司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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財産分与の家事審判において,分与対象外の建物の明渡命令が可能

2020-08-12 08:29:40 | 家事事件(成年後見等)
最高裁令和2年8月6日第1小法廷決定
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89622

【判示事項】
 財産分与の審判において,一方当事者の所有名義の不動産で他方当事者が占有するものにつき,他方当事者に分与しない判断をした場合,その判断に沿った権利関係を実現するため必要と認めるときは,家事事件手続法154条2項4号に基づき,その明渡しを命ずることができる

「財産分与の審判において,家庭裁判所は,当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して,分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定めることとされている(民法768条3項)。もっとも,財産分与の審判がこれらの事項を定めるものにとどまるとすると,当事者は,財産分与の審判の内容に沿った権利関係を実現するため,審判後に改めて給付を求める訴えを提起する等の手続をとらなければならないこととなる。そこで,家事事件手続法154条2項4号は,このような迂遠な手続を避け,財産分与の審判を実効的なものとする趣旨から,家庭裁判所は,財産分与の審判において,当事者に対し,上記権利関係を実現するために必要な給付を命ずることができることとしたものと解される。そして,同号は,財産分与の審判の内容と当該審判において命ずることができる給付との関係について特段の限定をしていないところ,家庭裁判所は,財産分与の審判において,当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の財産につき,他方当事者に分与する場合はもとより,分与しないものと判断した場合であっても,その判断に沿った権利関係を実現するため,必要な給付を命ずることができると解することが上記の趣旨にかなうというべきである。」

cf. 日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62523460R10C20A8CR8000/
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