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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

暴騰の米価には暴落の可能性が

2025年03月14日 16時20分12秒 | 経済

このブログでは、毎月の消費者物価指数の動きを追っていますが、お米の価格に異常な動きがあると気付いたのは昨年8月の消費者物価指数の発表の時です。

それまで順調に下がって来ていた「生鮮とエネルギーを除く総合」が、対前年同月比で1.9%と2%のインフレ目標を切った所から上昇に転じ2.0%になったのです。

この数字の発表は9月の20日ですが、皆様ご記憶のように8月には日銀が、物価の安定が確認されたという事で政策金利の上昇の方向に政策変更を発表した直後です。この時の消費者物価指数の調査では「うるち米」が30%の値上がりで、理由は流通の問題で新米が出れば収まるというのが政府の説明でした。

若しコメの値上がりがなければ0.1%ほど低かったのではと書いて、日銀の見ているコアコア物価の安定は確実という見方をサポートしています。

ところが、その後の状況は全く違って来ました。毎月の消費者物価指数の発表ごとにお米の価格は上がり対前年の値上がり幅は30%が50%、60%、70%と際限なく上昇、ことし2月15日にはこんなグラフを載せ、米価値上がりの異常さを示しました。

政府の説明は、その後もコメの作柄は平年並み、「値上がりの原因は流通段階のトラブル」などと納得いく説明はなく、マスコミや民間調査機関などから中間業者が高値で買っている、現場では品不足で、買い手が増えて行方不明のコメがある、などの状況が報道されました。それなのに政府は年末までだんまりでした。

その後、政府は一体何をしているのだという世論を背景に、農水省が備蓄米放出を発表したのは半年遅れの先月になっての話です。

備蓄米の放出は、なるべく値下がりしないように(?)少量で、買い戻し条件付きとか言われました。

そんな中で注目を引いたのは、大手の外食チェーン何社かが、コメを国産から輸入に切り替えたというニュースです。

外国産でも、国産に引けを取らないような味の出せるコメもあり、国内産がこんなに値上がりしては、外国産の方が安いという事のようです。

これはどういう事でしょうか。まず価格決定要因で一番基本的な需要と供給を見てみましょう。

まず需要ですが、コメの需要は統計を見れば傾向的に年々減少しています。主食用のコメの需要量は2010年には820万トン、2020年には704万トンです。昨年から今年にかけては700万トンから691万トンと予測されています。

一方生産量も減少傾向ですが、2023年1,136万トンで、これで主食用、米菓や酒造りなどを賄っているのです。昨年の作柄は平年並みです(以上は農水省資料)。

これが需給の概況ですから、最も価格決定に基本的なコメの「需要と供給」の面から考えますとコメ不足や値上がりは到底考えらえません。

パンやうどんが値上がりしたから割安になった米食に日本人が戻ったという説もあるようですが、皆様のお宅ではどうでしょうか。

70%も値上がりしたコメ値札は恨めしいがそれでもでも、やっぱり否応なしにコメを買って夕食は米の飯という家庭が多いのではないでしょうか。

インバウンドが急増して寿司を沢山食べるからコメが足りなくなるという珍説まで出ましたが、親切に計算してくれえる人がいてせいぜい3万トンぐらいだそうです。

そうなると、やっぱり農水省が言うように、流通段階の問題になりそうです。だれか影響力のある人か組織が、「コメが足りなくなる」という情報を流し、流通段階のどこかが在庫を増やしたという事でしょうか,行方不明のコメがあるとの情報もありましたが日本人の主食のコメの流通管理はどうなっているのかという事になります。

さてそうなりますと、何処かに備蓄されたコメがあり、それが値上がりの元凶(あるいは結果)という事になるのでしょう。

そうであれば、次に起きる事は何でしょう。需要が増えないものを持っていれば、値段が高いうちに売らなければという事になるでしょう。先日TVで早場米の田植えをやっていました。トラクターの人は「6月には新米の出荷です」といっていました。コメが値上がりしてので、作付面積は増えるようです。 

何処かに備蓄されたコメはどうなるのでしょう。古米古古米は、値段が下がります。行方不明のコメが突如出て来たらお米の値段は暴落の可能性が大きくなります。

今回のコメの値上がりを経済理論から見ればこうなるしかないと思うのですが、誰か、7割上がったお米の価格を維持することが出来る人か組織があるのでしょうか。

このブログは、自由経済原則に従って、米価暴落必至論に与します。


2025年「平均消費性向」上向くか

2025年03月12日 16時12分47秒 | 経済

昨日、内閣府統計局から、2025年1月の「家計調査」の「家計収支編」が発表になりました。

このブログでは、毎月「二人以上世帯」の消費支出の動向と「二人以上勤労者世帯」についての収入と消費支出の動向、そして「平均消費性向」を追いかけています。

その理由と目的は、皆様ご存知の通り、アベノミクス以来の日本経済の不振の主要な原因は消費の不振ですから。消費の動きを追う事で日本経済不振の実態と将来を統計から読み取ることです

特に家計の消費意欲を図る「平均消費性向」は大変大事な指標で、昨年はこの指標が低下傾向でしたから、賃上げは多少高くなりましたが、家計は貯蓄志向で消費が伸びず、経済成長率は年率で「辛うじてプラスか」という不振状態(改定中)でした。

ところが、年末の2カ月、平均消費性向が上昇に転じてきました。

コメと野菜が異常な値上がりをする中ですから、読み方は難しいところですが、これが、年が変わっても継続し、今春闘の結果と相俟って、日本経済もようやく消費不況から脱出できるかの微妙な段階が現状です。

そして昨日発表になった1月の平均消費性向は78.9%と昨年1月の76.7%2.2ポイント上回り昨年11月から3か月連続の上昇基調となりました。(下図)

