であることをウクライナ侵攻で証明しました。

もう1つの問題国は、中国です。中国は南シナ海、更には台湾問題で、「争いの文化」を含む意識をもつ国であることを示唆する態度・行動をとっています。

但し中国は、これらの問題は国内問題という主張で国際関係には影響しないという立場のようですが、現実が「国内問題」と言えるものかどうかが、中国が独裁国家であるかどうかを(国際的に)に判断する証左になるのでしょう。

こうした中で、最も重要なカギを握るのは、アメリカでしょう。

中国は、台湾進攻を言いながら、交渉による平和的解決が望ましいという事も常に発言しています。
恐らく、独裁者の様相を強めている習近平も、プーチンの様に、国際輿論から「独裁者」と決めつけられるのは避けたいという気持ちはあるようです。

心配なのはアメリカの態度で、揺れ動く習近平の気持ちを、独裁者としての存在に踏み切らせるかどうかは、アメリカがこれからいかなる態度で習近平の中国に接するかにかかっているのではないでしょうか。

経済的には米中覇権争いという問題があります。経済覇権は、あくまでも「競いの文化」の問題であるべきです。経済発展を競い合うべき問題でしょう。
相手の経済力を潰して勝つような、たとえば、行き過ぎた経済制裁、関税合戦、貿易制限などは「争いの文化」の経済版で、人類社会の豊かさへの阻害要因でしょう。

「競いの文化」こそが人類社会の発展を支える文化で、「争いの文化」の要素がそこに入り込むことは結局人類社会の破壊や発展の阻害であることを覇権国アメリカが、十分に認識し、民主主義社会の良さを世界に示すことが期待されているのではないでしょうか。

首相ウクライナ訪問、平和の出発点に

2023年03月22日 15時59分49秒 | 国際関係
岸田総理が、ウクライナと報道され、びっくりした人も多かったのではないでしょうか。

今年は日本はG7の議長国、G7各国の首脳は岸田総理以外はすでにウクライナを訪問し、議長国の首相としては、そのタイミングを考えていたのでしょう。

昨年から今年にかけての世界の最大の課題は、ロシアのウクライナ侵攻問題をいかなる形で終わらせるかでしょう。その中で、今年はG7の議長国、しかも平和憲法を持つ国の総理として、戦争の現場が如何なるものか、確り見とどけることは必須でしょう。

こうした状況に中で、平和憲法を持つ日本の首相は、G7議長として今年1年、大変難しい役割を強いらえるのではないかと誰もが想像するところでしょう。

ロシアはすでにクリミア問題以来G7から外されており、そのロシアのプーチンという独裁者が、自分の邪な野望を満たすために、国民を騙してまで、隣国ウクライナに侵攻したというのが現実の問題です。

自由世界はこのプーチンの邪な野望を阻止しなければならないのですが、国対国という対等のレベルでは、交渉に応じない相手には力、つまり戦争でしか解決の道はありません。

結局自由世界はG7を中心にウクライナを支援してプーチンのロシアと戦うという現実になってしまっているのが現状でしょう。

日本の立場は極めて難しくなっています。自由主義国で当然「ストップ!プーチン」が目標ですが、「平和憲法」を持っている以上、戦争は勿論、直接の協力も出来ないのです。

かつて日本に戦争放棄を促した同盟国アメリカは、今は日本に出来るだけ自由世界の戦争に加担せよとの意向です。
その日本が、今年はG7の議長国で、岸田さんは日本の総理です。

力(戦争)によってプーチンのロシアを押しとどめようと自由世界が一致して行動するときに、日本は戦力による協力は出来ないのです。

然し更に現状を注視すれば、ウクライナを含め多くの国が、日本には戦力による協力・支援は求めないという事を認めてくれているのです。

それは何故でしょか。問題の核心はここにあるように思われるのです。

憲法で戦争を放棄している国は大国では日本だけです。それでも、何処の国も「日本はズルい」とか「日本だけ得をしている」と言わず、それを認めてくれているのです。

それは、「戦争をしない」と宣言することは大きな危険を冒すことかもしれない、しかし、地球社会の国のとしての「理想的な在り方」を世界に先駆けて「思い切って率先選択した」という事に対する敬意の表れでしょう。

戦争のない世界・人類社会という理想を誰もが持っているからこそ、そこに戦争を放棄した国への敬意が生まれるのではないでしょうか。
日本人にとって、そうした国の在り方は大きな誇りでもあるはずです。

岸田首相には今回のウクライナ訪問を含め、G7議長国総理としての多くの経験の中で、、平和憲法を持ち、戦争を放棄した国日本の意義を改めて実感して欲しいと思っています。

もし、日本が戦争をする国になれば、地球社会の時代を先取りしたという日本人の誇りも、それに対する諸外国からの敬意もたちどころに消滅するでしょうから。

岸田総理は中国と徹底話し合いを

2023年03月03日 11時56分56秒 | 国際関係
今日は3月3日。桃の節句の穏やかな春の日に、こんな心配をしなければならないというのは残念なことですが、やはり日本国民が安んじて平穏な日々を過ごせるように、総理にはお願いしなければならないのでしょう。

前回指摘しましたように、現状では、日本の空にミサイルが飛んでくるかどうかは、日本国民の意思とは関係なく、中国、アメリカの意思決定の結果によるという客観情勢が見えて来ているのです。

