tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

自由世界と独裁政権:人類は解決策を見出だせるか? 

2021年02月12日 20時52分47秒 | 国際政治
自由世界と独裁政権:人類は解決策を見出だせるか? 
 米中対立の構図がこれからの世界にどんな影響をもたらすのかという問題を「平和を前提にした安定した経済・社会の発展」という視点から見てみようとしていた結果、政治の問題のまで関係が及んで来てしまいました。

 考えてみれば、政治と経済とは常に関係しあっているもので、だから、大学にも「政経学部」というのがよくあるという事なのでしょう。

 そして、当面到達した結論というのは、世界史で問題を起こしているのは、政治思想や経済思想の違いだというのは、学問という視点からの研究のテーマで、一般人が常識の範囲で判断をすれば、もう少し単純な理由、単に独裁者が率いる、独裁国家、全体主義国家によって引き起こされるのではないかと思われるのです。

 社会主義、共産主義は、もともと、初期の資本主義の強欲な資本(実は資本を持つ人間)に社会正義の立場から反抗し、より平等な社会を目指した思想・運動でした。

 今、資本主義は経営者革命や、労働組合主義、社会保障制度などを取り込んで、社会主義的資本主義や福祉国家の概念も創り上げ、資本主義の中で、格差是正、貧困の撲滅を目指しています。

 ならば今の資本主義と社会主義、共産主義は、十分共存は可能でしょう。なのになぜ、共存せずに対立するのでしょうか。

 かつての米ソ冷戦でもそうでしたし、今の米中対立つでもそうですが、対立の原因は、地政学的な脅威や欲望(地域の分捕り合戦)、それと貿易から私的所有権までの経済的損得の問題です。

 くした対立は子供の喧嘩と同じで思想も理屈もありません。国連では、紛争の解決方法についてはルールを決めています。しかし、それを守らない国があるから、紛争が起きくのです。

 そして、こうした国際的なルールを守らないというのは独裁国の特徴です。それが証拠には、社会主義、共産主義の国でなくても独裁国はルールを守りません。そして、共産主義の国でもルールを守る国はあります。(例:ベトナム)

 卑近な例では、トランプ政権は、時に国連のルールを無視しました。トランプ政権は自由主義、民主主義の国の政権ですが、ルールを守らないとトラブルが起きます。 トランプ政権は部分的に独裁主義だったのです。

 という事で、問題を単純化して考えれば、独裁国がルールを無視することを、何らかの方法で止めてもらうという事で片つく紛争が殆どでしょう。

 多くの人は、それは戦争で解決するしかないと考えるかもしれません。しかし戦争ではあまりに犠牲が大きすぎます。

 現実問題として、今、本気で戦争をしようとすれば、眠っている核戦力が目を覚まし、コロナどころではない世界人類が滅亡に瀕する事態が起きるでしょう。
 だから戦争はないと多寡をくくって、ルールを無視するのかもしれません。

 今はネット上であらゆる情報が一瞬のうちに世界を飛び回る状態です。多くの国民は、おそらく独裁者本人より多くの知識、優れた知恵、そして頭脳を持っているでしょう。
 だからこそ、独裁国では多くの場合反政府デモが一般的です。

 こんな状況にありながら、独裁国は存在し続け、世界は神経戦も含め紛争が絶えないのです。しかも独裁者は大抵1人で、その信者や、恐怖などで忖度する人が周囲を囲んでいるのです。

 この問題を、平和的に解決する方法を人類は考えなければならないのですが、矢張りそれは人類にとって不可能な課題なのでしょうか。

日米関係:ロン・ヤス、ドナルド・シンゾー、ジョー・ヨシ?

2020年11月14日 17時09分11秒 | 国際政治

アメリカは何を考えているのか
 トランプさんの法廷闘争は続いていますが、大勢は決まったのでしょう、バイデンさんはアメリカの分断の修復と経済社会の新しい発展に向けての動きを積極化するようです。

 トランプさんがゴチャゴチャにしたアメリカの内外の問題を早期にまともな軌道に乗せるのは大変でしょう。しかし、アメリカの為は勿論、世界の為にも、そしてわが日本の為にも大いに頑張って頂きたいと思う所です。

 ところで、共和党から民主党、トランプさんからバイデンさんになって、日米関係はホッと一息という意見もありますが、「アメリカの対日政策は、基本的には変わらないのだ」という厳しい見方もあるようです。

 そんなわけで、今迄の日米関係、特にアメリカ大統領と日本の首相が大変仲が良かったといわれる2つの時期をとって、そのとき何があったかを見てみたいと思います。

 先ず出て来るのはロン・ヤスと言われたレーガン大統領と中曽根首相の時に何が起きたかです。
 お互いに別荘や山荘に招き合い、仲の良さを見せられた記憶はありますが、戦後の日米関係の中で日本に最も過酷な影響を与えた「プラザ合意」は1985年まさにロン・ヤスの真只中での出来事です。
 
 プラザ合意はG5(当時はアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、日本の5か国の蔵相会議)で、この時はニューヨークのプラザホテルで行われました。
日本からの出席は竹下大蔵大臣、アメリカはベーカー財務長官で、直接「ロン・ヤス」ではないのですが、もちろん国を代表しての会議です。

 この席で、欧米経済の不調をしり目に、世界第2位の経済規模と安定成長の持続を誇り、当時絶好調だった日本経済を、30年にわたる長期不況に陥れることになった「円高容認」が合意されたのです。