ところで二人以上世帯全体の消費支出から見ていきますと、1月の消費支出額は305,521円で、消費不振が著しかった昨年1月より5.5%増えましたが、消費者物価の上昇に食われて実質は僅か0.8%の増加です。

中身を見ますと食料の支出は、コメ・野菜の価格上昇で実質消費支出ますがマイナスですが、住宅関係や教育関係、水道光熱などは、価格上昇に負けない支出増で実質消費支出のプラスに貢献する支出項目もあるといった状況です。

二人以上勤労者世帯では収支両面の数字がありますので、収支の両面から見ていきますと、世帯主収入は389千円で名目4.9%の伸び(伸び率は前年同月比)と毎月勤労統計などより高く、実質は0.2%(消費者物価4.7%上昇)ですがプラスです。

最近伸びの大きい配偶者所得やその他の家族の所得は正月のせいか1月は小さく、実質はマイナスで、世帯の所得は515千円、名目3.5%の伸びで、実質は-1.1%、それでも消費支出は名目5.8%伸びて実質1.1%の伸びです。

但し1月は日消費支出(税・社会保険料など)が6.2%も増え、可処分所得は名目2.9%しかのびず、結果的に消費支出を可処分所得で割った「平均消費性向」は 78.9%と前年より2.2ポイント高くなっているという状態です。

この辺りは、食料は値上がりで抑えたが、電気やガス料金は上がったが寒かったのでやむを得ず使ったとか、住宅や教育費は、思い切って出したというのか、事情は 色々あるかと思いますが、春闘で賃金が上がりそうという意識などもあるとすれば、少し生活を積極的にしようかという、今日の生活重視の意識も出て来たのかとも考えられます。

今日は春闘の集中決着日で、早期妥結、満額回答といった見出しも出ているようで、少し日本経済の雰囲気も変わるのかなという意見と、これから物価も上がるし「高齢者いじめ」になりそうだし、やっぱり貯蓄優先かといった意見とが錯綜しそうです。

国際情勢も有之、もう少し時間が必要なようです。


狭い庭も春たけなわの観梅です

2025年03月11日 13時15分05秒 | 経済

広い世界もトランプさんに掻き回されて、まさに混乱状態です。何とか早めに収拾策をと思いますが、混乱策が先立つようです。

国内では自民党が政権存続をかけて巧みに予算の成立に成功、残るは、企業団体献金の存続に党の命運をかけています。個人も企業や団体も同じと絶叫です。

市井の老人は、ここはみんなで選んだ選良にお任せするしかありませんので、静かに狭い庭で咲き誇る梅の花を眺めて静かな1日を過ごしたいと思っています。

我が家の梅は豊後梅です。かつては小鳥の巣箱を架けて雀が入るかシジュウカラかと観察したり、葉の落ちた枝の上で、ヒヨドリとムクドリが睨み合ったりしていましたが、歳とともに高い枝は切りにくくなり昨年から低木に伐ってしまいました。

お蔭で花が目の前で咲いて、写真を撮ろうとすれば、豊後梅特有の香りが、心地よく匂ってきます。

今年は特に蕾が沢山ついて、特に手前に残した枝は,びっしりと花が咲くだろうと思っていましたが、予想通りで、昨日、今日でほぼ満開、枝先に少し蕾が残っています。

狭い庭ですから、南の塀際の梅の木は、日当たりがあまり良くありません。開花の時期も少し遅くなりますし、豊後梅というのは、桃の木や杏子の木と縁が近いようで、開花時期の遅い梅ですし、モモに似て匂いも割合強く、大分暖かくなってから満開ですから、もともと高齢者に向いていたのかな、などと思っています。

びっしりと咲いているところは、梅の花が折り詰めに入ったようにおりかさなってさいたいへんにぎやかです。

花粉を求めて来る鳥もいます。よく来るのはメジロです。逆さ吊りになって花粉をつついていますが、素早く逃げて写真が撮れません。

大きな鳥、ヒヨドリも来ます、大きな嘴で小さな花の花粉をつつくのも何となく不釣り合いですが、花を落とすこともなく上手くつついています。(これはガラス戸の陰から漸く撮った写真の拡大です)

いずれも受粉を手伝ってくれると思えば、有難い話で、以前高い枝の受粉をしようと苦戦したことを思い出します。

びっしりと咲き詰めている花の下、太い幹に、まま事のように楚々として可憐に咲いている花もあります。自然は、色々なことを見せてくれます。

 


実質賃金の統計数字が変わりました

2025年03月10日 13時41分47秒 | 経済

今日、厚労省から2025年1月分の「毎月勤労統計」が発表になりました。

2か月前、2024年の11月分が発表になった時の報道の見出しは「4カ月連続マイナス」という事で、春闘の賃上げは高かったけれどやっぱり、ボーナス月以外はマイナスかという感じでした。12月はボーナス月で何とかプラスになりましたが、さて、年が明けて1月からはどうだろうかという事になりました。

今日、1月が発表にいなってみますと、報道の見出しは、「3カ月ぶりのマイナス」ということになっています。

何かおかしいな、3か月ぶりのマイナスという事は昨年の11月、12月はプラスという事になるわけで、昨年11月に4カ月連続マイナスといったのはどうなったのという事にいなります。

理由は厚労省が詳しく説明していますが、年間の季節調整値の出た段階で最新の1年分と最も古い1年分を差し替え、最新28年分データを解析して季節変動値改定するのだそうです。

今回はそれに加え、大掛かりな計算手法の改善を行ったとのことで、数字が少し動くことになったのでしょう。

結果的に、それで動いたのは昨年では11月だけで、11月の-0.3が+0.5に変更なり、ボーナス月12月のプラスとつながって、1月が3カ月ぶりのマイナスとなったということです。統計は改定されれば古い数字はもう使われません。改定後の過去1年の数字は下のグラフです。