こうした客観情勢に対して、日本国民の意思を代表して日本へのミサイル飛来の可能性をゼロにする努力を日本政府に徹底してやってもらいたいというのが、大多数の国民の気持ちではないでしょうか。

政府が想定しているのは、「台湾有事」だという事は明らかです。これは中国では国内問題という認識ですが、中国にも、台湾にも、歴史的なかかわりは勿論、文化的、経済的そして草の根的にも格別の親交がある日本です。すべきことはありそうです。

アメリカの対中関係と日本の対中関係にはまさに「質的」な相違があるはずです。
当然、アメリカ国民の対中意識と日本国民の対中意識は質的に異なるでしょう。しかし、今の客観情勢は、アメリカの対中関係、対中意識によって、日本国民の意識とは関係なく戦争に巻き込まれ、日本にもミサイル飛来の可能性があるのです。

政府は、日本は民主主義国で、国民が選挙で選んだ政権のやることは日本国民の意思を代表するものという考え方をお持ちなのでしょう。
しかしそれは間接民主主義の誤用で、日本にミサイルが飛来してもいい(仕方ない)という理解は、自民・公明両党の意識であって、国民の意識でない事は明らかでしょう。

選挙で多数を取り、政権を取れば「何でも出来る」というのは民主主義からの逸脱で、独裁制への第一歩でしょう。民主主義の本来の意味の的確な理解こそが大切なのです。

現状、中国との話し合いは、アメリカとの話合いに較べれば、遅々としています。
アメリカは同盟国だから、それは当然というかもしれません。
しかし何か紛争が起きる恐れがある時に、本当に重要なのは、同盟国よりも想定紛争相手国との話し合いではないでしょうか。

特に、日本の場合は、中国との関係には長い歴史があります。東洋の隣国としての草の根の親近感も基本的に存在しているのです。

勿論アメリカも「台湾有事」などはない方がいいと思っているでしょう。国民生活の安全、安定、安寧には、「有事」などない方がいいのは決まっています。
前回触れましたCSISの報告書も、紛争のシミュレーションの結果の人的・物的の犠牲の大きさを示すものとして読むべきなのでしょう。

こうした諸点を十分に考慮すれば、日本が本気になってやるべきことは、中国と十分話し合い、同盟国であると同時に、対中関係に歴史のある独立国としてアメリカを助けるためにも「有事」を避けるための外交に専心すべきでしょう。

岸田総理が国民にその方針を明示すれば、日本国内には、多くの人が総理の下に中国に対して日本の持つ知識と知恵を提供して、総理を支える動きも起きるでしょう。

日本の持つ対中関係の蓄積の上に、「台湾有事」の未然の防止のための最大限の努力が岸田総理には期待されるところです。
そしてそれこそが、日米同盟の意義を生かす、本来の日本としての努力という事になるのではないでしょうか。

残念至極!三菱スペースジェットの撤退

2023年02月07日 13時24分32秒 | 国際関係
2015年の11月12日、「MRJ離陸」を書きました、その前の日に、アメリカでの「三菱リジョナル・ジェット」の初飛行が報道されたからです。

2017年9月には、「経産省、航空機事業に注力」を書いて、経産省が「我が国の航空機産業の本格的発展を目指して、纏まった政策を打ち出そうという事になった」と記しています。

初飛行から7年、経産省の政策表明から5年がたって、今日のタイトルは標記の通りです。本当に残念なことではないでしょうか。

戦後最初の国産旅客機であるYS11が最終的には2182機を製造し、世界でもよい評価を得ながら、お役所的な経営で破綻したなどと言われて以来、MRJは日本として、ジェット旅客機生産への満を持しての出発でしたが、残念ながら失敗に終わったようです。

日本の多くの企業が飛行機の部品製造には確りした力を持ち、ボーイングをはじめ、世界の航空機メーカーに評価されています。
しかし、ジェット旅客機の完成機ともなれば、最大の重要性である飛行性能や安全性の徹底した確保など、最終工程はまさに大変な仕事でしょう。

完成した機体に、そうした条件をすべて満たしている事を証明するのが型式認証でしょう。
その型式証明が、どうしても取れなかったというのが、三菱リジョナル・ジェット(MRJ)、最終的には三菱スペース・ジェット(MSJ)の製造からの撤退、三菱航空機という企業の清算という事になったようです。

もともとアメリカは日本が旅客機を製造する事には、望ましくないという感覚を持っているということは言われていました。

アメリカとしては、コストも安く、品質も確りしている日本に部品を発注する事は得策ですが、完成品を日本が製造するという事は、日本がまともに競争相手になる可能性だ出て来るという事です。

過去の歴史を見ても、貿易の日米関係というのは、日本の製品がアメリカに輸出されることになれば、日米繊維交渉から、自動車交渉、半導体交渉と、日本製品がアメリカの貿易赤字を増やすという摩擦はいつも起きています。

これが、アメリカの主力産業である旅客機にまで及ぶことに、アメリカがいかなる認識を持つだろうかという事は、当然想像がつくことでしょう。

三菱の旅客機製造に進出したいという意識は、技術水準のある企業としては当然のことでしょうが、三菱リジョナル・ジェットというプロジェクトは、官民共同での事業と、我々も聞いていました。

