司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

公証人法施行規則の一部を改正する省令案

2024-08-06 21:18:09 | いろいろ
公証人法施行規則の一部を改正する省令案に関する意見募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300240806&Mode=0

 公証人の手数料等について,「役場のウェブサイトに掲載して公衆の閲覧に供しなければならない」(規則第10条関係)とする等の改正である。

 思ったよりも軽微な改正である。

 意見募集は,令和6年9月10日(火)まで。
コメント

孫への遺贈は,相続登記の申請義務化の対象になり得るのか

2024-08-06 20:17:57 | 民法改正
 相続対策として,祖父又は祖母から孫への一代飛ばしの遺贈を内容とする遺言がされることがあるであろう。

 遺言者A,Aの子B,Bの子Cという関係において,AがCに不動産を遺贈する旨の遺言をしたところ,Bが死亡し,その後にAが死亡したという場合には,Aの相続において,CはAの代襲相続人であることから,Cは遺贈の登記の申請義務を負う(不動産登記法第76条の2第1項後段)し,Cは,単独で登記の申請をすることができる(不動産登記法第63条第3項)。

 しかし,Aが死亡した時点でBが健在であれば,CはAの相続人ではないことから,Cは遺贈の登記の申請義務を負わないし,Cは,単独で登記の申請をすることができない。Cは,遺言執行者又はAの共同相続人全員を登記義務者として共同申請をすることになる。

 ところで,Aが死亡し,遺贈の登記を申請する前に,Bが死亡した場合はどうか。

 Aの遺言がなければ,Cは数次相続によって後発的に「相続により所有権を取得した者」として相続登記の申請義務を負う(不動産登記法第76条の2第1項前段)ものであるところ,自らに対する「遺贈」がある場合には申請義務を免れるのは背理であるように思われる。

 確かに,遺贈は,意思表示に基づく物権変動であり,「相続を契機とする承継よりも売買等による承継に近い面がある」(村松秀樹ほか「Q&A令和3年改正民法・改正不登法・相続土地国庫帰属法」(金融財政事情研究会)265頁)ことは否定できないが,孫への遺贈は,主に相続対策としてされるものであり,「相続を契機とする承継」と限りなく同視できるものである。

 事後的に相続人たる地位を取得することとなった者(例えば,先順位の相続人の放棄により相続人となった者や,代襲により相続人となった者)に対する遺贈についても,申請義務が及び,単独申請が可能であると解されている(後掲中間試案の補足説明184頁)ことからすれば,Aが死亡し,遺贈の登記を申請する前に,Bが死亡した場合についても,Cは後発的に相続人たる地位を承継しているのであるから,同様に解するのが合理的ではないだろうか。

 また,「相続人以外の第三者が受遺者である遺贈については,登記原因証明情報として遺言書等が提供されることは同様であるが,被相続人の財産であった不動産の所有権の移転の登記が相続人の関与なくされることを認めると,相続人が受遺者である遺贈のケースとは異なり,遺贈の真正性に疑義のある事案が生じてしまう懸念も払拭することができないとの指摘があることから,その対象外とする」(後掲中間試案の補足説明184頁)と考えられている点についても,孫Cに対する遺贈であり,Cが後発的に相続人たる地位を承継している場合においては,相続人が受遺者である遺贈のケースとほぼ同視することができ,遺贈の真正性に疑義のある事案はほぼ生じないであろう。

 したがって,遺言者Aが死亡し,受遺者である孫C(Aの子であるBの子)が遺贈の登記を申請する前に,Bが死亡した場合についても,Cは後発的に相続人たる地位を承継しているのであるから,Cに遺贈の登記の申請義務が及び,またCの単独申請が可能であると解すべきである。

cf. 民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案の補足説明
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00007.html
コメント (3)

住所から地番を検索

2024-08-06 16:45:33 | 不動産登記法その他
フリー版不動産チェッカー
https://bot.torus.co.jp/free

 民間事業者のものであるが,地図上にピンポイントにチェックを入れるだけで,又は「住所」で検索するだけで,目的物件の「地番」が表示される便利な機能である。住居表示が実施されている地域では,特に役立つであろう。
コメント

令和2年民法改正後の「特別養子縁組申立時点の児童の年齢内訳」等

2024-08-06 14:15:39 | 民法改正
特別養子縁組推進のための環境整備に関する調査研究報告書 by 令和4(2022)年度 厚生労働省子ども家庭局 子ども・子育て支援推進調査研究事業
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/cd892ed4-1ec9-4b60-aa2c-ec45d3967729/90e75924/20231023_policies_kosodateshien_chousa_suishinchosa_r04-01_h19.pdf

「本調査研究では、特別養子縁組推進のための環境整備に資することを目的として、まず先行研究をもとに特別養子縁組の相談支援から縁組成立後支援までの一連のプロセスや体制整備に関する課題を全体的に調査・把握した。その上で、児童相談所・民間あっせん機関の取り組み実態と課題を明らかにするとともに、養子縁組当事者の支援ニーズ等を調査・分析した。」

 令和2年民法改正後の状況に関して,52頁にある「特別養子縁組申立時点の児童の年齢内訳及び申立後の成立状況の内訳」が興味深い。
コメント

不動産の自治体への遺贈

2024-08-06 14:08:18 | 不動産登記法その他
兵庫県宝塚市“阪神間モダニズム邸宅”の「旧安田邸」を残す取組み
https://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_01338/

「地方自治法は自治体が所有する公有財産を行政財産、普通財産に分けており、旧安田邸は普通財産。行政財産には庁舎や消防施設のように市が直接使用する公用財産、市民が利用する学校、図書館などの公共用財産があり、これらには自治体はお金を出して維持管理をする。
 ところが普通財産は主に経済的価値を発揮するため、つまり市の財政に寄与すべきものであり、管理処分はされてもそこに公費が使われることはない。維持管理してもらいたいなら公共用財産などとして使ってもらえるような形でなければ難しいのかもしれない。
 過去に市に寄贈され、展示施設、学習施設などとして使われている建物は行政財産となっていることを考えると、最初の受遺の時点が悔やまれるというものである。」(上掲記事)

 市民が不動産の遺贈の意向を示しても,自治体からは,清算の上,金銭での遺贈を希望されるが,こういうことである。
コメント