それにしても1月はまた大幅なマイナスになってしましたが、これは米価の、直接、間接の影響などもあり実質賃金の計算に使われる消費者物価指数「持ち家の帰属家賃を除く総合」が前年比4.7%も上がった結果です。

今週は春闘の集中回答日の週で、恐らく昨年より高い妥結額が輩出するでしょうが、問題は、米価に見るように、政府が何故か消費者物価指数上昇に、あまりに寛容だという事が影響しているように感じられるところです。

今後は、中小の春闘が終結する6月ごろまでの消費者物価指数の動きがマイナスかプラスか、大変懸念されるところです。

 


急速に日本化する中国:地価と経済成長

2025年03月06日 16時14分41秒 | 経済

中国経済が苦しんでいるようです。実質経済成長率5%を目標にして頑張っている様子が報道から見えてきますが、容易ではないようです。

中国統計によれば嘗ては10%を超える成長を何回も達成してきた中国ですが、この所は目標が5%になっています。

経済成長の性質を考えてみますと、何か経済成長を引っ張るような頼りになる「モノ」があり、最終的には、それは、長期で見れば必ず上がり続けてくれるから、それを頼りにしていけば大丈夫という安心感なのでしょうか。

日本が高度成長経済だったころ、ヨーロッパで金融の仕事をしていた友人が、経済の価値基準として、ヨーロッパは「金」、アメリカは「証券」、日本は「土地」と言った事は、このブログで書いた記憶があります。

日本のこの土地神話の時代は、高度成長期から石油危機後の安定成長期まで続きましたが、1991年の土地バブルの崩壊で終わりました。

中国の改革開放以来の状況は「土地」との関係では共通点があります。改革開放で土地の私有(地上権)が認められ、生産意欲は急速に高まり農業生産の増加から工業製品の高度化に進み、アメリカを脅かすまでになりました。

その間、地価の上昇は著しく、不動産(土地、住宅)価格は高騰、土地所有、住宅所有は、個人、企業の巨大なキャピタルゲインに繋がり地方自治体の資金源にもなりました。 

しかし、アメリカの経済制裁などで、産業生産が停滞する中で行き過ぎた不動産価格の上昇が止まり、値上がり期待が消え、バブルの崩壊状態となり、キャピタルゲインはキャピタルロスに変わり、膨大な信用収縮が中国経済を襲ったようです。

日本でもバブル崩壊の時「あんなにあったお金はどこにいったのだ」という声がありましたが、「不動産価格上昇期待」で生じた金(信用)は、その上昇ストップで、忽ち信用収縮に陥るのです。

アメリカでは、サブプライムローンの盛況で不動産価格の上昇が発生し、巨大化したそのローン残高を証券化して世界中に売りました。リスク債券を安全債券にするという「金融工学」も生まれました。

しかし、サブプライムローンの返済が滞った時、証券化された巨大な債券は忽ち中空になり、世界中の主要銀行のB/Sに大穴をあけました。アメリカの信用収縮による巨大なキャピタルロスを世界中でシェアし負担したのです。 

不動産の値上がり期待を信用創造に使い、経済を活性化させるという手法はうまく利用すれば、経済活性化策として有用でしょう。しかし行き過ぎると後が大変という事になります。

昨日まで高値で転売できると思って借金して買っていたマンションが、ある日突然もう買い手がいないようだと解った時のショックを考えれば、中国の今の状況の深刻さが解るような気がします。

バブルか、バブルでないのかの基準は、使用価値、利用価値に見合うのであればバブルではないとか、転売して儲ける行動が多くなるとバブルだといった判断方法が言われますが、バブルの時は、「まだバブルは続く」と思いがちになるようです。

バブルは、行き過ぎがひどければ、後遺症も,きつく、長くなります。早く治すには、誰かが金を使ってバブルがひどくなるのを防ぐ方法もあります。中国でも財政支出を増やして内需を拡大し、経済のてこ入れに懸命のようです。

加えて中国も、かつての一人っ子政策が裏目に出て、これから急速に高齢化が進むようです。何か日本に似て来るようで、何かと協力してあげるといいかも知れません。


トランプさん「関税」+「為替レート」に

2025年03月05日 13時54分41秒 | 経済

トランプさんが大統領選から言っていた「オレなら忽ち片付ける」と言っていた戦争や紛争が、夫々に予期せぬトラブルに拡大する中で、改めて「タリフマン」としての本領発揮とばかり、メキシコ、カナダ、そして中国に25%、25%、20%の関税をかけることにしたようです。

輸入鉄鋼に「関税をかければ、USスチールもすぐに立派な会社に戻る」などと言っていましたが、「タリフマン」としての仕事の方も、そう簡単ではないようです。

関税が上がって輸入コストが高くなった分は物価が上がることになるので、ただでもインフレに戻り気味のアメリカの経済情勢の中で、国内の声が心配です。

そんな事もあってでしょうか、問題は為替レートに飛び火してきました。

当然そこで日本の問題が出てきます。中国や日本が安い為替レートを利用してアメリカへの輸出を伸ばしている。為替レートを安くするのは怪しからんという事です。 以前からアメリカは日本が為替操作国と疑い、日本は、為替介入をする時はアメリカの了解を得て来ていたようですが、確かに今は異常な円安です。

しかし、皆様もご承知のように、今の円安は、基本的には日米の金利差の問題で、金利を上げたのはアメリカです。アメリカが自分の都合で政策金利を上げ、円安にしているのは明らかです。 