更に経産省は、「航空機事業に注力」という方針を2017年に打ち出していたのです。
その際、経産省は、航空機産業における日米関係の将来をどう見ていたのでしょうか。

5年後に結果が出て、三菱の旅客機製造のプロジェクトは、巨大なコストと、得意先となるはずだった航空会社との予約の処理など、多くの問題を抱えたまま挫折、終了し、三菱重工が処理をするという事になるようです。

マスコミが報じてえいますように、機体はいくら立派に出来てもFAA(アメリカ連邦航空局)の型式認証が取れなければ、結果として世界を飛ぶ旅客機としては認められないという事です。
そしてこれは、民間企業の仕事というより政府間の交渉と言われています。

日本政府・経産省は、この国を挙げての事業の挫折の原因を精査し、その原因や責任の所在について解りやすく国民に説明する必要があるのではないでしょうか。

戦国時代に逆戻り、大河ドラマを彷彿

2023年02月02日 20時34分36秒 | 国際関係
このブログでは、人類の文化には2種類あると思っています。
「争いの文化」と「競いの文化」です。
人類はかつては「争いの文化」が主流でしたが、次第に「競いの文化」が主流を占めるようになって来ていると考えています。

人類の文化が進歩するのは、人間が向上心を持っているからでしょう。向上心が「競いの文化」を生みます。オリンピックは「競いの文化」の典型でしょう。

向上心は、経済的には人間が豊かになりたいという気持ちに現れます。これが「争いの文化」を生んできました。

かつては豊かになるためには領土を広げることが必須でした。これが戦争を生んだのでしょう。中世までのヨーロッパでも日本の戦国時代でもそうでした。

それぞれの国が領土を広げようと考えれば、攻めなければ攻められるという恐怖心や被害者意識を持ちますから、その両方が相まって、戦争が絶えないという事になります。

しかし今は違います。技術革新の世の中では、より高度な技術や経済システムを持てば、いくらでも豊かになれます。世界で1人当たりGDP 最大の国はルクセンブルグです。

こういう世の中になっても、未だに中世のヨーロッパや日本の戦国時代のような考え方のリーダーの国はあるようです。

大体そういう国は独裁者の国で、ロシア、中国、北朝鮮などが挙げられます。

日本はと言いますと、1945年以来、「争いの文化」から世界に先駆けて脱皮し、戦争放棄の平和憲法を掲げる「競いの文化」を主唱する国となり、文化の面では世界の最先端を行く国になりました。

ところがこの所の自民・公明の政権は、自分たちの先輩の苦労も解らずに、戦国時代の日本に戻ろうしているようです。

しかも、国民の意見を聞けば、そんなことは許さないという声が大きいに決まっているので、そんな大きな歴史の逆転をのような事を、単なる閣議決定でやってしまって、国民が気が付いた時には「もう手遅れです」という事で済まそうとしているように見えます。

国家安全保障戦略の中には、「これは国益のためだ」と書いてあります。最大の国益は戦争をしない事です。戦争は破壊そのもので、人命も失われ、国にとっては大きな損失です

更に、国民にそう言われては困るのでしょうか、中国と北朝鮮とロシアが日本にとっての重大な脅威になっていると克明に書き込んでいます。

そんな形で国民に恐怖心を植え付ける前に、直接の首脳会談などで外交の成果を挙げ、国民を安心させてほしいと思うのですがそんな気配はありません。

何か戦国時代の迷える中小城主の姿を見ているような感じになって来ます。

戦争は放棄し、経済大国として堂々と世界と付き合うというかつての自民党リーダーの顔も浮かび、その日本もここまで落ちたかと本当に嘆かわしい気持ちになってしまうといった声を、あちこちで聞きます。

アメリカは何を考えているのか

2023年02月01日 13時51分20秒 | 国際関係
アメリカの歴史は250年ほどです。独立前のプリマスへの植民から数えても400年ほどです。
その400年ほどの間にヨーロッパの2000余年の歴史をなぞって、1945年以降は世界の覇権国の地位を確立しています。

植民船で上陸、先住民アメリカ・インディアンの征服、母国イギリスからの独立、奴隷制度・南北の内戦も経験、急速な経済発展、二度の世界大戦参戦を経て覇権国になるという超高速の発展進歩です。

そして戦後70余年、覇権国の地位を守り続けています。
覇権国の地位を守るには経済力と軍事力が必要です。冷戦では核戦力を含む軍事力を中心に覇権国の地位の維持に努めました。

その間経済力では日本が急速に追い上げました、日本が軍事力を持たず、戦後アメリカの援助で復興した友好国ですが、繊維交渉から始まって、自動車、半導体に至る経済競争の中で、部分的にも覇権国に挑戦するような状況になりました。

しかも、日本の勢いは、当時は大変なもので、アメリカは守りに追い込まれることが多く、特に1970年代から90年代にかけての二度の石油危機後のスタグフレーションで苦しんでいたアメリカは、覇権国の地位を守るために、日本の追い落としを計りました。

それがプラザ合意です。G5の場を利用したこの試みは大成功をおさめ、円レートは2倍ほどに切りあがり、日本経済は深刻な長期不況で低迷、経済面での脅威はなくなりました。

