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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費者物価指数、反転上昇継続

2025年01月27日 13時43分36秒 | 経済

キャベツの値段が倍以上になったとか、収穫時のキャベツ畑で、一夜にしてキャベツが全部盗まれたとか、日本でそんな事が起きるのかと情けなくなるようなニュースが入ってきます。これもキャベツの値上がりと同時に日本社会の劣化現象の結果のように感じられます。

キャベツから電線まで盗まれるような社会の劣化問題は重大事ですが、物価問題でいえば、生鮮食品の価格の変動も些かひど過ぎる気もします。現状、生鮮食品とお米の価格上昇が消費者物価指数を押し上げています。

キャベツの価格は、天候が良ければ暴落し、産地ではトラクターでひき潰す事もあるように、天候次第という面もありますから、この所政府は消費者物価指数の発表の際には「生鮮食品を除く総合」の数字を発表しています。

ところで、12月の消費者物価指数は、生鮮食品の値上がりもありますが、エネルギー価格の上昇、お米の値段の異常なほどの上昇もあり上昇基調が続いています。

   消費者物価3指標の原指数の推移(総務省)

 

上の図の原指数の動きですと昨年9月に、ようやく物価も安定してきたなと思った途端、その後は急角度の上昇です。

日銀も今回の利上げは物価が安定してきたからというより、インフレ防止という意味が強くなりそうな状態です。

トランプさんが石油の値段を下げろと言っていますから、エネルギー価格があまり上がらないかもしれませんが日本ではお米の価格が対前年比で10月は60%、11月は64%、12月は66%と上がり続けています。漸く備蓄米放出などと言い始めましたが、政府はお米の価格を下げる気はないようです。

お米の値段が上がれば、すでに、すし、おにぎり、牛丼などなど値上上がりが始まっていますが、大手の宅配弁当なども3月から値上げを考えているようです。高齢者の家計は大変です

12月の動きを前年比で見ますと下の図です。

   消費者物価3指数の対前年比(総務省、%)

 

「総合」は3.6%、「生鮮食品を除く総合」が3%、「生鮮とエネルギーを除く総合」が2.4%と最も落ち着いていますが、これからが問題でしょう。

お米の値段は、あまり下がりそうにありません。すでに9月段階で農協の、農家からの買取価格が昨年より3割上昇と決まっていて、その結果が小売価格の6割上昇という事になったようです。

主食であるお米が6割も上がって、政府やマスコミが大騒ぎしないという事は通常ならあり得ない事だと考えれば、これも政府の政策の裡なのでしょう。

春闘では、大企業の一部の6%賃上げ方針や、連合の中小企業6%賃上げ目標、単産労組の発表する賃上げ基準がベア中心になり高めになって来ています。結果にもよりますが、自家製インフレの懸念もあります。

遅きに失した感もありますが、デフレ脱出はこれで完成という事になりそうです。

デフレ脱出で政府は万歳かもしれませんが、デフレ脱出はインフレにすることではなく、実質経済の成長が目標ですから、取り違えの無いように願いたいものです。


日銀、平穏裡に政策金利を0.5%に

2025年01月25日 15時49分48秒 | 経済

昨日、日銀は政策金利を0.25%引き上げて0.5%にすることを決定しました。昨年8月の0.25%へのホンの小幅の引き上げが、国際投機資本にとってサプライズだという事で、日経平均の大幅下落、1ドル140台への円高を招いた時とは様変わりの反応の無さです。

そういう意味では、今回の利上げは、日銀としては、経験からしっかり学び、余計な混乱を避けるという意味で、様変わりの進歩でしょう。

日本経済としては、金利の正常化(適切な水準までの引き上げ)を実現して、経済活動を反映し、経済活動に影響を与え、金融政策が機能するような形になるのが目標ですからまだ先は長いようです。

今回の引き上げは、前回より実体経済に与える影響は大きいと思われます。差し当たって影響を受けるのは住宅融資の変動金利の引き上げでしょうか。一方、預金の方は普通預金の金利も引き上げられるようです。

今までは、日本の借金王である日本政府が、殆んど金利のつかない金を国民から借りて大変な楽をし、国民は貯金をしても利息が付かないので、その分自分で利息を付けるという意味も含めて、消費を抑え、貯蓄志向というのが家計の動きでした。

まだまだ少しですが、政府が国民に利息を払う事になったのは結構なことで、多くの家計は更なる利上げを望むでしょう。 

ところで、今回の金利引き上げで、マスコミが報じている中に、ひとつ、今までの説明と全く逆の要因が挙げられています。

勿論それは日銀から説明があったからですが、それは、金融機能の正常化の方向を示すとともに、日本経済が、今までの賃金の上がらない経済から、賃金の上がる経済に変わっていく動きを示唆、予測、奨励するといった、日本経済の新傾向についての見方に関わると感じるところです。

昨年8月の政策金利引き上げについての日銀の説明は、消費者物価指数の上昇が、2%程度まで収まったので引き上げに踏切るというものでした。

元々物価が下がったら金利を引き上げる理論は、経済学にはありません。日本の場合は特別で、インフレが目標の2%まで下がったら経済が正常化したと考え金利の正常化(ゼロ金利脱出)が可能になるという特別の考え方でした。 