 トランプさんと安倍総理の仲の良さもテレビ随分拝見しました。トランプさんもシンゾーは親友だと言っているようですが、お二人のやり取りの中では、トランプさんのかなりの問題発言もあります。例えば、真珠湾は忘れないとか、日米安保条約に疑問を呈するといった言葉もきかれました。ちょっとした脅しのようです。

 安倍さんの方は、広島・長崎は忘れないなどという言葉は絶対に出ませんから、好き勝手に言いたいことをいえたのでしょうし、本音は、戦闘機100機とか、イージス・アショアなどを買えとか、果てはカジノ3か所をアメリカの企業にといった希望(要求)との兼ね合い発言かも知れませんが、親友への発言としてはかなり棘があるような気もします。(何せ、アメリカは万年赤字国、日本は世界有数の黒字国ですから)

 トランプさんの方はまだあからさまに言うようですから、率直なような気もしますが、プラザ合意の方は、親密なはずの日本に仕掛けた、アメリカに追いついてくる2番手の経済大国に対する蹴落とし作戦だっとという理解も十分可能なようです。

 今、アメリカは、経済規模2位の中国に対して、対応に躍起ですが、こちらは二匹目のドジョウはいなかったようで、今後に持ち越されています。

 こんな状況を見ても、アメリカは、大統領がだれであれ、何党であっても、基本的に覇権国の地位を守ることに最大の関心を持っていると考えるのが当然でしょう。

 まあ、プラザ合意でこれだけ痛手を負った日本にしても、アメリカの作戦が上手だった、のに対して、日本の対応は著しく拙かったという判断も可能で、一概にアメリカを責められないとも思う所です。

 さて、今後のバイデンさんと菅さんの関係が「ジョー、ヨシ」と呼び合うような関係になるかどうかは解りませんが、優しい目をしたバイデンさんが、どんな人柄かはさておき、菅総理も、すべての日本国民も、「アメリカという国」に対して決して油断しないようにしなければと思う所です。

ゴルバチョフ氏『朝日新聞』への寄稿の重さ

2020年09月25日 11時49分42秒 | 国際政治
世界史を一度変えた人はこう考える
 「あらためて付加価値の意味を考える」シリーズを書いていますが、今回はゴルバチョフ元ソ連大統領の朝日新聞への寄稿があったので、急遽取り上げることにしました。
 
 ゴルバチョフ氏は、御存じのように「ソビエト連邦」という共産主義独裁国家を、その大統領として解体した人です。
 恐らく、それまでのソ連の体制でこの国が存在しても世界のためにならないと考え、もちろんソ連邦の人々の為にもならないことを的確に理解し、同時に、東西冷戦という構造の中で、核兵器を際限なく積み増していくという事の愚かさを終わらせるべきだと考えた人なのでしょう。

 その人がコロナ禍という人類共通の、国家のレベルを超えた災害への対応という意識とともに、人類は、国家の枠組みを超えて協力しなければならないという、あるべき姿を世界に訴えたいという心を抑えきれずに書いた寄稿と思っています。

 お読みになればすぐにご理解いただけると思いますが、ゴルバチョフ氏が、今89歳にして本当に言いたいことは米ソ対立の経験を踏まえて、今の米中対立についての指摘
 「二極対立のどのようなシナリオも、国際政治の展望に好ましい要素を見せることはあり得ない」という切実な思いでしょう。

現在のコロナ禍に例をとれば
 「WHOの崩壊を認めないことが、人間の安全保障分野における国際的な協力のかけがえのない分野」との指摘のように、世界は分断・対立でなく協力の理念でしょう。

 そして、この人間の安全保障分野の最も重要な問題としての核軍縮の問題について
 「核軍縮のあらゆる枠組みを壊す方向にあるトランプ政権は世界を戦略的なカオスへ導いている」とトランプ政策を批判し、核軍縮の国際的課題を指摘しています。

同時に、「核大国ロシアも、切実に取り組むべき問題」と述べ、これには中国も加わる可能性に言及しながら、核戦争に勝者はないとした1985年のジュネーブにおけるレーガン・ゴルバチョフ声明は役に立つものであったはずだという気持ちも吐露しています。

 「米ソが核軍縮の合意に達した時、人類は平和な未来の可能性を意識して呼吸を楽にした」と書いていますが、我々にとっても、東西対立が消え、核戦争の危機が遠のき、世界が同じ自由圏になるといった安ど感でホッとしたことを思い出します。

 しかし、現実はそう簡単ではなく、その後「 歴史に学ばない人」が主要国を含めてリーダーになり、事の所、世界は、独裁主義の亡霊に悩まされています。

 ゴルバチョフ氏自身も、「せっかく頑張ってやったのに・・・」という気持ちがますます強まり、こうした文章を発表しなければならない心境に至ったのでしょう。
 これを無にしてはならないと、つくづく思う所です。

 最後にゴルバチョフ氏は
 「国家のエゴイズムが生み出す本能に追随するのか、あるいは、国家の相互の結びつきや相互依存が必要な時だと自覚するのか、人類の未来はこの選択にかかっている」
と述べています。

国連を生かすことこそ人類社会に必要

2020年01月07日 23時03分23秒 | 国際政治
国連を生かすことこそ人類社会に必要
 アメリカの暴挙から2日がたち、アメリカとイランの間で、報復についての応酬がエスカレートしようという中、タイミングを計ったのでしょか、国連のグテーレス事務総長が、名指しは避けながらも、アメリカ、イラン両国や関係国に「自制を」と呼びかけました。

