当該政党名をしばしば「立憲共産党」と言ってしまうほど日本共産党と親しい立憲民主党だが、それはさておき、今回の衆院選にあたって立憲民主党が出した公約の中に
「インフレ目標を0%超とする」
…云々の文言があった。これは経済音痴丸出しのと~っても恥ずかしい言い草なのである。その理由を数量政策学者の高橋洋一氏が述べているので、それを基調にして記してゆきたい。
この立憲民主党が掲げた「インフレ目標0%超」は結論から言えば「駄目」である。
なぜか。
そもそも「インフレ目標がなぜ2%になっているか」ということ自体が全然理解できていないからである。
これは「フィリップス関係」と言って、通常は世界のどこの国でも「インフレ率と失業率との関係」が結構安定的なのである。
日本の場合はどうか。
1980年~2023年の日本の状況(インフレ率と失業率の関係)をざっくりとだがグラフでしますと次の通りとなる。
(画像をクリックすると大きな画像が表示されます)
図中でどのあたりが中間かと言うと、だいたい赤線が引かれたところになる。これで分かる通り、
「インフレ率が低いと失業率が上がってしまう」
のである。逆に…
「インフレ率が高くなると失業率は下がる」のだが、「上げすぎても意味が無く横ばいになる」のだ。おおよそ2~3%から先が横ばいになっているのが判るだろう。
従って、このグラフから導かれる結論として、
「インフレ率をだいたい2%くらい(実質的に2~4%)に保っていくと失業率が最も低くなる」
のである。そして、それ以上にインフレ率を上げても失業率はあまり下がらないのだ。
このような傾向があるので、「インフレ率は2~4%ぐらいの間にしておく」のである。
以前から「インフレ目標は2%」と言われているが、「2%を超えたらすぐに引き締める」のは「間違い」である。
2~4%くらいの間は放っておくのだ。それで「失業率が最も低くなるのを待つ」・・・これである。
このような事が「政策」なのである。
さて、立憲民主党が言う「0%以上」だが、グラフで見ると分かる通り、「0%になったら失業率が凄く高くなる」のだ。現在よりも2%近く失業率が高くなる。職が得られない人が120万人くらい出るのだ。「それだけ多くの人を失職させていいのか立憲民主党?」…という話なのである。
政府の経済政策の最大の目標というのは、まず「職を作る事」なのである。最低限これをやらないといけない。「職を作る」事ができて、それで「給料が高ければ非常に良い」・・・そういうことなのだ。
「職を作る事」をまず最初にやるのだが、そのためには「最も低い失業率を狙う」ということだ。「最も低い失業率を狙う為にインフレ目標がある」のである。立憲民主党はここが理解できていないのだ。
立憲民主党は「労働者の為の政党」である筈、だ。それを前提にすると今回の公約は全然駄目である。つまりやっていること、やろうとしている事が「労働者の事を全然考えていない」からだ。だから悪夢の民主党政権だった頃には滅茶苦茶な政治で国内・国民を混乱させたのだし、その後の安倍政権にお株を奪われてしまったのである。
高橋氏は当時の安倍総理に対してこう言った。
「金融政策は雇用対策なので左派政策なんですけど、安倍さん、こういうのでよろしいですか?」
と言ったら、安倍総理は一言、「いいよ」。・・・簡単だったのである。そして、アベノミクスの効果で実際に失業率は劇的に下がったのであり、それは連合の会長が安倍氏に御礼を言ったほどだったのである。民主党政権ではこうした対策を一切やらなかった。どうしてか?民主党が経済・金融に無知だからである。
繰り返すが、アベノミクスの成果は雇用であり、雇用をとても多く作ったのである。日本のマスコミは左翼なのでこうした報道はしなかったが、ここに記した事が真実である。
実は話は簡単なのだ。「金融政策でこうやって緩和する」・・・緩和すると「緩和はけしからん!」と言ってくる人は居る。だが、「雇用を作るための緩和」なのである。「雇用政策なのですが、何か?」・・・という事だ。大いに良いことなのである。金融機関の立場に経っている訳でもない。
このような話・知識を立憲民主党の政治家はもう少し勉強すべきなのである。これは本当にマジでそうなのだ。
実は昔の民主党でこれが出来そうな時もあったのだが、民主党は自らそのチャンスを潰してしまったのである。
どういうことか?