昨年8月の引き上げは、そうした日銀の認識の結果でしょう。ですから日銀はその後も引き上げの機会を狙っていましたが、国際情勢から国際投機資本を刺激しないよういに時期を待ちました。

トランプさん再登場、ドル高指向、NYダウ上昇という環境もあって円高も進みにくく、国内では、今春闘の経営者の賃上げ指向も強く、消費者物価再上昇で周到な対外意思表示も行われ、結果は思い通りという事でしょう。

中でも、お米を始め食料品価格の上昇で「インフレ懸念」という説明が入って来ました。インフレ進行を抑えるための賃上げというのは世界共通の認識です。物価が下がったから金利引き上げという考え方は消えて来ています。

今回の金利引き上げで注目すべきは、日銀がその本来の意識である貨幣価値の維持(インフレ防止)を指摘している事、その背後には賃金が上がり始めるのではないかという意識や、もしかしたら農協のコメ買取価格の引き上げのように、農業政策は旧態のままで価格だけ上げていくという日本の主食であるコメにつての政府の姿勢といった問題があるようにも感じられるところです。


新自由主義経済を高見の見物

2025年01月24日 14時04分35秒 | 経済

ソフトバンク・グループの孫正義さんやオープンAIのアルトマンさん達がアメリカで最大5000億ドルに上るAIインフラの整備、10万人の雇用を生み出す投資をするという事で、トランプさんが大変喜んでいるというニュースがありました。

孫さんも凄いなとびっくりしていましたら、今やトランプ大統領の側近とみられているテスラのイーロン・マスクさんが、「彼らはカネを持っていいない。孫さんの持っているのは100億ドル程度」と成功を危ぶむような発言をしたいうニュースが入ってきました。

マスコミは、さっそくこの話を取り上げ、トランプさんとマスクさんの間に意見の相違が・・、といった報道をしました。

その後の報道ではトランプさんは、(人間関係もあるだろうが)そんなことは問題ないと気に留めないという事のようです。

トランプさんにしてみれば、アメリカに金を注ぎ込んでくれて、雇用を生み出してくれるという企画は大歓迎という事のようです。

こんなニュースを聞いて、つくづく感じたのは、最近の話題の主、新自由主義経済のチャンピオンたちの金銭感覚と実体経済の金銭感覚とのズレの巨大さです。

調べてみるとイーロンマスク氏の資産は4500億ドルを超えて2位のアマゾンのベソス氏に2000億ドルの差をつけたとか言われています。

マスク氏の資産の元は電気自動車テスラでしょう。ほかにも宇宙船のスペースX や“X”さらにAIのプロジェクトも在りますが、事業そのものでそんな巨大な利益が出るような段階ではないようです。

そこでテスラの時価総額をみましたら、驚く勿れ1兆4000億ドルです。それも、トランプさんが当選して70%増えた結果だそうです。

マスクさんがテスラの株の何%を持っているのか知りませんが、トヨタの時価総額の3300億ドルに比べてその巨大さが知られます。

ついでに車の生産台数で見ますと、トヨタは世界で約1000万台、テスラは僅か181万台(2023年)という事で、この差にまた驚かされます。台数は年に3割ほど伸びているようですが、倍になっても知れています。

こうした比較から解ることは、マスクさんの資産は、テスラの生産、販売という実体経済の利益でで成り立っているのではなく、株価の値上がりで生じているものらしいという事です。

経済学的に言えば、テスラ社の将来の利益と株価の値上がりの期待が織り込まれた株価の上に載っている資産価値という事でしょうか。

嘗て、アマゾンが創業した頃、長い間配当もないのに株価が上がって不思議がられたことがありました。アマゾン発展の今その回答が出ていると言えるのか計算はしていませんが、テスラの答えはだいぶ先でしょう。

電気自動車が大事のマスク氏が、ガソリン車重視のトランプ大統領にすり寄ったのも何かあると勘繰る人もいるようです。

という事で、最近の新自由主義の経済は、実体経済と次第に縁遠くなって、付加価値を作るよりも、思惑や期待感、人気と射幸心が入り混じった巨大なマネーの世界が、政治にまで影響力を持つ巨大な人工マネー空間として広がるという姿になっているようです。

ラストベルトを復活させるといトランプさんの実体経済のレベルでの公約が、新自由主義経済を使って成功するのか、地べたからですが、「高みの見物」と洒落込んでみるのもいいかなという所でしょうか。


開けてびっくり「トランプ関税」

2025年01月22日 17時29分43秒 | 経済

トランプさんの大統領の就任演説の全文が出ていたので、さらっと目を通しました。

なんとまあ独りよがりで、いい事ばかり並べて、出来るか出来ないかは別、勿論他国の都合などは無視です。トランプファンが喜びそうな言葉を並べて、その都度拍手と歓声が上がり、トランプさんの満足そうな顔が目に浮かびます。

ところが。関税のところに来て「ええ、これ何、こんな事「あり」ですか」とびっくりしました。さっそく原文にも当たってみましたが、まさに驚くべき発想、恐るべき発言です。日本語にすれば以下の通りです