 グテーレス事務総長は、ことに重大な懸念を持つことを伝え、事態をさらに悪化させないよう最大限の自制を要請し、「戦争を避けることは我々共通の責務」と言っています。
 ここで、我々というのは当然、「国際社会」という事でしょう。

 アメリカ、イランがどう受け取ったかは解りませんが、特に、事を仕掛けたサイドのアメリカは、国連からの発言をどう受け取ったのでしょうか。
 おそらく、アメリカの中にも、この発言を、国際社会からの声として、重く受け止める意見もあるでしょう。

 しかし考えてみれば、この所アメリカの国連軽視は相当なものです。ユネスコからの脱退、分担金の滞納を始め、都合よければ国連決議を使い、都合が悪ければ国連決議を無視するといった状態であることは広く知られています。

 第二次大戦後、国際連盟に替えて、新たに「国際連合:国連」の設立を主導したのはアメリカではなかったでしょうか。
 国際連盟の本部は、永世中立を掲げるスイスのジュネーブにありましたが、国際連合の本部は、アメリカのニューヨークに置くことになりました。

 つまりアメリカは世界の平和と安定のために国連を自ら支え、人類社会のガバナンスを国連の名のもとに実現することを考えていたのでしょう。
 経済ではこの枠組みは「GATT、IMF体制」でした。しかし、これはアメリカの「夢」に終わったようです。経済の面でアメリカが赤字国になり、GATT、IMF体制の維持ができなくなって以来、アメリカの転落が始まったようです。

 アメリカの「夢」自体は正しかったのでしょう、今回のグテーレス国連事務総長の発言は、たとえ形骸化したとはいえ、人類社会のガバナンスを確保するための組織「国連」のあるべき姿を世界に闡明しようとする、まさに志の高い重い発言として、当事者をはじめ人類社会全体から受けとられなければならないものでしょう。

 国連の「権威」は人類社会のあるべき姿を体現するリーダーと、それを明確に理解して従うフォロワーがあって初めて生まれるものなのでしょう。
 かつて人類社会の夢を提示したアメリカが、グテーレス発言をいかに受け取るかが、立派にフォロワーとしての役割を果たすかどうかが、当面する人類社会のの危機の行方を決めるのではないでしょうか。

アメリカの暴挙:覇権国がトラブルメーカーに

2020年01月05日 00時28分20秒 | 国際政治
アメリカの暴挙:覇権国がトラブルメーカーに
 付加価値の重要性を認識の基本にして経営や経済を論じようというのがこのブログの目指すところですが、今年は新年早々から論じることに嫌気がさすような事件は起きてしまいました。

 ゴーンさんの密出国があったかと思うと、次はアメリカの無人機が、イランの革命防衛隊の司令官を殺害するという事態が発生しました。
 問題の質も、影響する分野も、その大きさも全く違うものですが、 この調子では今年はとんだ年になってしまいそうです。

 地球社会で起きる様々な問題を、人々の自由と平等を正義(justice)の物差しで合理的に調整し、国際社会は平和を大切にし、それによって国内では平穏な日常が保たれ、人類の文化がより高度に発展していく事を楽しむような状態を、大多数の人間は希望しているはずですが、その中で、自分のためか、国などのためか、などなど、いろいろな理由で、社会にトラブルを引き起こす「 トラブルメーカー」は後を絶たないようです。

 特にアメリカの無人機によるイランの革命防衛隊司令官殺害の問題は、アメリカが世界の覇権国であり、その大統領が、「平和のために殺害した」と自らの手柄のように喧伝したのですから、アメリカというか、トランプさんというか、いずれにしても尋常な神経の持ち主ではないのではないかといった疑念を感じてしまいます。

 イランは即座に、それなりの報復をすると明言していますが、対抗上当然でしょう。
 これはアメリカのイランに対する宣戦布告に等しいと言いう意見も出ています。アメリカは口ではそれを否定しているようですが、行動そのものが判断の基準になるということではないでしょうか。

 思い出されるのはかつてのブッシュ大統領による、フセイン政権のイラクに対する侵攻です。アメリカは戦いに勝ったというのでしょうが、専門家によれば、これは結果的にISの誕生につながり、世界にテロ組織を拡散させるという事態を招いたと言われます。

 軍事的侵攻や殺戮、戦争といった手段によって平和を生み出すという事は、基本的に理論矛盾ではないでしょうか。

 アメリカが太平洋戦争で日本に勝ち、その結果、日本が平和な民主主義国に生まれ変わったという例をアメリカは成功体験として記憶しているのかもしれません.

しかし、、日本人から言わせてもらえば、あれが成功したのは、日本人が、戦後、 本来の思考回路を回復し、明治以来の拡張主義を反省、トラブルシューターとしての役割をきっちり果たしたからという、恐らく例外的な現象の結果だったのではないでしょうか。

 トラブルメーカーばかりの世界では、平和などは望むべくもないのではないでしょうか。

「苦しい時の神(国連)頼み」、ご都合主義の国連利用でいいのか

2019年09月06日 12時18分27秒 | 国際政治
「苦しい時の神(国連)頼み」、ご都合主義の国連利用でいいのか
 中国がWTO(世界貿易機構)にアメリカの今回の関税引き上げは怪しからんと提訴したとのことです。

 これを聞いて、WTOに「正しい判断をしてほしい」と本気で頼んでいるのか、それにしてもよく「WTO頼み」に踏み切ったものだとびっくりしました。

 中国はかつて、南シナ海の大部分を中国領だと主張していることについて、「その主張には正当性がない」とした、仲裁裁判所の判断を「紙屑だ」といって無視した国です。
 今回アメリカの関税政策が、「妥当でない」という判断を得ようとして提訴したのでしょうが、もしアメリカに不利な判断が出た時、アメリカがそんなモノは「紙屑だ」といっても「そうですね」と納得するのでしょうか。