その後、ソビエト崩壊もあり、アメリカの覇権国の地位は安泰かと思われましたが、改めて急速に経済力をつけてきたのが巨大国の中国です。
このままでは2030年ごろには中国GDPはアメリカを抜くという予想も出始めました。

中国の急成長に対してもアメリカは人民元の切り上げで対応しようとしましたが、日本の経験を見ていた中国は拒否、成長を続けました。

トランプ大統領になり「アメリカ・ファースト」で、アメリカは関税戦争という形の経済戦を挑みました。
アメリカも返り血を浴びましたが、中国の不動産価格ベースの経済成長の行き詰まりやコロナ問題もあり中国の経済成長率は低下、先行きは不透明の状況です。

一方、軍事的な局面では、ソ連のウクライナ侵攻が世界の問題になる中で、中国は台湾進攻を示唆してアメリカを牽制、覇権国の地位と、自由世界の防衛とを重ね、アメリカは覇権国の地位堅持に着実に動いているようです。

アメリカは、二度の世界大戦に勝利しているわけですが、その間アメリカ本土は無傷です。
これはまさに地政学的な条件によるものですが、今は違います。
太平洋、大西洋を飛び越えて核弾頭がミサイルに乗って飛んで来る時代です。

この状況の中で、アメリカの最大の関心事は、本土の安泰、つまり核不使用でしょう。
先ず、ロシアが核を使う事態は絶対避ける、更に、もし台湾有事となってもアメリカ本土にミサイルが飛んでくるような事態は絶対避ける事を考えるでしょう。

そのために何が必要か。アメリカはニコニコしながらも常に、物事は冷徹に考え、あらゆる能力を駆使して、本土の防衛を確実にしようと考える国なのでしょう。

そうしたアメリカに倣えば、日本も事態の本質を冷静に理解し、日本の国民のために最善の選択は何なのかを確りと見定める目が、総理をはじめ、政治家、官僚、あらゆる場面でリーダーとなる人には必要なように思われてなりません。

中国と少し腹を割って話せないものか

2023年01月12日 19時56分08秒 | 国際関係
一衣帯水の隣国中国と友好親善に努めるのは日本のリーダーの主要な仕事の一つではないでしょうか。

遣隋使、遣唐使以来日本は中国に学び、日本の諺の7~8割は中国の故事にちなんだものではないでしょうか。

日本の思い上がりによる戦争を挟みますが、戦後は田中角栄と周恩来の話し合いから関係改善が進みました。
ピンポン外交、バレーボールの大松監督の中国指導などに始まり改革開放後は、多くの企業が中国に進出、QC活動、5S、カイゼン等技術移転に貢献してきました。

こうした中で、日中の協力関係が双方に大きな果実を齎すことが広く理解されるようになりました。

こうしたwin=winの関係が、中国経済の急速な発展とともに、何となく変質してきたのは米中関係の影響が大きかったということが出来るようです。

アメリカにとっては中国の台頭は覇権への挑戦と意識されたのでしょう。アメリカは中国に対し、繰り返し人民元高を求めました。
これは日本がアメリカに次いで世界第2位の経済大国になった時、日本経済のさらなる成長拡大を恐れ、日本に円高を求めたのと同じ行動です。

日本の場合はそれをプラザ合意で受け入れた結果、長期の円高不況に苦しみ、ゼロ成長に転落、アメリカの心配は消えました。
しかし中国は日本の例を十分に研究、人民元高の要請を拒否し続けたのです。その結果はトランプさんの仕掛けた関税戦争でしたが、これは米中双方にマイナスでした。

勿論日本の立場はアメリカと違います、日本にとっては、米中が共に成長してくれることが最も望ましい事は明らかです。

そして今、中国は、共産党一党独裁と市場経済の組み合わせの矛盾の中で、呻吟しているようです。地価上昇をベースにした経済成長の部分は行き詰まり状態のようで、経済活動の新分野を後発国に求めているようですが、これは容易ではありません。

独裁政治は、かつての植民地政策のような形になりがちのようですが、今日の世界経済社会では、それは結局コスがかかって成果が少ないものにしかならないようです。

一方、アメリカは覇権国という立場のせいか、中国の成長を過度に警戒し、win=winの関係を崩すことで中国の経済発展ブレーキをかけようとし、その結果が米中関係の急速な悪化を招いたのでしょう。

そして、この米中対立は、戦後一貫して中国の主張であった台対中問題を、これからの長い歴史の中で解決していくという望ましい状態から、差し迫った紛争(戦争)問題にしてしまったようです。これはアメリカ中国双方にとっての失敗でしょう。

ところで、この状況に対処する日本の課題は何かという事が、今後の日本にとって最重要の問題になりつつあるようです。

そうした中でいま中国と腹を割った話が出来る国があるとすれば、それは日本をおいてないのではないでしょうか。(もちろん周到な準備は必要でしょう)
平和憲法を持つ日本は、日本としての独自の識見を持って、日中関係千数百年の歴史を背景に、中国と積極的に話し合うべき時でしょう。

それこそが、日本が世界に役立つ国として、その責任を果たす道に通じるのではないかと思っています。

日本まで道を誤ってしまえば、一体誰が問題解決の役割を果たせるというのでしょうか。
世界は日本に期待していると覚るべきではないでしょうか。


ロシアがウクライナに 侵攻したから

2023年01月11日 11時26分50秒 | 国際関係
この表題に続けて「日本も防衛力強化が必要」、あるいは「日本も集団的自衛権や敵基地攻撃能力が必要」というという事になるようです。