「私は直ちにアメリカの貿易システムのオーバーホールに取り掛かる。アメリカの労働者と家族を守るためである。アメリカ国民に課税して外国を豊かにする代わりに、外国に課税してアメリカ国民を豊かにする。その目的のために対外歳入庁をつくる。そこですべての関税、税金、その他の収入を集める。おそらく膨大な額の金が海外から財務省に流れ込むことになろう。」(訳tnlabo)

この意味するところでは、関税を払うのはアメリカの消費者ではなく輸出国という事になります。

日本政府は輸入の穀物や肉類に関税をかけています。我々の買うアメリカ産の穀物や肉類は関税の分だけ高くなっていて、関税分は日本国民が負担しているのです。

これが関税の常識で、輸出国の方が関税を払うというのは通常あり得ないのです。大抵の解説は関税は輸入サイドが払うものと書いてあります。

しかし輸出関税というのもないわけではありません。ただ目的が全然違います。自国の貴重な天然資源などを安く輸出して、国に損害を与えないように、輸出業者に関税を払わせるというのが輸出関税です。

上のトランプさんの言う関税は、例えば、日本がアメリカに200ドルの車を売ろうとしたら、これに10%の関税をかけます。10%=20ドルの関税は、アメリカの消費者がその車を220ドルで買うのではなく、日本国か日本の輸出企業がアメリカ政府に「関税」という形で20ドルを納めなければならないという事になります。

トランプさんに言わせれば、アメリか市場に入らせて頂いてありがとうございますというお礼か、アメリカ市場に乱入してきた罰金という事なのでしょう。

冒頭に「なんとまあ独りよがり」と書きましたが、これは全くの自己都合で、国際ルールでは認められるものではないでしょう。

日本がアメリカからの輸入品にこれをやったらアメリカは何と言うでしょうか。

以上、この点についてのマスコミなどの指摘が見られないので、皆様のご意見をお伺いしたくて書いた次第です。


「原資料」と「確認」とを心掛けましょう

2025年01月21日 14時06分55秒 | 経済

このブログでは数字をよく使うようにしています。

数字を使っての説明は、比較的に説得力が強いからです。しかも、なるべくグラフ化して使います。視覚に訴えることは印象を強くします。見て頂く方に、出来るだけ正確な情報を確実に伝えたいと考えるからです。

使用する数字を選ぶ時も、グラフ化するときも、見る方が出来るだけ客観的に受け取れる様にする事も心がけます。

こんなことを書きましたのも、若いころ、当時の文部省の統計数理研究所に、仕事が終わってから通い、そこで最も基礎的なことを教わったからです。

講師からは「検算しない数字は数字ではない」から始まって、「数字は必ず原典に当たり、出所は明確に」とか「グラフにするときは、出来るだけ一部分でなく全体が解る形にせよ」などなど、「そんな面倒な」と言ってはいけないという趣旨の発言が聞かれました。

若い時確り言われたことは覚えているもので、ブログを書く時に役立っています。

このブログが言われた通り出来ているか自信はありませんが、物価や賃金、雇用、消費支出関係やGDPなど発表されるたびに原資料に当たり、そこから数字を引き、グラフは出来れば長い期間のものを作るように努めます。    

時に、統計資料が不正確なこともあります。毎月勤労統計の集計に誤りがあったり、建設受注統計に杜撰な集計があったりしますと、批判の口調も厳しくなります。

安倍さんや、菅さんの様な総理大臣が伝聞らしい根拠のない数字を言われた時は、日本の行方を惑わせると直言しなければなりません。

ところで、こういう数字についての作法は、数字を使う人が長い経験の中で積上げて来た知恵なのでしょう。

話は変わりますが、今を盛りのSNSでは、確認していない情報を平気で公にするような人が結構いるようです。一部分だけ取り上げて、とんだ誤解の発生につながることも多々あるようです。

特に視覚に訴える動画が大きな影響力を持つようですが、かつて人々が統計数字を使い始めた時も、数字を使う際のルールが固まるまでには、多分それなりの分別と時間が必要だったのでしょう。

ネット上で情報を伝えるという分野は、今はカオスの中で、一部にルール作りが模索中という状態なのようです。

人間の知恵も進歩していますから、ネットを使う際のルールも 、世界共通の問題として、進歩した知恵で早くまとめ上げてほしいと思うところです。


関税で赤字経済は救えるか:実験開始

2025年01月20日 14時35分15秒 | 経済

アメリかでは1月20日、日本時間では今夜、トランプ大統領の第二幕、トランプⅡが始まります。

不法移民対策が当面する最初の課題でどこまでやるかが焦点のようですが、経済問題としては、関税の引き上げが当面するトランプⅡの主要課題という所でしょうか。

ご承知のように、アメリカは1970年代以来一貫して経常収支の赤字国です。この問題に関しては、トランプさんは、世界の多くの国がアメリカにものを売って儲けている。しかしそうした国々は、自国の利益ばかり考えて、アメリカを利用するばかり。一方アメリカは市場として利用されるばかりで、結局損ばかりしている。