 こうした矛盾は中国に限りません。ロシアはクリミア併合のついての国連の決議に反論して無視を続けていますが、今回アメリカがミサイルの実験をしたことについて中国とともに緊急の安全保障理事会の開催を要請し、アメリカの態度を批判しました。

 こうした現状、主要国が自国の都合によっては国連や国連機関の決定や裁定を無視し、また別の都合については国連や国連機関を利用して自分たちの正当性を主張しようとするという点については、国連設立を主導し、国連本部を自国に置いたアメリカも全く同様です。

 有名なエルサレムへのアメリカ大使館移転などは、国連決議を全く無視しての行動ですが、北朝鮮への制裁については、国連決議を世界中に守らせると躍起になったり、最近は北朝鮮のミサイル発射を(アメリカまではとどかいないからでしょうか)全く気にしていないような態度だったりで、国連無視と、国連頼みを使い分けています。

 こうした国々が国連の中枢の安全舗装理事会を構成しているわけですから、現状では国連がまともに機能することはほとんど望み薄です。
 しかし考えてみれば、これから創られる長い人類社会の歴史を考えてみても、世界をリードしようという大国が、こんなことをしていたのでは人類社会の正常な、安定的発展は望み薄でしょう。

 最近の世界情勢の混乱は、こうしたご都合主義の横行に対して、本来人類社会の在り方を示すべき国連が無力であることの結果でもあるのです。

 ならば、誰かが、世界の国々は本気で国連とその判断を大事にしようと言い続ける必要があるでしょう。
 そんな発言は現状では全く無力かもしれません。しかし誰かが、そして、次第により多くの国々が、声を大きくしてそう発言することが何時かは世界を、人類社会の在り方を変えていくのではないでしょうか。

 第二次大戦後生まれ変わり、国連中心主義を標榜し、平和憲法を持ち、人畜無害で、この70余年、世界経済社会の発展に貢献することだけを生真面目に実践してきた日本は、その役を果たすのに適任ではないかと考える所ですが、どうでしょうか。

アメリカ・パッシング(敬して棚上げ)というわけには・・

2019年08月27日 12時56分20秒 | 国際政治
アメリカ・パッシング(敬して棚上げ)というわけには・・
 G’7ビアリッツ・サミットは、開闢以来の「共同声明なし」で終わったようです。

 それでも、何にもなくて済むわけではないので、議長役のマクロン大統領は、合意事項を1枚に纏めて発表すると記者会見で述べています。
 さらに、個別事項については、項目ごとに整理するという意向のようです。

 合意出来たものだけでも確認することは重要ですから、7首脳で合意できたものはやはり世界に向けて確りと発表することが大事でしょう。

 当面まとまる様相にない米中経済摩擦問題などは、アメリカが好んで2国間に持ち込んでいるものですから、G7でどうなるというものでもありませんが、イランの核問題については、なんとか米・イラン首脳の会談の可能性にきっかけぐらいは出来たようです。
 気候変動の問題もほとんど触れられなかったようですが、覇権国アメリカが原因でもめている問題は、結局G7の手に余るということでしょう。

 マスコミの見出しにあるように、まさにアメリカに振り回されたG7ですが、アメリカ以外の国々は、いかにアメリカの反対を避け、余計なトラブルなしに、纏まるものだけでも纏めようということになるのでしょう。

 超大国アメリカを無視するわけにはいきませんが、出来るだけアメリカの迷惑な主張には触れず、纏まるものだけでも纏めようということになると、これはまさにアメリカ・パッシング、アメリカは出来るだけ敬遠するに如かずということでしょう。

 さきにTPPは、まさにアメリカ・パッシングの先例を作ったわけですが、今のトランプさんのアメリカが続く限り、この傾向は進みこそすれ、アメリカも同じ仲間にということには、なかなかならないのでしょう。

 問題は、そういう状況をアメリカ自体がはっきり認識して、それでいいのか、それでは駄目なのか、何が正論かを理解することでしょう。
 当面トランプさんにはそうした思考回路が出てくる可能性はないようですから、アメリカの世論に期待るよりないのでしょう。

 アメリカ・ファーストと言って大統領になったトランプさんとしても、アメリカの世論に抗することはないでしょう。もちろん、アメリカ・ファーストのままでいいのか、最終的にはアメリカの世論がトランプさんの去就を決めるのでしょうから。

 来年のG7サミットは、アメリカはマイアミだということのようですが、トランプさんはそこで、再選を確実なものにしたいと思っているのでしょう。
 しかし、アメリカ・パッシングの様相が種々あらわれてくると、それはまさにトランプさんにとっては危機でしょう。

 さて、そんな兆候が見えたG7サミットでしたが、来年のG7サミットまでにどんな展開があり、来年はどんなサミットになるのか、関係国首脳の今後の動き、アメリカの世論がいかに覚醒するか、今後の1年は大変大事になるような気がするところです。

理解不能?トランプ大統領の頭の中

2019年08月21日 17時36分21秒 | 国際政治
理解不能?トランプ大統領の頭の中
 またトランプ大統領が変わった事を言いだしました。 「グリーンランドを買いたい」といったようです。