日本政府は、意図的に円安にするというより、逆に円安で輸入インフレが起きて困っているのだと言い訳をしているようですが、どこまで相手に通じるかです。

ここまで来ると、トランプ経済学と、本来の経済学とはうまくかみ合わなくなり、ますますこじれることが多くなりそうです。

また、かつての「プラザ合意」のように、大幅な円切り上げを認めろと言ってくるような事はないと思いますが、日本の方も対応の仕方は十分わかっているでしょう。

もともとの原因は、アメリカの産業、特にものづくり産業が衰退したことに原因があるのです。

テスラのように電気自動車で忽ち世界制覇というモノづくり企業もありますが、生産は僅か200万台弱、その多くは中国で作っているようで、トヨタの1000万台とは比較にならない規模です。

しかし株式の時価総額はトヨタの2600億ドルに比しテスラは7000億ドル(2024年1月)で、一時は1兆ドルを超えたこともあると言いますからアメリカ経済はマネーの世界で、世界から金を集めますが、モノの生産は中国など外国でやっているのというのが貿易赤字の主因でしょう。

これではデトロイトも、容易に復活しないからから関税をかけてというのですが、側近のイーロン・マスクさんの工場は、アメリカに帰って来るのでしょうか。

そんな事を言ってアメリカに睨まれるより、当面の問題は、日本にも10%の関税、それに加えて為替レートを円高にと言ってきたときの対応を確り考えておくことでしょう。

アメリカに言われてやるか、自主判断で金利の引き上げをし、円安を是正して、インフレを未然に止め、輸出部門と輸入部門の「差益・差損」による問題をどう解決するか、今から考えておく必要がありそうです。アメリカの要求が追い風になる分部もあるのではないでしょうか。

いずれは政策金利2%程度、為替レート120円前後、インフレ率2%、という所に軟着陸するのが目標でしょう。

出来れば国民経済生産性上昇率(GDP成長率)2~3%、名目賃金水準上昇率4~5%という安定成長経済をいかに実現するか、「ゼロ成長の中でカネの工面ばかり」という現国会の議論から、早く抜け出して、トランプさんの攻勢に耐えられる日本経済の議論を今国会から始めないと間に合わないのではないでしょうか。


1月の消費者物価、不安定化・インフレ化?

2025年02月21日 14時05分05秒 | 経済

今朝、総務省統計局2025年1月の消費者物価指数が発表になりました。

わが国の消費者物価指数は昨年秋まで、それまでの混乱から収斂・安定の動きを見せてきましたが、その後が改めて物価不安定の時代に入ったようです。

日本経済の安定成長路線への復帰に大きな役割を果たす金融の正常化が今始まろうとしているところですが、日本銀行が、物価の動向に強い関心を持っていて、先行きをどう見るか、どう判断するか気になるところです。

先ず原指数の動きを見ますと下のグラフです。(資料:総務省「消費者物価指数」)

国際情勢で変化する原油価格などのエネルギー価格や異常気象に左右される生鮮食品の変動に左右される「総合」(青線)、この所の天候不順で値上がりしている生鮮食品は除かれていて、政府の発表に使われる「生鮮を除く総合」(赤線)の動きは 、昨年の10月を境に急騰といった状況です。

落ち着きを示してきていた「生鮮とエネを除く総合」(緑線)は日銀が見ている日本経済の基本的物価動向に近いと思われますが、これもコメの価格の暴騰で上向きです。

コメそのもののウエイトはあまり大きくないので動きは小さいいのですが、おにぎりや寿司、丼物やお弁当などに次第に影響が広がる可能性が心配されるところです。

米の値上がりはそろそろピークかと思われますし、野菜など生鮮食品の出荷も改善して来ているようなのですが、乱高下しているのがエネルリギー価格です。

勿論これは国際価格の影響で変動するのですが、政府が場当たり的な補助金や給付金で調整するので、これまでも指摘してきていますが、「出します」、「止めます」の 度にグラフがジグザグになって、本当の姿が解りません。

その意味では緑の線が、日本経済の基本的な動きの反映でしょうか。こめの暴騰もこれまでの所それ程の大きな影響になっていません。供給は十分で、消費は増えませんから、次第に安定に向かうでしょう。

こうした動きを、対前年同月の動きで見れば下のグラフです。(資料:上に同じ)

たまたま昨年10月、3本の線が2.3%上昇で1線に揃いましたが、その後が大変です。「総合」の上昇が4%に達するのは先ごろのインフレ状態のピ-ㇰに並びそうな上昇率です。

今後は、青線、赤線が緑線に収斂する動きのグラフを掲載出来ればと思っていますが、少し時間がかかりそうです。

今後、緑線が上がるとすれば、それは春闘の賃上げの状況で決まってくるのではないでしょうか。


労働分配率検討の本質的課題・続

2025年02月20日 15時20分36秒 | 経済

前回提起した問題は国民経済レベルの労働分配率の問題で、企業が海外投資で得た利子・配当などの所得(第一次所得収支)は、海外で既に労働分配をおえているものですが、GDI(国民総所得=GDP+第一次所得収支)という形で考えれば、日本経済としては改めて労働分配率の対象にすべきかどうかという問題でした。

これは、付加価値の生産と分配の基本的な課題で、付加価値は人間が資本を使って生み出すものですから、生み出された付加価値は人間と資本にいかに分配される「べき」かという問題ということが出来るでしょう。

これには大きく分けて、2つの考え方があります。「貢献度による分配」と「目的(必要)による分配」という2つの考え方です。

これは、人間と資本への分配の在り方の場合にも、人間同士の中での貢献度による分配、という形でも考えられます。

例えば、人間同士の中での分配の場合で考えてみますと欧米流の「Job and Performance」型賃金制度は「貢献度による分配」重視で、日本の「伝統的年功賃金」は生計費という要素を取り入れているので、「目的(必要)による分配」に比重を置いているということが出来そうです。

そんな事も思いながら、Social animalである人間が作っている人間集団について付加価値の分配問題を一般化してみますと、人間集団の最小単位である家族の場合がまず出てきます。