この状況を正すためには、アメリカとして、安価で入って来る輸入品に関税をかけて、アメリカを市場として利用するばかりの国々に対抗しなければならないと言うのです。

 という訳で日本を含めアメリカに輸出をする国に対して1律10-20%、中国には60%の関税をかけるというのが大統領選挙戦の時からの公約です。

アメリカは元々自由貿易の推進を主導した国で、関税引き下げに世界中を巻き込んで、それが世界経済の発展につながると主唱してきた国です。

もともと戦後はアメリカの経済力が強く、穀物から家電製品、自動車、航空機まで、みな競争力がありましたから、日本など他の国はアメリカから輸入していれば国内の生産力がつかないので、輸入品に関税をかけて国内産業を育成したのです。お米はその代表ですし、今でも小麦や大豆、トウモロコシ、牛肉などは、アメリカには敵いません。 

しかし、電化製品や自動車などは日本や中国などの製品の方が安くなり、アメリカは中国や日本の製品を輸入し、貿易は赤字に転落です。

経済の原則は、消費者は割安(良くて安い)のものを買うという事です。トランプさんは、政界中がアメリカに輸出して儲けていると言いますが、アメリカの消費者は、良いものが安く買えて喜んでいるのです。

かつてアメリカが主導した自由貿易で、日本や中国が力をつけて来たのですから、今度はアメリカが力をつける番なのでしょう。トランプさんはそのために関税を引き上げてラストベルト地帯の復活を目指しているのでしょう。

関税は、輸入品に負けているアメリカの産業が復活するための防波堤のようなもので、関税をかけている間に、アメリカが産業の競争力をつける努力をしなければならないという事でしょう。

本当に大事なのは、競争力回復の努力なのですが、その辺りのトランプさんの意識が解りません。

トランプさんがイーロン・マスク氏を重用しているようですが、マスク氏の様な起業家が、沢山生れて来れば成功の可能性は大きくなるでしょう。

トランプさんの実験が成功するか、日本も「注視」しましょう。成功しても、失敗しても,学ぶことはいろいろあると思います。


アメリカは国全体マネーゲームに生きる国

2025年01月16日 13時51分12秒 | 経済

前回は、日本では政府が「貯蓄から投資へ」と課税免除までして株式や投資信託への乗り換えを奨励しているのですが、家計の動きははかばかしくないという状況を見てきました。

政府がいつも引き合いに出すのは「アメリカでは家計貯蓄の半分以上が株式や投信といった投資で、日本の場合は20%程でしかない」という比較です。

そして、もっと積極的に投資での運用を増やせば、家計の所得は増えて、生活は楽になるし、消費も増えて経済成長に役立つから、NISAという制度まで作って、免税までしてあげているのです、という事のようです。それでも日本の家計が政府の方針に乗るのには時間がかかりそうです。

日本の家計が貯蓄優先の理由は多分2つでしょう、1つは、日本には「あぶく銭」(投機などで労せずに儲けた金)をさげすむ文化があったこと(もう過去形ですね)、もう1つは「相場に手を出したら身の破滅」という失敗の経験が多いことです。

森永卓郎さんではありませんが「投資と言っても基本は投機、つまりはギャンブルなのですよ」と損失を身につまされている人が結構多いようです。

株などで儲ける人は大金持ちで眼の利く人、素人が宣伝に乗って手を出せば結局は元も子もなしで終わるという経験が多い現実のようです。

ではなぜアメリでは家計の金融資産の半分以上が株式や投資信託で運用されているのでしょうか。

アメリカでは、多くの人や家計が、株式投資や投資信託で貯蓄を運用し成功している人が多いからでしょう。

というのは、1970年代以降のアメリカというのは、マネーゲームに生きる国になってきているからでしょう。アメリカは経常収支では万年赤字の国です、収入より支出が多い国なのです。赤字部分は資金運用で埋めなければならないのです。アメリカには「あぶく銭」という概念はないようで、何で儲けてもカネはカネで違いはないようです。

所謂金融工学の発展で見るように、アメリカはカネでカネを 稼ぐマネーゲームでは圧倒的に優れた国です。しかも巨大な金融資産を持っていますから、ゲームをすれば殆んど勝つでしょう。

このブログでも「国際投機資本はストーリーテラー」などと書いたことがありますが、彼らが相場のストーリーを作れば、世界の投機資本が提灯をつけるのです。

W.バフェット氏が「これからは日本株」と言って本当に日本株が大幅に上がったのはついこの間の話です。

やっぱりアメリカの家計は、アメリカでは株や投資信託で運用した方が銀行預金より圧倒的有利という経験を持っているのでしょう。

 

やはり、日本の家計が気軽に投資に手を出すのには、成功体験の積み上げが必要なようですが、現状を見ても、成功体験は、なかなか積み上がらないようです。


笛吹けど! 貯蓄が投資に向かわない

2025年01月15日 19時30分13秒 | 経済

日本経済が高度成長からバブルのころにかけても、「貯蓄から投資へ」とか「銀行よ、さようなら、証券よ、こんにちは」などと言われたことが度々ありました。大体は,経済成長が順調で、株式市場が好調な時だったと思います。

日本の家計は真面目で、いつも将来の生活のことを考え、蟻とキリギリスの譬えでいえば蟻型で、頑張って貯蓄をしてきました。

ご存じのように、その貯蓄が積み上がり、今では2200兆円程になっています。日本のGDPが600兆円ですから、年間所得の3倍以上の貯蓄です。

この貯蓄を、出来ればもっと増やしたいと思うのは人情ですから、そこを狙って、銀行と証券会社は競争します。

銀行の売りは「元本は確実に保証します。それに利息が付きます」で、証券は「証券に預ければ多分銀行より増えます。時に減り危険もありますが・・」です。安全優先か、利得優先かの競い合いです。