これで「そうだ、そうだ」というほど単純な人は日本人には多くないと思いますが、現実の自民党あたりの意識の構成過程を見てきますと、結局は、極めた単純に、上のような繋がりになっているのではないかと感じでしまいます。

ウクライナについてロシアが持っている意識は、歴史的な民族や言語の背景があってのことのようですが、そうした関係の認識はどこかに飛んでしまっているようです。

つまりは、ロシアのウクライナ侵攻のような形で日本に侵攻してくる国があるから防衛力強化を言うのだろうと思うのですが、そんな国があるでしょうか。

ロシア、ロシアがまさか日本をウクライナと同じように考えるとは思えません。日本の方で一方的にそんなことを考えても、ロシアは多分そんな気はないでしょう。

中国、中国は台湾に侵攻するかもしれないといわれています。中国も台湾は中国の一部と言っています。平和的解決を願いますが、場合によってはこれは有り得るかもしれません。しかし、中国はこれは「国内問題だ」と言っています。
日本に対しては、「これも国内問題だ」と言って侵攻するとは考えられません。

北朝鮮、北朝鮮が韓国を飛び越えて日本に侵攻する。そんなことも考えることではないでしょう。

未だ他にあるでしょうか。アメリカ、まさかアメリカが日本に侵攻するなどと考える政治家はいないでしょう。

今の政権は、早速に国民から税金を取って、場合によっては国債を発行して飛行機や艦船や、無人機やミサイルその他の装備を大幅に増やすと言っています。

自然災害なら、いつ起きるか解りませんけれども、対策を国民は認めるでしょう。自然現象は交渉の余地がないからです。交渉の代わりに研究費が必要で、これも国民は認めるでしょう。

国家間の関係は、自然災害と違って、お互いの話し合いによって結果をいかようにも変えられます。友好関係か敵対関係かは普段からの相互理解の積み上げによって決まってきます。

ですから国家間の問題は、戦争に至らない様な国家関係を、外交交渉、国際交流などの多様なかたちで、常に構築する努力が必要です。

この努力は、相手がどんな態度であっても常にしっかりやらなければなりません。
「相手が気にくわないから、交渉も交流もやめた」という事になれば、個人でも、国でも「喧嘩の始まり」です。

「喧嘩をするための道具をそろえよう」などと本気で言い出すと、聞いた相手は「やる気か」と身構え、次第に「交渉から口論」に入るでしょう。
戦争の始まりは常にそうした所にあることは、誰も知っているはずです。

そして「もうそれでいいのだ」と考えてしまえば、それはすでに戦争の入り口でしょう。
そうした所に行く以前に、国としては「戦争準備より真剣に外交交渉を」するべきでしょう。

今の政権からは、本当に必要な外交交渉への真剣な努力が見えません。仮想の相手国が本気でどう考えているかなど直接的な相互理解促進の努力があるのでしょうか。
相互理解の不足、そこに、いわゆる「疑心暗鬼」の源があるのではないでしょうか。

2023年 明けましてお芽出とうございます

2023年01月02日 20時48分01秒 | 国際関係
新年ですから恒例のご挨拶の言葉ですが、本当は言葉通りではなくて、ますます難しい年になりそうです。

日本では、近く始まる通常国会で、日本が戦争をする国になるのか、戦争はしない国として、その存在意義を世界に明示するのかが本格的に行われるでしょう。

もし戦争をする国と世界が日本を認識することになれば、日本国憲法の第9条は事実上死文化し、戦後70余年の世界平和への努力は雲散霧消でしょう。

日本が、国家権力によって国民に殺人を強制する国に戻るのだと、世界が日本を認識する事になれば、日本人は、これまでと全く違った思考方法を持たねばならないでしょうし、人生設計、生涯設計もこれまでとは全く違ったものにしなければならないでしょう。

今の日本人に、その認識と覚悟が本当にあるでしょうか。
多くの日本人は、そんな認識を明確にすることなしに、ウクライナの悲惨な画像もテレビの画面として一般化し、自分は勿論、家族や、更に子や孫に至るまで、戦争をする国の国民としての覚悟を持つ必要があるなどと考えてもいないでしょう。

恐らくこういっても、今の多くの日本人、その中で国会議事堂の中で、直接にこの問題について議論をする人達も、戦争という現実の中で、人間がどんな覚悟で、どんな気持ちで生活することになるのかを、実感として感じた経験はないでしょう。

偶々昭和1桁生まれで小学校6年まで生活の総てが戦争を前提としてたものだったという経験をしたものとして、1945年の8月15日を境に、自分の人生、その中での考え方が、いかに変わったかを経験することになりました。

その経験から感じ取った人生というものへの認識の変化を、きちんと、今の戦争を知らない人達に伝えて、戦争というものが、いかに人間という存在を蔑ろにするものかを知っておいてほしいと思うのです。

戦争の惨禍については知識としては情報化時代の人間は皆よく知っていると思います。
ここで確り記しておきたいと思うのは、そういう中でのそれぞれの人間の、人生に対する理解や意識の在り方の変化です。