 トランプさんはもともと不動産屋だから、土地と資源欲しさに冗談を言ったのかと思いましたが、この話を聞いた、デンマークのフレデリクセン首相から、「馬鹿げている」と言われたとかで、忽ちお臍を曲げたようです。

 グリーンランドは、人口わずか5万6千人ですが、デンマークの中で高度な自治権を認められていて、EU脱退なども自治政府が決めています。
 今の世の中で、誰が考えても不動産取引の材料になるなどという発想は生まれないはずですが、さすがはトランプさんですね。

 しかしこのやり取りの結果、フレデリクセン首相が話し合いをするつもりがないのなら9月2にからのデンマーク女王招待のデンマーク訪問は「また別の機会に延期する」と説明をしたということです。

 トランプさんの頭の中は、国際関係も不動産取引と同じで、領土の買収も企業のM&Aと同じだということになっているのでしょうか。

 かつてアメリカは、19世紀初頭、フランスのナポレオンからルイジアナを買い、その後の西部開拓で(西部劇というおまけもついて)西海岸までが今のようにアメリカになったようですし、19世紀中葉には、ロシアのロマノフ王朝からアラスカを買ったわけですから、その伝で行けば、グリーンランドを買いたいといっても、おかしくないのかもしれませんが、世界の常識とはかなりかけ離れているようです。

 目的は、版図の拡大、資源の確保、それらによる地政学的な優位性の確保という事でしょうか。

 しかし今の世界は国連という地球人類全体をカバーする組織もでき、核兵器の開発で、世界戦争は不可能といった世の中になっています。
(まさかアメリカは第三次世界大戦を考えているのではないでしょうから)
アメリカだけが版図を広げ、資源を持っても、それで「偉大なるアメリカ」が実現するとは考えられない時代になっているのです。

 広大な領土の経営には巨大なコストがかかりますし、資源は経済力さえあれば買える世の中です。戦後の日本の経済発展がそれを実証しています。逆に今のアメリカはシェールガス・オイルで世界一の産油国になっても、経済活動の結果は万年赤字国です。

 それを挽回しようということで領土と資源を求めるのであれば、それはまさに19世紀の知恵でしかないのでしょう。
 アメリカが何処まで堕ちるか、アメリカの擁する優れた頭脳は、一体今何をしているのでしょうか、アメリカ自体が本格的に自らを再検討しないと、とんだことになりかねないようい思う所です。

難民問題、素直(すなお)に考えてみれば

2019年08月16日 21時40分47秒 | 国際政治
難民問題、素直(すなお)に考えてみれば
 昨日は終戦記念日。日本では、「不戦の74年を令和の時代にも変わらずに続けていきたい」という願いが、戦争経験を持つ人、経験はなくても戦争の不条理を理解した人達から強く聞かれました。

 確かに1945年夏以来、日本は不戦の時代を過ごして来ました。国民はそれぞれにいろいろな問題を抱えながらも、不戦の世の中の有難さを実感して来たのでしょう。

 しかし、世界を見れば、内戦などで住むところを失い(勿論、命さえ失う人も少なくない現実です)、戦のない所を求めてさ迷う人たちが急激に増えているのが現状です。

 その点、日本は幸せだと思うからこそ難民支援のプロジェクトに協力する人も多くおられるのでしょう。(私も最低限の協力はしていますが)

 国連には「難民高等弁務官事務所(UNHCR)」という組織があり、日本には駐日事務所もあり、それに協力する「日本UNHCR協会」があり、広報活動や募金活動などが活発に行われているようです。

 かつては日本の女性がこの国連組織のトップを務めておられ、高い評価を得ていたことをご存知の方も多いでしょう。
 こうした貴い活動があっての国連の評価ですが、大変気になるのは、
「難民を救う活動は貴重ですが、難民を出さないための活動を国連はどう展開しているのか」という問題です。

 国連の中枢機関は「国連安全保障理事会」、通称「安保理」です。これは国連常任理事国5か国、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国(第二次大戦の戦勝国)の首脳で構成されています。
 これは本来、その名の通り「世界の安全を保証する」役割を持つ組織でしょう。

 ですが、この組織は、その役割を果たしているのでしょうか。現実には、何らかの理由をつけて外国に侵攻する常任理事国もあれば、内戦が行われている国があると、内戦の各側に安全保障理事会構成国が自国の利害や面子から援助して内戦をより熾烈なものにしてしまうといったことが起きているのです。
(関ヶ原の東西両軍に、それぞれ外国の支援が付いたらどうなっていたでしょうか)

 安全保障理事会メンバーは、その組織の役割をどう考えているのでしょう。国連というのは世界の平和と繁栄を目指す組織です。その中枢機関のメンバーが、現に難民の発生を促進するような行動をし、同じ国連の組織であるUNHCRに対策を何とかしろというのが現実の姿なのです。

 先入観なしに素直に考えてみれば、安全保障理事会常任理事国は。世界の平和と安全に常に最大の配慮をし、自国の利益よりも、世界に発生する問題のトラブルシューターとしての役割を果たすことを誇りをもって遂行することに邁進すべきでしょう。

 公害問題では「汚染は元から絶て」と言われましたが、難民問題も、元から絶つことを考えるのが国連常任理事会の役割だと考えるべきではないでしょうか。

 それが出来ないのであれば、「安保理」という名称に馴染みません。もしかしたら、安保理の組織も含めて、国連の在り方の本質論を、世界に問うことが必要な時代になっているのかもしれません。