家族の場合は、付加価値を生み出しているのは世帯主です。加えてその配偶者という2馬力の家族も増えています。

では家族内の分配はどうなっているでしょうか。子供がいます、何人かは家庭によりますが、稼ぎ頭の世帯主、その配偶者は、貢献度を主張しないのが普通です。必要経費だけを小遣いとしてもらって、生活は家族平等、そして、より重要な分配の対象になるのは子供です。多くの場合、最重要な分配は、子供の教育費です。

家庭の場合、付加価値(家計所得)の分配に貢献度は関係ないようです。何故でしょうか、理由は家族の主要目的は「子供たちの将来の成長発展」です。家族の中の分配は「目的による分配」です。老後のための貯蓄も、将来子供たちに迷惑を掛けないように、というのが理由でしょう。

次の人間集団は企業です。企業は付加価値生産に特化した人間集団です。したがって他の集団よりも、「貢献度による配分」を重視するようです。

企業の発展は技術革新による面が多いので、特にそうした面で個人的な貢献度による配分が重視される傾向が強いのでしょう。

しかし企業全体としては、企業の将来の成長発展を考える「目的のための分配」、さらに「社会貢献のための分配」(CSR:企業の評価を高める)の意識が重視されるようになりつつあります。

日本では企業は「公器」という見方が経営者の間にはかなり一般的で、労使関係でも、個人分配でも、社会に貢献するために企業の発展をという意識が強いようです(社是・社訓など)。

最後の人間集団は国です。国は国民のために、より豊かで快適な国・社会を創ることが目的で、そのために年々、より大きな付加価値(GDP)を生産しようと政府、企業、国民が、みな努力し、その成果がGDPの増加、つまり「より高い経済成長率」の実現であるという人間集団です。

その意味では、歴史的に見ても目的のために協力という意識が強く、付加価値配分が偏り格差が拡大することは良くないという意識が強いようです。

日本の場合、この所の経営サイドからも言われる賃上げの重視、輸入物価上昇の価格転嫁の積極化などの動きは、皆の協力を前提にし、格差社会化を嫌う日本社会の性向を示しているようです。

こうして見てきますと、日本社会の基本的な考え方は、企業の発展も経済成長も皆の協力の成果で、付加価値の分配の基本は偏りによる格差の拡大を排して、広く協力を生かし、それによる付加価値生産の向上、高度化を考えるという方向に向いているように思う所です。

国際環境の変化、特に国際投資行動や為替変動の激しい中で、意図せざる付加価値配分の偏りが起きやすい状況があります。

そうした状況に敏感に気付きつつ、付加価値の配分が先行きの社会の安定と成長を的確に実現するような「目的指向の分配」が最も大事のように考えるところです。


四半期GDP:3期連続プラスですが・・

2025年02月17日 15時22分10秒 | 経済

2024年の10-12月の四半期GDPが発表にいなりました。

マスコミでは、このところ3四半期連続プラス成長で、10-12月期は0.7%成長、年率にして2.8%の成長と、何か日本経済は順風満帆のような見出しですが、実態はなかなか難しいようです。

表に掲げたのは、GDPを構成する主要項目です。タイトルにありますように「対前期比(季節調整済)」の実質上昇率です。対前期比は、このところの期毎の動きですから3期連続プラスという事は、4-6月以降は、それまでの2期下がっていたのが3期続けて前期より成長しているということですから順調に推移していると言っていいでしょう。

ただ、1-3月期というのが、理由がはっきりしないのですが家計消費が異常に落ち込んだ時期で、その前期もマイナスなので4-6月期に0.7%上昇しても、漸くその前の水準に戻った程度という事です。

その後2期、成長が続いていますから希望は持てますが、2024年の賃上げが33年ぶりの高さで、ボーナスも満額回答の企業続出といった結構な状況がもう少し反映されていてもいいのではという感じもします。

しかし、昨年の夏は、日銀の金利政策の変更もあり急に円高あになって、日経平均が暴落したりコメの値段が上がり始めたり、経済は天候不順で、増えたボーナスもあまり使われずに貯蓄に向かったようです。

この時期は、円高予想もあって、企業も慎重になり設備投資も伸びず、成長スピードも落ちましたが、10-12月期になって伸びたのが外需で、これは自動車などの輸出ではなくインバウンドの消費(外国旅行者の飲み食いは輸出だそうです)が伸び、コメや生鮮食品の値上げ利で物価上昇に食われた家計消費を補って、回復した企業設備投資もあって0.7%になったという事のようです。

同時に発表された2024暦年の成長率は僅か0.1%で、かろうじてプラス維持という状況です。家計消費が順調に伸びないと安定した成長路線には乗らないという事でしょう。

春闘賃上げも、節約志向と消費者物価上昇に食われて頼りになるのはインバウンドというのでは、些か情けない日本経済です。

参考までに2024年1年間の対前年同期の四半期別成長率を順に並べますと

-0.8,-0.8,0.6,1.2(%)=2023年10-12月期~2024年10-12月期=

でしり上がりに良くなっています。インバウンドに加え、1年前に比べると昨春闘の賃上げが下支えにはなっているという見方も可能でしょう。

今春闘も交渉期に入っていますが、一般家庭の家計簿がホッと一息つけるような賃上げになってくれることを期待しています。


米価問題は国民的議論が必要では

2025年02月15日 15時22分02秒 | 経済

日本人の主食である「お米」の価格が異常な暴騰を示す中で、備蓄米の放出がようやく決まったようです。

消費者物価指数が発表されるたびに50%、60%、70%といった前年比の上昇率になり、卸段階では2倍でも品物がないなどと言われるようになって、ようやく放出が決まり、3月末には何とか店頭に並ぶとのことです。

しかし、放出量はかなり少ないようで、農水省は「様子を見ながら」「後から買い戻す」などと言っているようで、市中ではまともな価格に下がることは考えられないといった見方が一般的なようです。

・グラフ資料出所:「全国のスーパーでお米5kg1袋の値段は?」.jpmarket-conditions.com.