戦争の中での、自分の意識というのは、基本的に自分の人生は自分では決められないという不安定感です。
何時かは戦場に立ち殺すか殺されるかの瞬間が来るでしょう。そして例え死のうとも、自分の死は戦争の目的のために役立ったという満足感をもつよう努力する、自分の人生がいつ終わっても、それは戦争の目的のためと信じる、これが人生の目的になるのです。

戦争が終わったと知った時の心の変化は、これまでの無理強いの信念、覚悟が、全く要らなくなった空白の時間がずっと先まで続いているという認識の変化でした。

考えてみれば、人間として生まれた時の状態に既に意識の在る自分が戻ったという感覚でしょう。

戦争がなければ、今後の人生は、自分で考えて自分で作って行くのかな。自分の人生は自分で考えて行かなければならないのだ。いや、自分の人生は本来、自分で設計し実践できるものだったのだ。つまり、人間の本来の在り方に気付いたという事でしょう。

全ての人間の持つ人権、その尊厳と独自性、生甲斐、その素晴らしさを、すべて「戦争の目的」という一色に塗り替えて、人間の生死まで国家権力が介入するのが戦争をする国という国の在り方だったのだ。日本はそんな国だったのかという思いに至ったのです。

戦争は、人間の「命と心」という尊厳を、冒涜し、破壊するものなのです。
日本を、戦争をする国にしようとする人たちは日本国民の「命と心」という尊厳を、冒涜し、破壊する国に、日本が改めて退化する事を、国として決めようという人たちだという事になるようです。

ゼレンスキー大統領の演説を読む

2022年12月24日 13時57分42秒 | 国際関係
ウクライナのゼレンスキー大統領が、アメリカの上下両院合同会議で演説しました。

今、世界で大変苛酷な立場にある国の大統領が、あれだけの覚悟の決意を持ってふるった弁舌に対して、アメリカは深い共感と賛意、恐らくそれに感謝の気持ちを表す起立と拍手で高く評価したようです

ゼレンスキー大統領の演説は、2つの大きな論点を持っています。
1つはアメリカの支援に対する深い感謝、そしてもう1つは、アメリカの支援によって、ウクライナは絶対負けない、何も恐れることはない、我々は世界に勇気を与える、プーチンは我々を支配することは出来ない、
という2点を極めて明確に説得力ある演説をしているのです。

ゼレンスキー大統領のこうした強い信念の言葉を支えるのは、今ウクライナのやっていることは、この戦争は領土を守るためだけではなく「民主主義のための戦い」だという明確で強固な意識でしょう。

ついこの間まで、ウクライナは美しい都市キーウを中心に、多くの国民は平和で豊かな生活を優れた芸術の文化とともに楽しんでいたのでしょう。

そうした世界が、一人の独裁者のために突然破壊と人の生命の犠牲を平然と伴うような戦争に巻きこまれたのです。

戦争の惨禍に耐えられない人は国外に出ましたが、この戦争が自分たちの自由で平和な生活を取り戻すために必要と意識する人達は、戦場に立つことになったのでしょう。
そしてそれには、自由と民主主義の世界を独裁者から守るという、人類社会の基本的な問題が重ねられているのです。

ゼレンスキー大統領は、我々が戦う、アメリカには支援だけを要請する、ロシアは我々より多くのミサイル、航空機を持っている、我々にはアメリカの支援は不可欠だ、それは勝利を齎す、世界の安全と民主主義への投資だと理解してほしい、と述べています。

世界の将来のためにウクライナが(多くの犠牲を払ったとしても)勝利まで戦うという、まさに犠牲的な気持ちが明確だという感じを与えるところです。

ところで、いま日本は、集団的自衛権を認め、敵基地攻撃能力を持とうとしています。そして、国民は何処の国がどう動いて、そういう事態が起きるのか、政府が何を想定しているかを知りません。

恐らく政府も国民と同じ程度にしか理解していないのでしょう。ロシア、中国、北朝鮮、などがマスコミには出て来るのが一般的です。

しかし、どの国も、将来は友好関係を保ち、相互に発展を支え合うように、かつてより考えて来たし、今後もそうするべき国のように思われます。

日本は一体何をしようとしているのでしょうか、現政権が何か考え方を持っているのでしょうか。でなければ、誰かに頼まれた結果なのでしょうか。

ゼレンスキー大統領の演説は、心を打ちます。ウクライナには深甚な感謝をしなければならないでしょう。

同時に日本は、本当にそうしたことが出来る国なのでしょうかと考えてしまうところです。
今の政権がどう考えているのか国民は皆知りたいのではないでしょうか。

人権団体の国際協調の動きは貴重

2022年12月10日 13時42分04秒 | 国際関係
人権団体の国際協調の動きは貴重
今年のノーベル平和賞にベラルーシの人権活動家アレン・ビャリャツキさんとロシア人権活動団体「メモリアル」とウクライナの人権団体「市民自由センター」が選ばれました。

世界中が心配しつつ見守っているロシアのウクライナ侵攻問題のさなか、この二国の人権団体とロシアと深い関係を持つベラルーシの人権活動家をノーベル賞受賞者として選んだノーベル賞選考委員会の知恵に絶大な賛意を示す人は多いでしょう。

