まず、こちらの記事を提示する。↓
今井尚哉元首相補佐官の意外な証言 「最大の仕事は、反大蔵省軍団との対決でした」
産経新聞の記事だが、元記事は月刊中央公論3月号である。この記事について数量政策学者の高橋洋一氏がXにポストしている内容や、他のメディアで語られた内容を総合して記してゆく。
上記記事の中では、まず今井氏の凶悪な目つき顔つきが印象的(*1) だが、それと共に「私の役目は反大蔵省(財務省)軍団との対決だった」という述懐は噴飯ものと言えよう。
なぜか。
「高齢化が進行する中、消費税増税は絶対に必要」と今井氏は述べているが、実はこの考え方は根本から間違っているのだ。「前提から間違い」と言ってもいい。財務省のロジックに完全に染まっている。その理由は今井氏がこの分野についてド素人だからである。高橋氏が言うには「彼がド文系(今井氏は東大法学部卒)故」であり、文系人間の限界がここに露呈しているからである。
その訳は、世界で「消費税で社会保障を賄う国は(日本以外では)皆無である」という事実を無視していること。なぜなら社会保障は社会保険料による保険原理で成立しているのであり、消費税という税金そのものがこれにそぐわないからである。(*2) また、本来は財務省ではなく「歳入庁」を創設して最終的に国民の合意を得てから対処すべきものであるからである。これだけで今井氏の主張が誤りであることが判るのだが、このような人はこの「ちぐはぐ加減」に気が付かない阿呆、ということだ。まさに「東大阿呆(法)学部」の面目躍如といったところか。(蔑笑)だが、これは今井氏だけではなく、多くの識者と言われる人々が陥る典型的な間違いなのである。高橋氏はXポストの中で「こんなド素人では安倍さんも大変だったろう」と記している。安倍元総理は「消費税増税に反対」の立場だったが、今井氏のような”財務真理教”狂信者たちに押し切られて消費税増税をせざるを得なかった、という過去がある。多くの人が誤解しているが、総理大臣というのは絶対権力者ではない。あちこちのコンセンサスを得なければ自分が考える政策を実現できないのである。そこでの官僚、なかんずく財務官僚の押し付けの強さは半端ないものがあるのだ。これは一般の人がなかなか知り得ない部分である。
こうした実態がある事で、「今井氏はド素人」と断言出来るのである。
上記の中央公論記事中で今井氏は次のように語っている。
「公務員にとってのエクスタシーは、自分が世の中を動かしているという実感なんですよ」
「高齢化が進行する中、消費税増税は絶対に必要です」
「官僚の喜びは新しい社会のルールを作ること、つまり立法なんです」
高橋氏はこの「エクスタシー」という言葉を読んで、同じ公務員だった立場として「とても恥ずかしい」と述べている。そりゃそうだろう。「エクスタシー」…つまり「恍惚状態」である。読んでいても恥ずかしくなるような気色悪いワードセンスだ。こんなことを平気で言える神経が分からない。とんでもない思い上がりをしていることに今井氏本人が全然気がついていない上に、言っている事がどこか幼稚であるのは人として致命的であり、こんな連中が官僚をやっていたことに恐怖すら感じるところである。公務員・官僚はそもそも「事務方」と呼ばれるように、決められた仕事を淡々と着々と進めるだけ、である筈だ。…にも関わらず、「自分が世の中を動かす」というのは、あたかも「官僚は神のような存在」と本気で思い込んでいるのであろう。事務方が日本を動かす?・・・臍が茶を沸かすレベルの戯言だ。「不遜にもほどがある」暴言であろう。「新しい社会のルールを作る、つまり立法」をやるのはそもそも国会議員の仕事である。「ルールをつくる人は国会議員」であり「官僚はルールを執行する人」に過ぎないのである。その意味では今井氏は盛大に勘違い&思い上がりをしているのであり、国会議員を無視・軽視している、ということだ。官僚が立法するのなら。お前が国会議員をやれ、ということになる。今井氏の考えに立てば国会議員などそもそも不要、となるだろう。議員は官僚にとってパシリな存在でしかない、と今井氏は本気で思っているのだろう。このような発言で明確に判ることだが、今井氏は根本から間違っているし、「超絶的万能感に満ちている」様がありありと判る。驚くほど、とんでもない思い上がりの境地に達してしまっている阿呆の極み、と言えよう。悪口ではない、厳然たる事実だ。だが、この「超絶的な上から目線」こそが、むしろ今井氏という人間がド素人レベルであることを示している。ある種の中二病とも言えるだろう。滑稽である。(*3)