ところがこの所は銀行預金に金利がつかなくなって、メリットは元本保障だけの様相です。そんな状況の中で政府は、何故か「貯蓄から投資へ」というキャッチフレーズでNISAを代表に、庶民の家計でも可能な少額の証券投資について、配当も値上がり益も課税免除という特典を付けて推奨を始めたのです。

確かにその効果はあって多少の貯蓄はNISAに動いたようです(家計の証券投資が23→24年で4%ほどシェアが増えたようです。

岸田前総理は、アメリカで日本の家計貯蓄のうち証券投資は2割でしかないといと演説したそうで、アメリカの投資銀行やファンドが日本でマーケティングをやったのでしょうか。   

所で、日米の家計貯蓄の構成を比べてみますと下の表です。

 

   家計貯蓄構成に日米比較 (資料:日本銀行・単位%)

日本の証券投資は、政府の旗振りで前年の17%から3~4%ほど増えてはいますが、アメリカにはとても及びません。(ヨーロッパは日米の中間ですが証券投資が30%を越えています。)

ここで疑問になるのは、政府が笛を吹いても何故日本の状況はあまり変わらないのか(逆になぜアメリカは証券投資が多いのか)。何故、証券投資が良くて、預金や貯蓄では駄目なのか、日本で貯蓄が投資に向かうには何が必要かといった事でしょう。

既にお解りかもしれません、が次回はその点を考えてみましょう。

 


雇用のミスマッチについて:考察1

2025年01月14日 13時41分49秒 | 経済

職安の業務統計の有効求人倍率はこのところ1.2倍台で極めて安定しているように見受けられます。

しかしその一方で、大手の電機、自動車、化学などの企業で、国際的な人員削減、そのうちのある程度は国内での削減といったニュースが入ってきます。

最近は、技術革新が急テンポで、特にAIの活用が所謂事務職の大幅な削減につながるのではないかといった意見も多く聞かれますが、その現実化は、今後次第に見えて来るのではないでしょうか。

その一方では、エッセンシャルワーカーなどを中心に、極端な人手不足が起きているようで、特に訪問介護などは、人手不足による事業所閉鎖が相次ぐといった話も聞かれます。

バスの運転手が不足して路線バスの運行を間引きする、不採算路線を廃止するので高齢者にとっては不便になる場合が多いといった地域のニュースも良く聞かれます。

産業構造が、多様な技術革新によって急速に変化し、一方では、高齢化問題なども含めて社会の在り方が変わっていくという時代が、今まさに進展しているのでしょう。

技術革新が、生産現場などの省力化を進め、雇用が縮小し、失業時代が来るというかつての懸念は、技術革新が新しい産業を生むという実体経験によってどちらかというとあまり心配されなくなったのは大変良かったと思うところです。

しかし、これからの問題は、今後一層進歩するであろう産業社会の技術進歩の雇用に与える影響がプラスかマイナスかという問題も含めて、技術進歩の影響(恩恵)を受けにくいエッセンシャルワーカーといった雇用の分野との間で、雇用のミスマッチが、ますます深刻になるのではないかという問題です。

現状で、深刻な問題は、エッセンシャルワーカーの仕事は,人間が人間の世話をするという面が大きいので、人間でなければ出来ない事がほとんどでしょう。産業社会での高度設備を使えば人間が不要になるという「省力化」が働かない分野なのです。

例えば身体介護といった仕事の場合には、相手は人間ですから、そこには人間関係が必然的に発生します。そして人間関係という分野は、ホモサピエンスが発生して30万年の間、基本的に進歩の無い、言い換えれば生産性の上がらない分野なのです。

これを雇用・賃金の単純理論から言えば「同じことをやっていたのでは賃金は同じ」という事になるのです。そして、結果的にそれは、「訪問介護サービスの賃金は上がらない」という現実、そして人手不足につながるのでしょう。

勿論、雇用のミスマッチは、賃金制度・賃金水準だけで解決する問題ではありません。しかしこの問題の解決のための、多分最大の「必要条件」の1つでしょう。

今回は、雇用のミスマッチ問題の最も基本的な「必要条件」の1つについての問題提起をしてみました。


2024年11月平均消費性向下げ止まる !?

2025年01月10日 22時20分17秒 | 経済

今日、総務省統計局から11月の家計調査の家計収支編が発表になりました。

このところ、消費者物価指数は反転上昇の気配で、家計は消費を手控えているという報道が多いので、毎月追いかけている二人以上勤労者世帯の平均消費性向も相変わらず下がっているのではないかと予測して、パソコン上のページをめくっていきましたら、案に相違して11月の平均消費性向は上昇でした。上昇と言っても昨年の11月が74.7%で、今年の11月が74.9%ですから僅か0.2ポイントの上昇です。 

この3年間の動きのグラフを下に掲げますが、ご覧いただきますように今年の5月からずっと前年の数字を下回っていて消費が伸びる気配はありません。

5月からは春闘の結果、賃金上昇になっているはずで、特に6月7月はボーナスがの伸びが大きく実質賃金がプラス転換したにもかかわらず、勤労者世帯の消費は実額で見ても、それを反映するような上昇は見られず、結果的に平均消費性向は前年同月に比べ、かなりの下落となっています。