ベラルーシのビャリャツキさんは、は反政府運動で現在収監中という事で、授賞式には夫人が出席されるとのことですが、ロシアの「メモリアル」の幹部の方達は世界のマスコミからの取材に対して積極的に発言をされているようです。

「メモリアル」の存在は今回初めて知った人が多いでしょう。ロシア国内でも厳しい言論統制の中でこの組織の存在は余り知られていなかったようです。

今回の受賞で初めて知り、驚き、喜び、何らかに希望を見異だしているロシアの人々多いと思わせる報道が多くみられます。

「メモリアル」自体、解散を命じられ、異議申し立ては、ウクライナ侵攻と同時に棄却され、解散命令の中にあるとのことですが、「メモリアル」幹部のヤン・ラチンスキーさんは、受章は大きな力になる、ロシアはこれから変わる、と積極的な発言をしているとのことです。

ウクライナの「市民自由センター」は、ロシアの侵攻以来、戦争犯罪に記録に取り組んでいて、受章は喜びと力になる、自由と平和、民主主義のために、この活動をさらに積極的に続けていくことを表明しているようです。

こうした報道から多くの人が現場における現実、権力によって隠された真実を知ることが出来ます。独裁者の専横と抑圧の中で、報道の自由の制限から隠されていた真実を部分的にでも実感として受け取ることが出来ることは貴重です。

独裁者への反抗は至難でしょう、それを国際連帯の力で、少しでも進捗させる力につなげることが、「国際連帯」という行動の、更なる可能性の拡大を齎していくのではないでしょうか。

何処の国にも自由と平和、そして民主主義を望む人はいるのです。そうした人たちを繋ぎ、縦の抑圧を時間をかけても切り崩す横の連帯・協調は、これからも地球社会の平和と安定のなめに必要であり続けるのではないでしょうか。

独裁者を「引き下ろす」事の出来るのは、その国の国民だけではないでしょうか。国連にその権力がない現在、外国が関与しようとすれば、それは戦争を伴う可能性が大きなものになります。

平和のために戦争をするという事は、必然的に一方的な理屈となり、多くの人の平和な生活を破壊します。

残念ながら、今もそうした困難に世界は直面しているのです。
しかし国民の多くは平和と安定を希求しているとすれば、そうした意識の国際連帯・協調を進めることが唯一の平和的な問題解決の方途という事になるのでしょう。
ロシアにおける、今後の動きを注目するところです。

日本国連安保理で「法の支配」の公開討論会

2022年12月05日 12時15分44秒 | 国際関係
日本は来年と再来年の2年間、国連「安全保障理事会」の非常任理事国を務め、来年1月は議長を務めることになっています。

日本政府は、この機を「世界の安全保障」のために役立てるという事でしょう「法の支配」をテーマにして公開討論会を開催するという方針を決めたとのことです。

このタイミングで、日本がこうした公開討論会を決めたことは、世界から最も歓迎されることではないでしょうか。
林外務大臣が議長を務めるとのことですが、日本としては、このタイミングは、いわば「絶好のタイミング」でしょう。公開討論会が成功を収めることを強く願うところです。

今、世界は、ロシアのウクライナ侵攻問題を抱えて、混乱状態にあります。
一国の中においても、世界全体においても、「法の支配」が貫徹しなければ、安全保障理事会の任務である「平和と安全の保障」は実現しません。

恐らく、国連傘下の世界の国々のほとんどは「法の支配」の確立を希望しているでしょう。しかし現実は小数ですが、「法の支配」を逸脱した行動をとっている国があります。

その中の大国、ロシアと中国は安全保障理事会の常任理事国で、「拒否権」を持っています。
第二次世界大戦を集結させ、その後の世界の安全保障を確実なものにするために、常任理事国5か国を決め、常任理事国には「拒否権」を付与したのでしょう。

それが、現状の国連の機能不全を齎しているという皮肉な結果になっているのです。
今日の現実は、常任理事国のうちロシア、中国という2か国が、共産主義の専制国家となり、国際司法の判断を無視する行動を重ねることになっています。

この状況を正さない事には世界の安全保障はありません。日本が主催する「法の支配」をテーマとする「国連の公開討論会」は、この状態をいかにして正していくかの世界の意見を聞く事の出来る重要な機会でなないでしょうか。

日本は、世界に率先して戦争の放棄を決めた国です。「世界の平和を誠実に希求する」という日本が主催する「公開討論会」です。

戦争をしないと宣言した日本が主催するからこそ、重要な意味を持つという事が、十分に世界に示される、日本が主催したからこその成果が期待されます。

世界の希求にこたえる「公開討論会」になるための舵取りを政府に期待します。

装備はするが戦争はしない国へ

2022年12月02日 16時12分57秒 | 国際関係
防衛費大幅な増額、防衛能力の大幅アップが進むことになりそうです。
今年までの5か年の年29.5兆円から23-27年度の5か年間で、40~43兆円にふやしていくという方向が与党内で了承というのがマスコミ報道です。

これも、プーチンのウクライナ侵攻、習近平の台湾併合宣言、更には北朝鮮の大陸間弾道弾開発の進展などの影響もあってのことでしょう。

この三国のいずれも、独裁者の君臨する典型的な専制国家という事で、プーチンの例に見ますように、「独裁者は往々交渉には応じないという現実」に対応する行動という事になるのでしょうか。