また、上述したように、「高齢化が進行する中、消費税増税は絶対に必要です」というコメントは世の中の数多の識者も間違うポイントである。この問題はシンプルだ。世界という観点で見れば、高齢化が進展すると社会保障費が増えるのは確かである。その社会保障費は何で賄うのだろうか?・・・社会保険料である。消費税は関係ないのだ。世界のどこの国も社会保険料で賄っているのである。保険原理で成り立つシステムなのだから社会保険料を充当するのが当然の当たり前のあったぼうな答えなのだ。ところが、だ。日本だけはこの財源に消費税を当てているのだが、これは大きな間違いである。
なぜ社会保険料なのか?…前述のように「保険だから」である。保険であることを考えれば社会保険給付と保険料がリンクするのである。100%保険料にするところがポイントである。ここでリンクするからこそ給付のレベルも自ずと決まってくるのである。ところが、日本の場合はその間に消費税が入ってくるので訳が分からなくなって混乱するのだ。社会保障給付が過大になった、と。すると、過大になるとそこに消費税をかけていく…というのは明確に間違いなのだ。これを高橋氏はかなり昔から言い続けているのに、今井氏は全く理解できず、それ以前にこういう事自体を知らないまま平気で「高齢化で消費税です」と言ってしまうのである。実に恥ずかしい無知さ加減だが、これだけで「お里が知れる」というものである。(蔑笑)
この「高齢化で消費税」と言う識者は日本でかなり多い・・・だが、その全部が「素人」なのである…と言い切れるのだ。
また、今井氏はこうも語っている。↓
「正直に言うと私の最大の仕事は、反大蔵省軍団との対決でした」
「財政規律やプライマリーバランスを無視した主張をする人々、具体的には内閣官房参与の本田悦朗さんや、菅内閣で内閣官房参与になる高橋洋一さんといった面々に、安倍さんが引きずられないようにする。それが私の役目でした」
「菅義偉官房長官には「増税して選挙に勝てるか」と何度も怒られましたが、安倍さんが本田さんや高橋さん、党内で言えば西田昌司さんや高市早苗さんと同様の考えであれば、私ではなく菅さんに乗った筈です」
「私の行動は彼らをにこやかに遠ざける、ある種の反政府行為だったかもしれません(笑)」
↑こうである。失笑を禁じ得ない。
「高橋洋一さんに引きずられないように~」云々の部分は噴飯ものであると同時に名誉毀損に近い物言いでもある。高橋氏は今井氏と話をしたことも無かったにも関わらず、こんな言い方を今井氏はするのである。自慢したくてついつい話しを盛ってしまうみっともない素人さん、と言えよう。その理由は、今井氏に基礎知識が無いからである。高橋氏は第一次政権の時に既に今井氏を見切っていたので相手にもしなかったのだ。「何も知らない人なんだな」と。だから会話もしなかったのである。
「菅義偉官房長官には「増税して選挙に勝てるか」と何度も怒られましたが、安倍さんが本田さんや高橋さん、党内で言えば西田昌司さんや高市早苗さんと同様の考えであれば、私ではなく菅さんに乗った筈です」と、「私の行動は彼らをにこやかに遠ざける、ある種の反政府行為だったかもしれません(笑)」の部分についても喫驚する言葉を今井氏は発している。「反政府行為」だと自分で言っているのだ。安倍総理が増税したのは、その前の民主党政権で決定されていた事なので、これをひっくり返すのはすくぶる大変なことなのである。高橋氏も色々言ったのだが、前政権で決まっていて安倍総理がそれをひっくり返すには強大な力が必要になる。すると安倍政権が潰れる可能性が出てくるのだ。それを安倍氏から聞いたから高橋氏は「そういうことならしょうがないですね」と言って降りただけ、である。
今井氏の発言では「プライマリーバランスを無視した主張をする人々」の中で高橋氏の名前が出てくるが、ここで今井氏の完璧な無知が露呈されている。高橋氏は「PB(プライマリーバランス)を無視した主張をしたことは1回もない」と明言している。高橋氏が言ったのは、「政府の一部門、はっきり言えば狭い政府…そこだけでPBを考えているのが間違いです」ということだ。「統合政府」という言い方をするのだが、「関連会社を含めたそういうところでPBをきちんと計算して下さい」と言っただけなのである。それは高橋氏が20年以上前から主張していることで、一部門だけでPBを見たら分からないのである。「多少は赤字でも広い部門で捉えると黒字ですから」と高橋氏は言っていたのだ。それを「一部門だけ取り上げて”赤字だ!”というのはおかしいですよ」、と言っただけなのである。「PB計算の対象が間違っています」と言っただけなのだ。
なので、今井氏が自分に都合が良いように嘘を盛り込んで発言していることがよく分かるだろう。前述のように、高橋氏が言っていたのは、「政府が計算するPBは一部門だけで全体が正しく計算されていない」ということだ。その数式は下記に示すようなものである。