難民問題へのアプローチ:2

2018年12月13日 12時45分33秒 | 国際政治
難民問題へのアプローチ:2
 前回見て来ましたように、今のような大規模の難民・移民問題は、難民・移民を発生させている国と受け入れを求められている国の、国レベルの対応に任されているのが実態で、UNHCRの手には負えないような異常な拡大を見ていると考えられます。

 このような状態を当事国同士の対応に任せておくというのは、地球人類のガバナンスの欠如と考えられるほど地球は狭くなっています。
 家庭内暴力や育児放棄に行政が対応するように、あるべき姿としては国連が国レベルより一段上の立場から問題解決にしっかり役立つことが出来るような工夫が必要でしょう。

 問題の根源は難民・移民を発生させる国、家庭を破壊させる家族の行動にあるわけで、先ず家族のあり方を正す事から始めるのが大切でしょう。後処理ではなく、問題の原因にアプローチし、そこを正す事が解決の基本です。

 今の国連には、その機能も能力もないと言っていいのではないでしょうか。国連が、地球人類社会のガバナンスを維持するという目的をもって作られたものであるならば、何時かは、地球人類社会全体の行政機関としての役割を、どこまでもつことが、地球人類社会の安定に最も貢献する組織たりうるのか、をきちんと検討していく必要があるのでしょう。

 内戦が有ったり迫害があったり、暴力や不法行為が日常のような国がるから難民・移民が発生するのでしょう。
 国が平穏であれば、人間は本能的に生まれ故郷、生まれた国に愛着を持ち、そこに住み続けたいと思うのが普通(例外もあるでしょうが)です。

 そうしたガバナンス欠如の国を放置しておくことが問題の根っこにあるのでしょう。
更にそれどころではなく、国連常任理事国の中にすら、内戦があれば、その一方に加担し、武器を供給して内戦を激化させるといった行為が行われているのが現実です。
 国連を世界の平和、人類社会の混乱をなくすために生かそうという意識が、本来、常任理事国に必須の条件であり、資格でしょう。

 内戦があれば、双方の和解を仲介し、国民の安定した生活のためにに心を砕き、力を尽くすのが国連の役割のはずです。

 国連の心臓部をこんな有様にしたままで、難民・移民問題を解決しようとしても、それは結果への対応だけで、原因に遡った真の解決にほど遠いことを、今更思い知らされているのが今日の状態です。

 今、地球人類、国連に加盟する国々は何をすべきなのでしょうか。

難民問題へのアプローチ:1

2018年12月12日 23時38分47秒 | 国際政治
難民問題へのアプローチ:1
 この所、難民・移民の問題で世界中が大騒ぎです。ヨーロッパには地中海を命がけで渡ってくる難民、アメリカには中米から列をなしてアメリカで働きたい移民希望者が、政権の安定を脅かすまでに深刻になっています。

 難民・移民に対して寛容な姿勢を維持してきた国々で、今、難民・移民の受けりれに反対する人々が急速に力を持ってきているようです。
 理由はどうも「数」の問題のようです。

 難民・移民の問題は慈善事業に似ているように思えてなりません。
 ある程度までは、喜んで慈善事業に協力する人は少なくないと思いますが、その人の善意の範囲を超えて拠出額が要求されるようになると、「ちょっと待って。私にも私なりの生活があるのですよ」という事になります。

 国と家族は最大と最小の社会単位ですが、よく似ていて、どこに所属するかは生まれた時に決まっています。原則は勝手に移動できないことになっています。
 そして、通常は自分の家族を愛し、協力してより良い生活のために努力し、余裕があれば、気の毒なっ方のために慈善活動をしています。

 家庭も国も、よい家庭、よい国になるのは成員の心掛け次第です。時には天災や戦争の被害もありますが、成員の協力と努力で克服し、よい生活を目指します。そしてそれぞれに、目標やそこに行きつくための計画を持っています。

 慈善事業の要請がその目標や計画を壊してしまうと感じる所までが、慈善事業ㇸの協力の限度でしょう。
 この間まで難民・移民の受け入れに寛容だった、国が「もう御免だ」と言い出すのは、その限界を超え始めたという事でしょう。

 その際の理屈は多分こうでしょう。「自分たちは歳月をかけ、努力して国づくりをしてきた。今の生活はその成果だ。あなたたちも努力して自分たちの国づくりをするべきだ」「多少の事なら面倒を見るが、我々の生活を壊されるのは御免だ。」

 これは家族でも同じでしょう。居候が増えては家族の生活は成り立ちません。(注:日本の技能労働力の場合は働いてくれるのですからその点は問題ないのですが、仕事がなくなった時のことが確り考えられていないことが問題という事でしょう。)

 難民・移民のほうから言わせれば、「俺たちの国の惨状を見てくれ。内戦や、暴力の横行で、殺されかねない、命がけで逃げ出してきたのだから、何とかしてくれ。国内で解決しろと言われても、俺たちの力ではどうにもならない。」ということになるのでしょう。

 さて、これをどう裁く?という事になるのですが、家庭に置き換えてみたらどうでしょうか。
 家庭内暴力や、育児放棄の場合は、昔なら駆け込み寺でしょう。近所のお金持ちの家に駆けこんでも、多分厄介払いでしょう。
今は当然のことですが、駆け込む先は行政機関です。行政機関が家族の中に立ち入って、解決のために、家族の問題点を調べ、出来れば、家族内での解決を求め、どうにも不可能な場合には行政の責任で適切な処置をとる事になるでしょう。