(このグラフをご覧になって、これは通常の経済活動の結果のグラフと思う方は多分おられないでしょう。天変地変か、国の政策の大変化か何かがあったといった印象を与えます。)

昨年の作柄は平年並みで、前年より22万トンほど増加と言われていますから、報道される流通段階の抱え込みの状況も、結局は古米、古古米を増やすことになる可能性もあるわけです。

こんな時に「逐次少量」放出は最悪の対策で、当然「一挙大量」放出の姿勢で米価高騰の思惑を粉砕するというのがとるべき方策でしょう。

しかし、日本中の家計が困っていることも、米価に触発される諸物価の高騰が日銀の金利正常化政策にも影響し、日本経済の成長の障害にもなろうという事も解っているはずの政府機関である農水省が、あたかも米価の高騰を望んでいるような態度だという事は一体何ゆえでしょうか。   

もともと日本の米価は高く、かつてはウルグアイラウンドで安い外国産のコメを買わされているのです。(それは低品質で加工米や飼料になっています)

では、日本のコメは高いのかというと、ご承知のように日本のコメは高級食材として、毎年3割以上も輸出が伸びているのです。はっきり言ってしまえば、日本のコメは、本気で生産性を上げれば国際競争力を持ちうる時代に来ているのではないでしょうか。

農地法、農振法、減反政策といった現状を変えずに、農家の高齢化の中で、生産性向上政策に背を向け、「生産性向上」ではなく「価格上昇」によって、主食である「米」の生産を維持しようという、農水省の怠惰な政策の結果が、米価暴騰を齎しているというのが現状の最も適切な説明のような気がします。

今必要なのは、全国民と国を挙げての本格的議論だと思っています。

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2024年末の家計:消費性向上向く

2025年02月13日 15時56分42秒 | 経済

昨年末、12月の家計調査は、既に新年の7日に総務省統計局から発表になっていましたが。取り上げるのが遅くなって申し訳ありません。

先ず結果から申し上げますと、このブログの最大の注目点の一つである、二人以上勤労者世帯の平均消費性向の年末12月は前年同月の38.4%から0.5ポイント上がって38.9%になりました。

下の図でご覧いただけますように、2024年の賃金は、春闘の賃上げ率は33年ぶりの高水準と言われましたが、ボーナス月以外は賃金上昇が物価上昇に追いつかない状態の中で、家計は消費を控え、貯蓄に回す傾向が強く、5月以降平均消費性向はずっと前年を下回る状態でした。

ところがこの傾向が11月に反転して、11月、12月と連続して平均消費性向が前年を上回る動きになっています。

但し、先月の11月の分析では、家計は節約志向の中で、コメをはじめ生鮮食品など、日々の生活必需品の価格高騰があり、我が家でもそうですが、コメの場合は(高齢世帯ですから、どうしても米を食べます)米の値段が60%、70%上がっても買わざるを得ず、食料品の値上がりに引っ張られて支出が増えた面もあったのではないかと見ていました。

12月はどうかと見ますと、二人以上世帯平均の名目消費支出が7.0%の伸びで、中で目立つのは住宅関係(設備修繕・維持)18.3%。これはリフォーム流行や寒波のせいでしょうか、次いで水道・光熱で、これは補助金打ち切り、次は自動車関係費(ガソリン高騰)などとなっていいますが、いずれも寒波・豪雪に関係ありそうです。食料品は5.1%増で、高値敬遠の節約志向です。

以上は名目支出ですが、実質支出は2.7%の伸びです。名目の7.0%との差は消費者物価指数の4.3%の上昇(家計調査では「持ち家の帰属家賃を除く総合」を使っています)という事ですが、特筆すべきは,12月の二人以上世帯の実質消費支出は2023年の3月以来殆んど前年比マイナスから2.7%という大幅プラスになっている点です。

これを、家計の収入面の数字もある二人以上勤労者世帯で見ますと、世帯の実収入(世帯主、配偶者、他の世帯員の給与、内職収入、財産所得、社会保障給付など)は、12月には世帯主のボーナスも含め前年比7.2%増で、実質実収入も2.9%増となっています。消費支出は名目8.4%、実質4.3%増えて2カ月連続増加です。

一昨年から昨年にかけて、毎月勤労統計(労働省)の賃金増に追いつかないことが多かった家計調査(総理府)の家計収入が、この所、配偶者の収入増もあり、毎月勤労統計の数字や消費者物価指数の上昇を追い越して増える傾向があります。就業者の増もあるようですから、人手不足の効果かもしれません。

消費性向の上昇は、物価上昇でやむを得ずという面もあるでしょうが、2023年のように、収入は伸びないがコロナ終息の安心感から消費が積極化するといった心理的なものもあるようです。

11月からの消費性向の上昇が、物価上昇で結果的に支出が増えたのか、春闘賃上げの継続予想が、将来見通しを明るくしているからか、結果はこれからの統計数字から見えて来るでしょう。


インフレ? デフレ? 日本の現状

2025年02月05日 17時03分34秒 | 経済

今の日本の経済状態はインフレなのかデフレなのか、どちらとお思いでしょうか。植田日銀総裁は、物価が下がってくると思っていたら、最近は反転上昇気味でインフレが心配という感じの発言です。

赤沢経済再生担当相は、足元はインフレで日銀と政府の見解に齟齬はないと言いますが、石破総理は,日本経済はデフレではないがデフレから脱却できていない、インフレと決めつけることはしないと言っています。

インフレとデフレが混在している状態としては、石油危機の後の欧米の状態、物価は上がるが、企業は利益が出ない、経済成長はしない、これは「スタグフレーション」という新しい現象だという事になりました。