日本は、戦争はしない、すべては外交交渉で解決するというのが本来の方針だったのでしょう。しかし、それでも一方的に戦争を仕掛けられた時には、国際法でも認められる正当防衛には全力を尽くす、という考え方の結果が、自衛力の保有になったのでしょう。

ところで、今回のプーチンのウクライナ侵攻は、従来の常識を崩壊させたのでした。
話し合いもなく突如として戦争を仕掛けたのです。

出来るだけ交渉で解決と考えるソフトパワー重視の民主主義国は、自らの都合だけで、戦争も辞さずというハードパワー信奉の独裁国家には交渉では対抗できないという現実が発生したのです。

正気の人間としてはあり得ないプーチンの行為は、最終的には、世界から徹底的に断罪されるべきでしょうが、現実い起きた事には人類社会は対応しなければなりません。

戦後の日本は、人間が努力すれば戦争などなくなるもののはずだから、日本はそのために戦争をしない国として世界に貢献していくべきというのが憲法の精神でもあるのでしょう。

多くの日本人は、それを善しとして、如何なる場合でも日本は再び戦争をすべきでないと考えてきました。

しかし同時に、日本人のなかにも、人類に争いはつきもので戦争がなくなることはない、日本も確り軍備をして場合によっては戦争もできる国であるべきだ、という、考えを持つ人もいないわけではないでしょう。
今回のプーチンのやったことは、戦争は止めよう、平和な世界を作ろうという考え方に、大きな不安感を与えたようです。

今のウクライナの状況を見れば、「反撃能力(敵基地攻撃能力)」を持たなければ大変なことになるという意識も強くなっているように思われます。

今、地球人類が直面している問題の直接の原因は、プーチンのような人間を、今後も国際社会は作りだすだろうかという事のような気がします。

これは形式的民主主義が、独裁者を作りだしてしまったという民主主義の失敗の結果だったのでしょう。

プーチンのウクライナ侵攻問題は、民主主義と専制独裁国家の戦いだと言われていますが、問題の根源はグローバルな民主主義の徹底をいかにして実現するかというところに帰着するように思われます。

現状では国会の防衛力論争も必要でしょうが、日本としては、ロシア、中国、北朝鮮などの近隣独裁国家との関係正常化に「日本の独自性」を前面に取り組むことを、もっと積極的に進める必要があるのではないでしょうか。

そこから学ぶ事は多いでしょうし、防衛力の議論も、より実態的なものになるような気もします。

ポーランドにミサイル着弾、望まれる冷静な対応

2022年11月17日 14時46分00秒 | 国際関係
ロシアのウクライナ侵攻では、地上戦におけるロシアの戦力の不振が報道されています。

その代替手段という事でしょうか、ロシアは、ウクライナの至る所に、ミサイルを撃ち込み、特にインフラのための施設、市民のための公共の施設などが狙われているとみられているようです。

ウクライナにとっては過酷な戦いです。現代の戦争は、無人機や、自爆型ドローン、各種のミサイルなどで、人間が出動しなくても、相手に打撃を与えることが可能です。

そして、現在のロシアとウクライナの立場から言えば、ロシアはウクライナ全土にミサイルを撃ち込むことが可能ですが、ウクライナはロシア国内にミサイルを撃ち込むことは出来ないというハンディを持っての戦いになっているのです。

このウクライナにとってまさに過酷な状態は、嘗て太平洋戦争の末期、アメリカの「空の要塞」B29爆撃機が、日本全土に徹底した爆撃を行い、日本の対空砲火も迎撃機も、ほとんどB29の前には役に立たなかったという経験をお思い起こさせます。

こうした、いわばハンディのある戦いの中で、ウクライナを通り越してポーランドにミサイルが撃ち込まれたと見られるような異常事態が起きたのです。

ウクライナは、ロシアのミサイルが飛び過ぎたという見方でしょう、ロシアのミサイルの着弾と発表しましたが、一方アメリカは、即日ウクライナの迎撃ミサイルの可能性というマスコミ報道を出しています。

戦争という異常事態の中ですし、ミサイルにしても何百何千発も打てば、計器のセットや計器自体の誤差や不具合もあり得るかもしれませんが、ロシアはすべて否定します。
いずれ検証の結果は出るのでしょうが、事は大変重大の問題をはらんでいるのです。

というのは、もしロシアのミサイルであれば、間違いにせよ、NATOの加盟国にミサイルを撃ち込んだという事になり、事は対ウクライナを越えて、対NATOという問題に発展しかねません。

これだけは絶対に避けなければならない、これ以上の戦争拡大は、世界にとって巨大な悲劇につながる可能性があるからです。
戦争の早期終結を望むのは世界の人々の共通の意見でしょう。核の使用までちらっつかせるロシア・プーチンに対して、世界は揃って「ノー」と言っているのです。

一方、自由世界対独裁国家の戦いの場となっているウクライナの苦悩に、自由世界は共通に強い共感を持っているでしょう。

現状、徹底した実態調査の結果を待つという事でしょうが、結果を確り検証しつつも、その結果が、これから先のロシアのウクライナ侵攻問題の徒な混乱に繋がらないよう、その早期収拾に関係者の十分な協力を世界の人々のために期待したいところです。