国の場合に話を戻しますと、行政機関に相当するのは国連でしょう。そして確かに国連には「難民高等弁務官事務所」(UNHCR)があります。
しかし、今起きている問題は、とてもUNHCRの手におえる問題ではないようです。そして結局、難民・移民の流入する国の政治問題に転嫁されているという事でしょう。
 次回、もう少し先まで(私の勝手な考えで恐縮ですが)考えていってみたいと思います。

米中関係に強まる懸念

2018年10月09日 23時19分20秒 | 国際政治
米中関係に強まる懸念
 ポンペイオ米国務長官は、日本に立ち寄り、北朝鮮で金正恩さんと会談、2回目の米朝首脳会談の打ち合わせをし、次いで、中国に向かい、中国の王毅外相と会談したとのことです。

 報道によれば、この2人の会談は、かなり厳しいやり取りになったようです。
 現状はまさに、トランプさんの仕掛けた関税引き上げ、貿易戦争のさ中ですから、平穏にいくとは当初から予想しにくいところですが、今後の展開が心配されます。

 客観的に見ても、ともにリーダーの性格 (?)から 独裁色(独善色?)を強める今のアメリカ と 終身政権の今の中国の関係がスムーズにいくことは至難でしょう。常識的に考えて、強く出れば相手が引っ込むといったことは多分考えられないでしょうから大変です。

 アメリカは、自国の万年赤字を、これまで経済的な手段でやり繰りして来ましたが、リーマン・ショックで アメリカの経済的な信用が失墜したことから、今度は力ずくの貿易戦争に解決を求めることになったようです。

 一方中国は、将来戦略の基盤に、世界の資源を握ることに置いてきたようで、南シナ海進出では国際世論を無視し、 国際仲裁裁判所の裁定すら「紙屑」と決めつけ、最近では アフリカの資源に目をつけて経済協力の金の力で、資源獲得に動いていると指摘されたりしています。

 リーダーの個人的な考え方においても、トランプさんの(世界の警察官はやらないと言いながら)力ずくの2国間協定方式で、競争力を失ったアメリカ産業を保護しようという自国中心の考え方、習近平さんの方は、慣例を破って自ら終身中国の首席であることを明確にし、一帯一路の完成と覇権の確立を狙うと評されたりしているといった、まさに世界を舞台のライバルということになるようです。
 
 現状では米中の対立と言っても、お互い立場によるゼスチャーもあり、舌戦は激しくても、どこかで妥協点を探ろうという駆け引きの中の行動と考えるべきでしょうが、往々これが本気の争いに発展するというが歴史の示すところです。

 その危険性は、リーダーの独裁志向にも大きく依存するようなので、米中首脳の本心は知るべくもありませんが、何か、あまりいい感じのしない状況が進んでいるようで、どうすればもう少し良い世の中になってくれるのかな、などと考えてしまいます。
 「杞憂でしょうか」というのは、中国の諺ですから、トランプさんではなく、習近平さんに聞くべきなのでしょうか?

権力集中が世界の流行の様相?!

2018年08月19日 10時56分09秒 | 国際政治
権力集中が世界の流行の様相?!
 過日、「 権力集中の行方」を書きました。なぜかこの所、世界のあちこちで権力集中の動きが見られます。

 特殊の事情を持つ小国の北朝鮮が 「体制維持」にこだわるのは解りますが、地球世界の覇権国であるアメリカのトランプ大統領も中間選挙を控え権力維持に必死のようです。
 300社以上の米国マスコミが一斉に社説で問題提起をしても、意に沿わないものは全て「フェイク・ニュース」と切って捨てる勢いです。

 世界第二の大国中国の習近平さんも終身中国のトップであり続けることに 殊の外御執心悪です。 ロシアのプーチンさんも先日の選挙の経緯を見ても政権の永続にこだわり続けていますし、トルコではエルドアンさんもその気配を強くしています。最近のニュースではアジアの新興国カンボジャのフン・センさんも、そして足元の日本でも安倍さんはルールを変更してまで長期政権をと頑張っています。

 こういう人たちも、その経歴を見れば、かつては正義感に燃え、何が正しいのかを模索しながら一生懸命やってきた時代があるようです。
 しかし能力もあり、運もよくリーダーの地位を勝ち取ることが出来ると、最初は自らの思いを政策として、真面目に真剣に国や組織の運営に取り組むのでしょうが、しかし、人間の心というものはそんなに強くないようです。権力の甘い蜜は殆どの場合、人の心を腐敗させるようです。

 「権力は腐敗する」、これは世界中で言い慣わされた言葉でしょう。矢張り長い歴史の中で生き残る言葉は、それなりの真実を含んでいるのです。

 「権力集中の行方は多様」でも触れましたが、腐敗しない権力というのは極めて稀です。だからこそ、多くの国や組織ではリーダーの在任期間の上限を決めるという方法を導入しているのです。

 然し権力集中の動きにも流行があるようです。流行と言うと語弊があるかもしれませんが、一部にそういう動きがあると、それを真似る人が多いという事でしょう。トランプさんのマスコミに対する態度もかなりの伝染力を持っているようです。

 その他、政敵の活動を制限して自分の立場を有利にするという方法も、この所目につきます。
 日本では安倍さんの状況証拠を全く無視する発言の仕方(シラの切り方)、「ゴハン論法」などと揶揄される下手な詭弁も結構真似する人が多いように見受けます。
 これらは全て、権力が腐敗し始めていることを、あるいはかなり腐敗が進行していることを示しているのでしょう。

 世界で進行するこうした動きを見ると、民主主義という理念も、現実には必ずしも役に立ってくれないという事になるようです。
 然しそれに代わるものは、さしあたって見当たりません。矢張りまだまだ人類は「間違いと反省」を繰り返すことしかできないのでしょうか。