政府は賃金が上がれば消費が増えて、経済成長率が高まると理解していたようですが、家計の方は、やっぱり将来のことを考えて、一時的に収入が増えたと言っても浮かれて使うべきではないと考えているのでしょう。

それが11月になって消費性向が上がったのです。

年末商戦には未だ1か月ありますが、少し消費意欲が出てきたのかなとも考えましたが、どうもこれは違ったようです。

確かに勤労者世帯の可処分取得は配偶者の収入が増えている事もあって11月には前年同月比4.6%の増加になっています。

一方、消費支出は4.9%の伸びですから、平均消費性向は上がったのですが、支出の内訳の数字が出ている「二人以上世帯の消費支出」を見ますと、目につくのは、(最近エンゲル係数も上がっているようですが)消費支出の3分の1を占める食料の支出が、いい月には、対前年同月比で、名目4.2%、実質 -0.6%という事になっています。

恐らく、11月の状況では、昨年より60%以上も値上がりしたお米の値段を中心に食料費に予想外の支出が必要になったお蔭で平均消費性向が上がったという要因が大きいのではないかという推論結果になった次第です。

やっぱり家計は、未だ消費意欲が出る段階には至っていないのかと考えるのも情けないですが、考えてみれば、毎年それなりの賃上げがあるという日本経済にならないと、家計は将来の心配ばかりで、安定して消費を増やす気にはならないようです。

そういう事であれば、先ずは、これから始まる2025年の春闘に期待することになるのでしょうか。

 


実質賃金、再び4か月連続マイナス(?)

2025年01月09日 15時31分57秒 | 経済

今日、毎月勤労統計の2024年11月が発表になりました。

この所注目を集めているのは実質賃金(指数)の動向で、すでに発表されている11月の反転上昇の消費者物価指数の統計と合わせて、賃金と物価の上昇率の比較から実質賃金の動きが発表されるからです。

実質賃金の動きは2022年の4月から2024年の5月まで25か月にわたって連続して前年水準を下回ったという長期低迷の実態を示しました。昨年の6月に至ってボーナスが良かったことでこの連続記録はストップしましたが、ボーナス月が過ぎた8月から11月まで再び連続のマイナスとマスコミは書いています。

このブログでも、実質賃金の動向は追ってきていますが、昨年の春闘が多少高めだったこともあって、実質賃金はプラスかマイナスかは、統計の見方によるという状態になっています。

昨年1月からの実質賃金指数を毎月勤労統計の実質賃金指数で見ますと下の図です。

 

               資料:厚労省「毎月勤労統計」

5月まではマイナスで、6月は1.1%、7月は0.3%で一応プラスです。しかし8月からは小幅ですが、残念ながらマイナス転落です。ただ春闘前の1~3月から見ればマイナス幅は小さくなっていることは明らかで、昨春闘の賃上げが33年ぶりの大幅賃上げと言われ、この程度の効果はあったという事でしょう。

もともと実質賃金は、長い目で見れば実質経済成長率程度は上がって行ってもいいのですが、実質経済成長率が僅か0.4%という所ですから、やっぱりこの程度という事でしょうか。

ただこのブログでは、いつも触れていますが毎月勤労統計の実質賃金を計算する際の消費者物価指数は、理論的に正しいとされる「持ち家の家賃を除く総合」(家計調査でも同じ)で、これが毎月発表される消費者物価指数「持ち家の帰属家賃を含む」消費者物価指数に比べると上り幅が大きいのです。

持ち家の人は家賃を払っていませんから、持ち家の家賃相当額は、市場の家賃の動きを参考にして決めているとの事ですが、この11月も、通常の消費者物価指数の「総合」は2.9%、「帰属家賃を除く」は3.4%の上昇となっています。

賃金指数の方は「現金給与総額」で3.0%の上昇ですから通常の消費者物価指数を採れば0.1%のプラスです。10月は「除く」が2.6%、「通常」が2..3%の上昇ですから実質賃金のマイナス幅は0.1%と縮小します。

日本は持ち家が大部分で、持ち家の帰属家賃のウェイトは大きいので家賃水準の推計如何が大きな影響を持つようです。

考えてみればこんな1%にも足りない所でプラス・マイナスを論じるよりも、早く2~3%の経済成長を実現して、実質賃金が毎年2%ぐらいは上がって当たり前という日本経済にすることを確り考えた方がいいようです。


政府の介入で実体経済が歪む非効率

2025年01月08日 21時45分05秒 | 経済

前回は、新年の経済、政府ベースでいえば当初予算を前提の来年度経済について、何か不健全な方向に進むのではないかという心配を書きました。

これはアメリカとの関係もあります。トランプさんの政策が関税によって、アメリカ・ファーストの実現を考えている事が、対中、対日の面で日本経済の順調な再活性化に影響を及ぼす可能性がある事、さらに、防衛装備品などの購入の要請、ドル高維持政策(円安の長期継続)の危険性などがありそうです。