今の日本はそれとも違いますね。経済成長はしないという点ではスタグフレーションと同じですが、企業利益が順調という点ではスタグフレーションとは違いいます。

ということで、「それでは何なのだ」という事になるわけです。

物事の結果には原因があるわけで、原因に遡って見て行けば因果関係が解るはずですという事で、何が原因か考えてみましょう。

<インフレ>

・輸入インフレ(海外価格上昇、円安)

・コストインフレ(賃金上昇、消費増加、利益増加)

<デフレ>

・海外より物価高(国内コスト高、円高)

・国内需要減少(賃金低迷、投資不振、貯蓄超過)

大体インフレとデフレの原因はこんな所でしょう。

2012年までは、「円高」で日本は「海外より物価高」でしたからデフレでした(日本の物価は国際水準になるまで下がる)。

2013~14年の日銀の「異次元金融緩和」で円レートは80円から120円になり、デフレの原因のうち「円高」は消えました。

これでデフレは終わると思っていましたが、5割の「円安」になっても名目賃金が年に2%前後しか上がらずに輸入インフレ圧力強まり、輸入インフレと賃金低迷がせめぎ合い、輸出産業だけ利益増加が起きました。

輸出産業の利益増加は主に海外の直接投資(工場建設など)に向かい、GDPは増えませんでした。結果は第一次所得収支の増で、これもGDPに入りません。

国内では円高が終わっても相変わらず不況で賃金が上がらないので、将来不安が募り、家計部門では消費性向が低下し、貯蓄超過、消費不振でデフレ状態が続きました。

2022年あたりから、通常の経済原則では起きるはずの円安に伴う輸入インフレ圧力が一部破裂して消費者物価の上昇が起き、輸入インフレの欧米との金利格差のが拡大で更に円安が進み、輸出部門などの利益は更に増え、経営サイドから「賃上げをすべきだ」という意見が出る程になりました。

そして2023年から春闘が注目され、24年には33年ぶりの大幅賃上げとなりました。

それで状況は幾分改善されましたが、円安の輸入インフレ圧力が、低賃金上昇と消費性向の低迷という不況期の消費行動で蓋をされている状況は大きく変わっていません。

つまり今起きている現象は、輸入インフレ要因が、国内の低賃上げ、消費不振というデフレ要因で蓋をされて、政府も、企業も、国民も八方塞がりだと困っている状態なのでしょう。

いわばスタグフレーションの反対のような性格を多分に持つ現象で、まだ名前がついていないのです。

仮に名付ければ、日本語では「賃上げ恐怖症候群」、横文字にすれば“inflagnation”でしょうか。

スタグフレーションは賃金抑制で治りました。こちらは、思い切って賃上げをしていけば治る病気のようです。


見えて来た? トランプ流ディール戦略

2025年02月04日 15時37分01秒 | 経済

昨日1000円超の下げだった日経平均が今朝は600円以上戻しています。「さて原因は」といえば、言わずと知れたトランプさんのディールという掌の中での意思決定の結果です。

メキシコ、カナダに対しての25%の関税の今月4日からの引き上げを1カ月伸ばし、交渉に入るという事になったからです。

もともと、この関税引き上げの理由としてフェンタニルという軽度の麻薬の密輸が主な要因に挙げられていたようですが、それですべての関税を25%というのはやり過ぎと思っていた人も多いようで、アメリカのマネーマーケットも、トランプ大統領がこんな株式市況の下落を喜ぶはずはないと考えていたようです。

結果は、1夜にして状況は変わり、フェンタニルの密輸は合同の捜査機関を作るという事で具体策の交渉に入り、その間1か月の先延ばしという事のようで、具体的な政策は、より現実的なものになるようです。

但し、もちろんのことですが、それが順調に進むかどうかで、関税の方も引き上げ政策が消えたわけではありません。

トランプ政権の第2幕が始まって以来、世界中の評論家が、「この4年間は何が起きるか解らない」といった言い方をしているようで、疑心暗鬼というような雰囲気がいっぱいですから、鬼面人を驚かすような発言(Ⅹでの表明)がトランプさんから出ると、世界の世論は混乱するのですが、今回は、差し当たって常識的なレベルに落ち着く可能性もありそうです。

とはいっても、それで落ち着くかというと、それも大変解りにくいようですから、やはり何事も予断は許されないという雰囲気は、いつまでも消えないのでしょう。

恐らく自分のやることは出来るだけ大げさに、断定的な形で発言して、より多くの人に強い関心を持たせるという事については天才的な着想を持っているのがトランプさんという人かもしれません。

しかし、やることが、世界中の人が、出来そうもないと思い,手を拱いて思案投げ首といった問題を取り上げ、簡単に結論や可能性を明言し、それへの取り組みを具体的にやって見せるという事は、アメリカという覇権国の大統領だからこそ大見栄を切って発言し、行動できるわけで、他の国のリーダーでは手の届かない事でしょう。

そして、それを平然と発言し、トランプ劇場を作り、主役を演じることを、楽しんでいるがごとくにやって見せるという所にこそ、トランプさんの真骨頂があるのでしょう。

勿論、それが成功するかどうかは、解りません(多分本人にも)。そしてその際に活用する手段が「ディール」なのでしょう。その手段が、時に「ディール」を越えて、トランプさん自身が口では嫌っている「世界の警察」であっても「戦争」ではないという見方も多分当たっているのではないでしょうか。 

