Altered Notes

Something New.

「ワイプ」という誤解

2018-03-02 20:42:05 | 放送
テレビ番組でしばしば「ワイプ」という言葉を聞く。しかし本来の意味とは異なる意味で使われる場合が多い。
特にバラエティ番組等で使われる「ワイプ」という言葉は画面の端に小さい窓のような小画面が出て、そこに出演者の顔が映し出される形を指すことがほとんどである。つまり、テレビ画面上のどこかに出演者の顔が小さく映る小窓のことをワイプと定義している。もちろんこれは間違いである。テレビ屋にありがちな間違った言葉の垂れ流しだ。

そもそも「ワイプ」とは「拭う」という意味であり、雨の日に自動車のフロントウィンドウについた水滴を拭ってくれるのがワイパーであることを考えても判るだろう。だとしたらTV画面上の小窓映像を指してワイプと呼称するのはおかしい事になる。

元々テレビジョンの世界で「ワイプ」と言えば、文字通り「画面を拭うように画面を切り替える技法」のことを言う。前画面から次画面に切り替える時に画面を拭うように切り替えていくからそのように呼ばれるのだ。技法の詳細はこちらを参照されたい。

で、バラエティ番組で盛んに「ワイプ」と言っているのは、上記のワイプ技法の中で丸型ワイプや角型ワイプで正に次画面に向かって拭い始めた段階で止めた映像を言っている。
拭い始めだから丸型ワイプなら円形の小窓が映ることになる。次画面として用意された映像が出演者の顔のアップだからあのように小窓の中に顔が映っている状態になるのである。

テレビ屋は次々に言葉の意味を変形し破壊してゆく。全て自分たちに都合の良いように変えていくのだ。それで誤解が広まったり混乱が起きても知らんぷりだ。それはあたかも自分たちテレビ屋が世の中をリードしているかのような間違った思い込みを前提としているのは間違いないだろう。少しでも謙虚な気持ちを持っているなら言葉に対してこれほどまでに無神経になれない、なれる筈がないのである。

思い上がったテレビ屋の腐敗しきった無神経ぶりに反吐が出る。