司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会に対する報告拒否が不法行為にあたるか

2013-07-29 14:19:54 | 民事訴訟等
名古屋地裁平成25年2月8日判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83427&hanreiKbn=04

弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会を申し出た弁護士が,被照会団体に対し,同団体が報告を拒絶したことが同弁護士に対する不法行為に当たるとして,損害賠償を求めた事案において,具体的な事実関係を考慮した上で,不法行為法上の違法性を否定し,請求を棄却した事例

「弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会の制度は,弁護士の使命(同法1条1項)を踏まえて設けられた公的性格を有する公的な制度であり,相手方を公務所又は公私の団体に限定し,かつ,報告の請求の主体を個々の弁護士ではなく弁護士会とするなど,適切な運用を図るための手続が設けられていることなどからすれば,被照会者は,同法に基づき,弁護士会に対して照会に対する報告をすべき法的義務を負うものと解すべきである」

「弁護士法上の報告義務があり,これに違反して,照会に対する報告をしなかったとしても,直ちにこれが不法行為法上違法であると評価されることにはならない。しかし,弁護士会照会は,依頼者から事件を受任した弁護士の申出により行われるものであり,上記した弁護士の営業上の利益に関係することからすれば,一切,不法行為法上違法となる余地がないとするのも相当でなく,被侵害利益の要保護性,被侵害利益の侵害の程度やその態様,被告の負担や報告によって予想される不利益の程度等の事情のいかんによっては,被照会者が,不法行為法上も報告義務を負い,これに反して報告をしないことが,権利や法律上保護される利益を侵害するものとして違法と評価される場合もある」


 一般的に報告義務があるとした上で,不法行為法上は違法でない場合がある,という論理である。当事者間の利益衡量の問題としているわけであるが,すっきりしない感である。
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新株予約権を発行している株式会社が破産手続開始決定を受けた場合の取扱い

2013-07-29 13:07:56 | 会社法(改正商法等)
 新株予約権を発行している株式会社が破産手続開始決定を受けた場合の取扱いは,如何?

 新株予約権の法的性質は,形成権であるが,権利の行使に当たって,対価の交付を伴うことから,双務契約であると解すべきであろう。

 すなわち,新株予約権を発行している株式会社が破産手続開始決定を受けた場合,破産手続開始時点において未行使の新株予約権については,双方未履行の双務契約関係であると解される。

 したがって,破産法第53条第1項の適用があるということになろう。

破産法
 (双務契約)
第53条 双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、破産管財人は,契約の解除をし,又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。
2・3 【略】

 本件の場合,破産管財人は,新株予約権者から任意の放棄を受けるか,破産法第53条第1項の規定に基づいて解除をすることとなり,これによって新株予約権は,消滅する(会社法第287条)。

 さて,会社法の規定により登記した事項に変更が生じ,又はその事項が消滅したときは,株式会社は,遅滞なく,変更の登記又は消滅の登記をしなければならない(会社法第909条)。

 破産手続開始決定を受けた株式会社に関しては,一定の事項については,裁判所書記官の嘱託によって登記がされるが,その余の事項については,破産管財人等からの申請によって登記がされる。

 本件の場合においては,「その余の事項」として,株式会社が変更の登記申請を行うべきであるが,果たして登記申請についての代表権限を有するのは誰か?

 「会社につき破産手続開始の決定がされても直ちには会社と取締役又は監査役との委任関係は終了するものではないから,破産手続開始当時の取締役らは,破産手続開始によりその地位を当然には失わず,会社組織に係る行為等については取締役らとしての権限を行使し得ると解するのが相当である(最高裁平成12年(受)第56号同16年6月10日第一小法廷判決・民集58巻5号1178頁参照)。」と解されているので,迷うところであるが・・。

 新株予約権が消滅した後に,事実行為として登記申請を行うだけと考えれば,代表取締役が登記申請をすることができると解することもできそうであるが,新株予約権の消滅に係る行為を破産管財人が行っていることから,やはり破産管財人が登記申請についての代表権限を有すると考えるべきなのであろう。

 なお,添付書面は,「要しない」取扱いである。
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寺社が写真掲載を許可する際の寄附金収入は,収益事業で課税?

2013-07-29 11:12:15 | 法人制度
朝日新聞記事
http://www.asahi.com/business/update/0728/OSK201307270183.html

 金閣寺,銀閣寺と大阪国税局がもめているそうだ。

 課税されたくないのはわかるが,常識的感覚としては,収益事業であろう。
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消費者契約法の改正に向けた論点整理

2013-07-29 10:09:29 | 消費者問題
日経記事(有料会員限定)
http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDZO57830420X20C13A7TCJ000

 内閣府消費者委員会が消費者契約法の改正に向けた論点整理案をまとめたそうだ。

cf. 「消費者契約法に関する調査作業チーム報告書」概要
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2013/126/shiryou/index.html


 シンポの資料には,司法書士山田茂樹さんのレジュメも(得意のイラスト入り)。
http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/other/meeting1/doc/0720_shiryou2.pdf
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