そんな気持ちで「観劇」することで、自分の気持ちを落ち着かせて、トランプさん関連のニュースを見て行こうと思っているところです。


日本的経営の理念と非正規社員問題

2025年01月31日 10時14分04秒 | 経済

今年の春闘では、賃上げの要求をする連合は勿論ですが経営サイドの代表である経団連も賃上げの必要性を強調しています。

これは大変結構なことで、思い切って少し高めの賃上げをすれば日本経済は随分良くなるとでしょう

更に結構なことは、労使が共に中小企業や非正規社員の賃金の積極体な改善を言って言う事です。 

政府は、もともと賃上げには熱心で、政府の圧力で引き上げ可能な最低賃金についてはこのところ随分無理をして上げてきています。

特に日本社会の「格差社会化」阻止のために重要な、中小企業、非正規従業員の問題ですので、改めて取り上げました。

欧米社会は元々「市民と奴隷」という形を取ってきたようですが、日本には縄文時代から奴隷制度が無かったというのが特徴のようです。恐らく身分差別のない「人間集団」というのが一般的な姿だったのでしょう。

海外から輸入文化が入って来て舶来崇拝の中で制度が作られたのでしょうが、今でも基本的に変わっていないのは「企業は人間集団」という見方です。

欧米では企業は職務の集合体で、その職務に適切な人間を採用するのですが、日本では、好ましい人間を採用して企業の中で仕事、社会性、人間性も磨かれていく、つまり企業が人を育てるのが日本的経営の基本なのです。

明治時代に会社というシステムが入って来て、会社の中では身分制度がありましたが、思い出すのは、戦後の日本経済再建の中で、当時の日経連(現経団連)会長だった桜田武が「戦後、日本企業では身分制を廃し、総て社員とした」と話したり書いたりしていることです。 

その日本の企業社会に今は「正規」と「非正規」という明確な身分がうまれ、しかも非正規の比率が4割近くに高まり、減る気配がないという状態です。

これはどう考えても「日本的経営」の基本からの逸脱ですから、その副作用が必ず出てくると考えてきました。

今それが、就職氷河期の卒業生の中の残された問題という形で、中堅社員の不足、生産性向上への障害、社会の劣化など様々な面で現れているのです。 

たしかに1995~2006年あたりでしょうか、円高不況の日本経済の中では、失業率の上昇を避けることが最優先、雇用の質までは問えない、という現実があったことは否定出来ないとは思います。

しかし、このコスト削減の手法が、為替レートの正常 化以降も続けられたことは。経営者の意識が変化(劣化)した結果ではないかと感じられます。

このブログでは、円高不況で増えた非正規社員は、円レートの正常化とともに復元(正社員化)が起きる予想していました。

残念ながらその予想は、ごく一部の企業を除いて当たりませんでした。そしてようやく今、非正規の賃金問題として気づかれてきたようです。 

しかし、日本的経営の(日本の社会的伝統・文化の)視点から言えば、単に賃上げではなく教育訓練、正規化、生産性向上の積極化です。

遅きに失した感はありますが、日本の経営者が、非正規の正規化問題を企業の社会的責任と考え、本気で取り組んでほしいと思っています。


トランプ大統領とFRB、アメリカ経済と日本

2025年01月30日 17時09分51秒 | 経済

今回のFOMCでは、パウエルさんは政策金利の引き下げはやめて、もう少し状況を静観するようです。

本来ならばFRBは政策金利を引き下げ、アメリカ経済の健全な成長路線を進める方向で考えていたのでしょうが、トランプさんの登場で、一部の国民が熱狂したり、国の政策決定が先行き不透明になったことがあるようです。

トランプさんは、メキシコとの間には物理的な壁ですが、アメリカの周りに関税という名の壁を建設し、国内では石油やガスをどんどん掘って、世界の石油価格を下げれば、アメリカの経済の活性化は可能と考えているようです。

インフレ問題にしても、アメリカの石油やガスの大量産でガソリンやその他のエネルギー価格が下がれば、物価全体が下がるという見方でしょう。

それでトランプさんは、パウエルさんに対してFRBは自分の創り出したインフレを抑えようとして、それにも失敗した、と批判しているのでしょう。

アメリカの石油やガスの埋蔵量がどのくらいかは解りませんが、アメリカが化石燃料を増産して、世界のエネルギー事情にどの程度の影響があるかも未知数ですし、気候変動を意に介せず、パリ協定を脱したアメリカへの批判も予測不可能です。

FRBは最も重要な仕事である金利政策を駆使してインフレを収め、金利を下げてアメリカの経済力を強くすることを考えっているのでしょうら、当面トランプさんの政策を見るよりしょうがないという事になります。

トランプさんは金利には触れませんし、パウエルさんは、アメリカ経済は現状でも良好だから、更なる物価上昇でもない限り、当分の間、金利は現状で動かすべきではないと、トランプ政策を横目で静観という事なのでしょう。

何時までこうした不安定の上の安定が続くのかはわかりませんが、トランプさんは弱いドルより強いドルの方がお好みに合うのでしょう。しかし、現状でもインフレ抑制の効果はあり、FRBが金利引き下げに動ず、当分現状維持のままでもいいのではないかと急がない事を強調しているようです。

こうした状況は日本にとってはどうなのでしょうか。日銀がどう判断しているかは解りませんが、日銀は金利を上げたい方向、FRBは金利を下げたい方向という客観的な事情を考えれば、これは円高の方向を共に促進することになり、 

些か円安に依存し過ぎた日本企業にとっては、急速な円高は望ましくない面もの原所多いでしょう。

政治的にも、経済的にもかなり不安定な要素の多い日本の現状です。出来ればアメリカが当面動かないという事は日本としては政策を取り安くなるという面もあるのではないでしょうか。

日本自身の取るべき政策が、政府と日銀で一致していてくれないと困りますが、金利政策で、徐々に円を強くし、輸出産業は円高への備えを確りやり、アメリカの石油価格を下げるという政策にも便乗し、賃金の引き上げを多少大きくしても輸入物価の下げでコストが相殺されるような状況を作り出す能性も出て来るのではないでしょうか。結果は実質賃金の上昇になります

国際投機資本も動きにくい中で、日本の低賃金と低金利を引き上げるチャンスにすることも可能ではないかなどと考えるところですがどうでしょうか。