しかしより問題なのは、日本自体の経済政策が、成長路線への復帰の障害になるような面が見えてきていることがあります。

その一つは、政府が「貯蓄から投資へ」というスタンスを打ち出してきている事にあります。

貯蓄というのは通常確定利付きで、利息というのは「付加価値の分配」です、しかし投資収益というのは「株や投信の値上がり」で所得を増やそうという事になります。経済成長はなくても、マネーゲームで豊かになれるという考え方です。日経平均がいくら上っても、実質経済成長とは別物で、所得格差の拡大は進んでも、経済成長は「置いてけ堀」という事になりかねません。

政府はこうした政策を採りながら、低所得層への給付金、一部産業企業への補助金で「国民生活の安定を図っている」と思っているのです。

実は大きな問題は、そこなのです、折に触れて書いているのですが、こうした実体経済を歪める経済政策は、価格機構の正常な活動を妨げる、つまり経済の実態という環境変化に対する必要な企業活動の対応を遅らせることになるのです。

価格は基本的には需給によって決まります。ガソリンが高くなればガソリン車からハイブリッド車への乗り換えが進みます。ガソリンの需要が減り価格上昇が緩やかになりCO² も減ります 。

企業が賃上げをせず、政府が給付金を出せば、財源は税金か国債で、長い国会議論と支給方法の検討が必要です。定額減税などは大変な手間でしたね。企業が賃金を上げれば、政府の手間とコストは大幅に減ります。

企業は環境変化に機敏に対応することが要請される組織です、国際競争に勝つためにも早く環境変化に対応、生産性の向上に成功して成長するのです、政府の補助金政策は、それを遅らせるものです。

何時も指摘しますように、政府はプレーヤーになってはいけないのです

政府の役割りは、プレーヤーが最も優れたプレーをするようなルールを作る事なのです。

はっきり言えば、政府は、プラザ合意の様な経済外交の大失敗をしない事です。外国の戦争に引き込まれて国民の生命や財産を失う政策をとらない事です。

そして企業の活動を生かし、成長する経済の中で、価格機構に乗らない社会保障の様なエッセンシャル・ワークの充実を図る事でしょう。これは経済成長が無ければ出来ません。

今の政府は(野党も)当面の得票のために逆の事をしているような気がしてなりません。


日本経済は不健全な方向へ進んでいく?

2025年01月07日 17時15分33秒 | 経済

2025年の日本経済は、30年来の不振を脱却して、健全な成長経済に向けて進む可能性があると考えていますが、この所の現実の動きを見ていますと、何か不安材料ばかりが目に付いて困っています。

まずは、トランプさんの考えている経済政策です。

経済政策というより関税政策のようですが、たとえば、USスチールについては、日鉄などに身売りしなくても、関税政策で忽ち元気が出て、昔のような高収益の会社になると言っているようです。

世界に自由貿易を普及させることにで、世界発展を促進し、アジア諸国をはじめ世界の国々が経済発展し、アメリカはそこに企業進出し、低コストを利用し。確かにアメリカ企業は収益を上げました。

しかし、中国をはじめ、アメリカが進出した国々が、技術革新を学習し、アメリカの下請けに甘んじず、自国製品を開発してアメリカに輸出するようになると、途上国は生産基地になり、アメリカの消費者は、そうした国々から安価で質の良い製品を輸入し、アメリカ製は高くて売れないことになります。

戦後を考えれば、その先鞭をつけたのは、日本でしょう。日本は、繊維から自動車、半導体まで、対米交渉で、何とか折り合いをつけてきました。プラザ合意で円高も受け入れ、成長をしない国に転落しました。

しかし、人口13億の中国の場合は、超巨大な世界の工場になり、元高を拒否、対抗意識を持ち、米中関係は、経済だけではなく覇権争いにまで発展する気配になりました。

トランプさんは、その問題の解決を関税政策でという事のようです。それが上手くいくかどうかは大変心配です。

アメリカの方は既にトランプ景気だという事で元気づいて、NYダウも好調のようです。

それにつられてか、今日は日経平均も上げていますが、日本の実体経済の方は政府の見通しのように、うら淋しいしい状態です。 

13兆円の補正予算が通っても今年度の実質経済成長は0.4%だそうで、政府は来年度は1.2%成長と言っていますが、今年度も当初は1.3%と言っていました。

テレビでは今年度の経済はという事で、多くの評論家が説明をしてくれていますが、今年は右肩上がりで順調という説明をしているのは、大抵、証券会社系の評論家の方々です。

アメリカのマネーマーケットが盛況という事で東京市場もつれ高もあるようですが、株価は上っても、庶民生活は潤わないという巷の声の方が深刻なようで、これは春闘、特に中小、非正規の方々の所得の上昇の実現が問題です。

こんな実態が多く聞かれますと、今年も低成長の中で格差社会の深刻化の様相が見えて来るようで、何か心配が先に立ってしまいます。

経済といっても何か視点が狂っているような日本ですが、やはり実体経済や格差問題にに注目しないといけないのではと感じるばかりです。


発表ごとに下がる政府済見通し

2024年12月26日 16時04分40秒 | 経済

政府は毎年12月には「来年度政府経済見通し」を発表します。

発表の形式は3年分になっていて「前年度実績」「今年度実績見込み」「来年度見通し」という形で、GDPの成長率、名目と実質、GDPを構成する主要国目の一覧表がついています。