 「人の噂も75日」と言いますが、これを日本人の戦争体験に例えれば、「戦争体験も75年」なんていう事になるのでしょうか。すっかり忘れ去るまであと2年、何か情けないですね。

トランプ大統領、宇宙軍創設の怪

2018年08月16日 17時00分25秒 | 国際政治
トランプ大統領、宇宙軍創設の怪
 去る13日、アメリカでは国防権限法がトランプ大統領の署名で成立、総額約80兆円の国防予算の大枠が決まったとの事です。
 我が国の国家予算が年々増えてほぼ100兆円ですから、アメリカの国防費80兆円というのは凄いですね。

 IMFによれば、アメリカの政府予算は歳入が6兆ドルで歳出が6.8兆ドル、赤字な8000億ドルで、円換算なら88兆円ですから、国防費の分がほぼ全額赤字という事になります。
 アメリカは双子の赤字で、経常収支も赤字ですから、外国から借金して資金繰りをつけなければなりません。頭の痛いことです。

 その頭の痛いアメリカが、6月に宇宙軍創設の方針を打ち出しています。先日8月9日、ペンス米副大統領「宇宙軍」を2020年までに創設する計画を明らかにして、今後5年間で80億ドルの追加予算を議会に求めたとのことです。

 宇宙といえば、我々には「宇宙の平和利用」という考え方しかありません。人類としてまともに考えれば、宇宙こそ世界が協力して開発し、人類全体のために活用すべき「スペース」、まさにSPACEでなければならないという結論になるのではないでしょうか。

好例が「国際宇宙ステーション」でしょう。どんな政治情勢下にあっても、アメリカとロシアそして日本の研究者も、心を一つにいて種々の研究に励んでいるのでしょう。

 その宇宙で、アメリカが覇権を確立して、宇宙を支配しようというのがトランプ構想というのなら、それは人類の発展の歴史の中で、とんでもない間違いを犯すことになるのではないでしょうか。

 アメリカが本気でそう考えれば、当然「アメリカに覇権を握られたら」という疑心暗鬼が広まり、対抗して多くの国が、わが国の宇宙政策を宇宙軍をという事になり、宇宙が戦場と化す可能性を増幅させることになるでしょう。

 トランプさんは、宇宙軍を創設するのではなく、地球人類がみんなで協力して宇宙を平和利用するための国際的な組織の構築を提案すべきではなかったのでしょうか。
 しかし、トランプさんは国際組織や多国間の協定が嫌いのようです。何でも2国間でという狭い視野しか持ち合わせていないようです。

 それは覇権国としての器量ではありません。覇権国は「相手国に対して」何をするかではなく、「世界が協力して」何をするかという視点を持たねば成立たない立場です。

 「アメリカ・ファースト」政策で、現状、アメリカの孤立を深めています。しかしその先に、アメリカが宇宙を支配し、それによって世界を支配すればそれが「アメリカ・ファースト」の本来の姿だと本気で考えているのであれば、世界は怪獣を飼い始めたことになるのではないでしょうか。

 余計なことを付け加えれば、アメリカにはそれだけ財源はありません。領収証(ツケ)がいろいろな形で日本に回ってくる可能性は十分にありそうです。

異常な低反応、米ロ首脳会談

2018年07月17日 23時02分43秒 | 国際政治
異常な低反応、米ロ首脳会談
 新冷戦時代ともいわれるような状況の中で、アメリカ、ロシアのトップが、国際会議の場を利用してといったものではなく、わざわざ場所を選んで「さし」で話し合うのです。
 本来なら、さぞかし、世界中のマスコミが、色めき立って取材、報道合戦を繰り広げるところでしょうが、今日は何と静かなことでしょう。

 先日の米朝トップ会談でさえ、あそこまで賑やかに取り上げたのですが、今日の日本のTVニュースは大方は西日本豪雨の被災地の報道でした。
 
 国際的なマネーマーケットや株式市場にも当然影響があるかと思っていましたが、それらの相場の解説でも、米ロ首脳会談の影響でといった解説は殆どありませんでした。

 確かに共同記者会見では、互いに尊敬しあい、核軍縮、核不拡散問題などでも意見は一致し、これから良い関係をという表現はありましたが、マスコミがほとんど通り一遍の報道に終始したというのは、こうした記者会見が具体的に何か重要な成果を生むと見ていないからという事でしょう。

 過日、経済問題で「 アメリカ・パッシング」と書きましたが、今回の米ロ会談もマスコミから殆ど「パッシング」状態だという事は、米ロのトップが会談しても、「世界の情勢は変わらない」と読んでしまっているからにほかなりません。

 アメリカのマスコミは、大きな問題として取り上げているようですが、それは、世界の将来などに関わる問題ではなく、単にトランプ大統領のロシア疑惑を両首脳が揃って打ち消したという問題についてのようです。
 マスコミが「フェイク・ニュース」を流しているのか、米ロ首脳が口裏を合わせて「嘘を言っている」のか・・、しかし、これは米ロ問題で、世界の将来とはあまり関係ないのでしょう。

 そんな意味では、今回の米ロ首脳会談は、残念ながら、世界の将来のために何かをもたらしてくれるようなものではなかったようです。

 世界の覇権国のリーダーがわざわざ新冷戦の相手国のリーダーと会談を行ったからといって、それに期待を持つといった時代ではなくなっているのでしょうか、それとも、偶々リーダーたちがそのような人たちだったからという事なのでしょうか。