当時の連合の会長だった古賀さんが高橋氏に接触してきたことがある。古賀氏は以前から高橋氏が言っていた「”金融で雇用政策が作れる”というのは本当ですか?」と尋ねてきたことがあったのだ。それで高橋氏は上述したような内容を話して聞かせたところ、「えー!」と言って驚いた。それを見て高橋氏は「民主党のバックに居る連合が変わるのかな?」と思ったそうだ。連合の会長がわざわざ高橋氏の話を聞きに来て、真実を知って大層喫驚していたのである。「今後、連合が変わっていくかも」と想像して当然だろう。
ところが、である。
ある時から古賀氏からの連絡はピタッと来なくなったのだ。恐らく財務省関係者に嘘を吹き込まれた結果として、正論が悪論で上書きされてしまったのであろう、と推測されるところだ。これは残念なことである。
民主党の中にも高橋氏が言った内容を理解している人は数人居た。なので、もしも民主党政権時にこの政策をやっていれば民主党政権がもっと長続きしてアベノミクスは生まれなかったかもしれないのである。それほど大きな失敗をやらかしたのだ、連合と民主党は。阿呆である。
で、話を戻すが、安倍政権で高橋氏は安倍総理に「民主党はやらなかったです」と述べたところ、安倍氏は「それだったらすぐやるよ」と快諾したのだった。(笑)実に分かりやすいのだ。
結局のところ、「雇用の問題」なので、国民から見れば民主党も自民党も関係ないのだ。高橋氏は「経済政策なので、ちょっと思想的に違います」と言ったのだが、安倍総理は全然気にしなかったのである。当然だ。雇用がしっかり作れれば民主党だろうが自民党だろうがどうでもいいのである。
立憲民主党はこうしたところが全然理解できていないのである。全然無知無知かたつむり、だ。
上述したような「フィリップス関係」「フィリップス曲線」といった知識をその政党のトップが理解しているかいないかが分水嶺になる、ということだ。せっかく連合のトップが勉強して理解していたのに、民主党はそれを受け入れなかったのである。だから悪夢の民主党政権では失業率が高くなってしまったのである。阿呆だ。
そして、今現在も立憲民主党はこの知識を持っていないし、前述の通り受け入れていない。だから「インフレ目標0%以上」などととんでもない事を平気で言えるのだ。(蔑笑)立憲民主党には進歩がない、と言えよう。結局「アベノミクス憎し」の「感情」しかないのだろう。だから基本的知識を学ぼうという姿勢すら無いのだ。その結果が「0%云々」である。阿呆の極み、である。
現在の自公政権がやっていることだって、「インフレ率2%」だと言っているが、これを「2%じゃなくて、2~4%ですよ」と言えるなら、これは進歩と言えるのだ。しかし、そこができないのが今の自公政権だ。
高橋氏の主張は上記で縷縷述べてきたデータに基づいた話をしているだけ、なのである。立憲民主党のようにこれが理解できない、というのは、知識を得ようとする意欲以前に、「アベノミクス憎し」の感情に心と頭が支配されてしまって理性が飛んでいってしまったからであろう。哀れなものである。
繰り返すが、高橋氏は誰でも見ることが出来る統計データを基にして言っている・・・それだけなのである。ちなみに世界の度の国でもだいたい同じである。フィリップス曲線が描くカーブはどこの国でも似ているのだ。このカーブが上に行くか下に行くかの違いは国によって異なる。インフレ目標はみんな2~4%くらいであり、これはかなり似ているのである。但し、最低の失業率は国によって違っていて多少の上下はある、ということだ。それでも先進国の場合はみんなカーブの曲がり具合は似ている。だからインフレ目標はどこも2%付近になるのであり、最低の失業率を目指したい、という政策の現れ、なのである。
繰り返すが、立憲民主党は「インフレ目標」というものをちゃんと(謙虚に冷静に)勉強した方が良いだろう。
もっと言うなら、勉強できてないのは立憲民主党だけではない。「マスコミも出来ていない」のだ。勉強していない無知同士なので立憲民主党とマスコミは仲が良いのかもしれないが…。(蔑笑)実際、マスコミで上記のような解説を聞いた人はいないだろう。ここで述べた内容は大学の経済学部生の3~4年レベルの話である。だから、立憲民主党もマスコミも全然無知無知かたつ…これはもういいか。(笑)
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