因みに今年度についての発表数字の実質成長率について見ますと

令和4年度実績    1.5%

令和5年度実績見込み 1.6%

 令和6年度見通し   1.3%

ということになっています。

このブログでも、令和6年度は、労使ともに賃金引き上げに力を入れているし、その効果が出れば、前年より低い実質経済成長率というのは情けないというようなことを書いた記憶がありますが、1年たってみますと、全く違った、極めて情けない事になって来ているようです。

政府はこの見通しを掲げた後、7月に「年央試算」を発表し、消費も回復、設備投資も順調で内需中心の成長になるという解説をつけて平成6年度は0.9%の実質成長率になると見直しをしました。

数字で見れば、5年度の成長率が1.0%に落ちることと、6年度は輸出の寄与が減り内需中心になることから来る変化のようです。

しかしこれでは当初の成長見通しは何だったのかという感じで、当初の見通しは「望ましい」数字、政府期待の数字を書くという事で、裏付けはない「見通し」を載せる癖が残っているのかなどと思っていました。

所がさらにその後、10月に、政府は、令和6年の実質経済成長率は0.7%になるという発表をしました、原因は、自動車の認証不正問題で、自動車の輸出の減少が原因だという説明でした。

そんなに大きな影響がある問題を、起きてしまったのだからしょうがないで済ますのかと思っていました、そして今回は、更なる成長率低下という見直しで、0.7%はおろか0.4%に低落という発表です。

今回の発表は閣議了承の「政府経済見通し」の「令和7年版」の令和6年の「実績見込み」の中に出てくる数字です。

ですから令和6年度についての説明は簡単で「令和6年度は、賃上げと投資が牽引する内需中心型の成長経済」に移行出来るかどうかの分岐点で、政府は補正予算の迅速な執行でその効果の波及に努力というにとどまっています。

令和7年度については、総合経済対策の効果も出て、賃金上昇が物価上昇を上回り、企業の設備投資も堅調で、実質経済成長率は1.2%に達すると見込まれるという事になっています。

昨年も同じようなことが書いてあったような記憶もありますが、来年度になれば、急に総てが上手くいくと言われても、とても信用できないと感じる人の方が多いでしょう。

毎年「政府経済見通し」が発表されれば、取り上げますが、こうした状況では、真面目に取り上げずに、今回はこのブログで済ませたいと思います。(因みに今回の「見通し」の実質成長率は、5年度0.7%、6年度0.4%、7年度1.2%です)

米価や春闘の問題を確り見ていくことの方が重要だと思っています。


お米の値上がり60%と農林中金の巨額損失

2024年12月25日 15時06分22秒 | 経済

このブログでは、毎月、総務省から「消費者物価指数」の統計が発表になるたびに、その動きを分析して来ています。

物価の動向は、日銀の金利政策の決定にも大きな影響がありますし、最も重要なのは、日々の国民生活における実質賃金の行方を決めることにもなり、当然春闘の賃上げ率との関係も国民の重要な注目点という事になります。

この消費者物価は基本的な動きとしては昨年来次第に沈静化に向かい、日銀も金融正常化(金利引き上げ)にも動いたところです。

ところで、皆様ご承知のように、この秋にかけてお米の値段が急に上がり始めました。最初は流通段階で何か不具合があって、値上がりしたが新米が出回るようになれば値下がりすると言われました。

一時的なものなら直ぐに収まると安心していましたが、新米が出回っても価格は全然下がらず、それどころか、総務省によれば「うるち米」の価格は更に上がって10月には前年比60.3%、11月には64.7%の上昇です。作柄は平年並みとニュースでは言っています。

物価の優等生と言われた「卵」が値上がりした時には、「鳥インフル」で膨大な数の鶏が殺処分になった結果といった理由の説明もあり、消費者もテレビで可哀そうで勿体ない殺処分のニュースを見ていますから納得だったでしょう。

ところが今回のお米の値上がりについては、何故か良く解らないというのが現状ではないでしょうか。

勿論農家の数が減り、高齢化が進み農家は大変だという事は食料安保問題などとの関連で理解されています。一方、政府の政策は相変わらず減反維持で、世界で日本のお米が人気だとか、お米の輸出が増えているとか、インバウンドが増えてお米を食べているとか、農業の法人化、大規模化が進んでいないなどは皆知っています。それは環境変化に即応していない政府の政策の失敗でしょうが、この秋から急にお米が60%以上の値上がりという説明にはならないでしょう。

一方、最近問題になっているのが農林中金の巨額損失です。

この問題が、今回のお米の値上がりに関係があるのかどうかは、全く解りません。日本人の主食のお米の60%を超える急激な値上がりにつての政府の説明も農水省の説明もないのですから、不用意な発言は厳禁でしょう。

農林中金は、全国の農協、今はJAですが、その金融業務の中央組織です。主要業務は全国のJAから資金を預かり 、それを運用して全国のJAに収益を還元することです。運用資産は56兆円(今年3月)で年間3000億円ほどを全国のJAに還元しているとのことです(NHK資料)。

その農林中金が今期、アメリカ債券の投資などで1兆5千億円規模の損失予想を発表し、JAの出資などで1兆3千億円の資本増強の意向という事です。

こうした問題は、お米の値段には関係ないので、お米の値段は早晩下がりますという事になってほしいとこのブログは思っています。