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高橋氏が言うには、今井氏は「ド文系で素人なので理解できないのか」、だそうだ。だから「今井が絶対に理解できないことを書いてやった」、と。(笑)色々と文句をいってくる人は居るのだが、上記の数式に反論を言ってきた人は皆無だそうだ。(笑)「どうしても反論した人が居るなら数学で持ってこい」、と高橋氏は言う。要はきっちりと根拠を示して高橋氏は言っている、ということだ。
繰り返すが、今井氏は「高橋氏がPBを無視してる」と思い込んでいたのだが、政府が計算しているPBが一部分だけしか対象にしていなかったので、「それは違う」、と正論を言っていただけなのである。それがド文系の今井氏には理解できなかったのだ。「こいつ、ずーっと分からなかった」「上記の数式を示しても(今井氏は)全然理解できなかった」、と高橋氏。だから、今井氏も高橋氏も同じ内閣の「中の人」であったにも関わらず、第二次政権の時には、今井氏は高橋氏には絶対に近寄らなかったのである。会話しても論破される(自分からは手も足も出ない)ことを予測していたのだろう。(蔑笑)高橋氏も今井氏には一切コンタクトしなかった…当然だが。必要な時は安倍総理から直接高橋氏にコンタクトしてくるので今井氏を絡ませる必要も無かったのだ。
またネット番組の中でもこの問題が議論されたのだが、その中でジャーナリストの門田隆将氏は、今井氏が「親中派」でもあった、と述べている。いかにも日本を貶める財務省の方向性と軌を一にする事実である。
高橋氏は今井氏が上で述べてきたような凶悪な人物であることを熟知していたので、第二次安倍政権に於いて高橋氏は今井氏と一切話しをしていないそうだ。議員にしろ官僚にしろ、安倍総理とのアポを取る為にみんなが今井氏にすり寄っていく実態があった。今井氏を通さなければ安倍総理には会えなかったのである。そうした中で今井氏は思い上がって図に乗ってしまったのだろう。愚かな人間である。
今井氏は経済産業省出身の官僚である。ただ、経産省であるにも関わらず財務省が大好きだったそうだ。また、門田氏によれば、今井氏は第一次安倍政権が終了した時に安倍氏を支えた一人でもあったということで安倍氏も今井氏を遠ざける訳にもいかなかった、という事情があるようだ。だからマスコミの記者たちも安倍総理の真意を探るために今井氏をチヤホヤしまくったのだ。これも今井氏が思い上がってしまった一因であろう。チヤホヤされる中で気に入ったメディアだけ優遇していたそうだ。こうした実態から、第二次安倍政権のガンとも呼べる存在が今井氏だった、と門田氏は言う。
そんな中、高橋洋一氏だけは今井氏を一切通さずに安倍総理とツーカーでやりとりしていた。高橋氏が安倍総理に会うのにいちいち今井氏を通す訳もないのだが、今井氏はこれにえらく憤りを感じていたようだ。(笑)もっとも、安倍総理は高橋洋一氏には絶大な信頼を置いていたので、用があれば安倍氏から高橋氏に直接連絡が来ていたのが本当のところである。
今井尚哉氏は、かつて新日鉄の社長・会長で経団連の会長、財界のドンでもあった今井敬氏の甥にあたる。経済界・財界がバックに居ると思うと、それだけでも今井氏の思い上がりは頂点に達する勢いであったろう。ただ、安倍総理に対する忠誠心は見ているこちら(門田氏ら)が恥ずかしくなるほどのものであったそうだ。忠誠心と言っても安倍総理のスケジュールから何まで全て今井氏がコントロールしようとしていた、ということでもある。そうすることで今井氏が大好きな財務省の思惑に沿うような政策に安倍氏を誘導することも目的だったのであろうことは容易に想像できる。
それにしても、だ。現在の、今のこの時期に「こんなこと言うか?」と呆れているのが高橋氏である。安倍氏が暗殺されていなくなったので言えるようになった、ということでもあろう。門田氏によれば「今井氏はマズいですよ」と安倍氏に進言する人も少なくなかったが、安倍氏も前述の経緯があるので「そうだね」と同意しつつも使い続けたそうである。
今現在、今井尚哉氏は キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 という肩書となっているが、大した影響力もないのが実情だ。なぜなら実力も何も無いから…と言うのは高橋氏である。実際、今井氏から説得力のある見解や言論が出てきたためしはない。今回の中央公論での対談記事でもつまらない自慢話が中心で、むしろみっともない印象しかない。あえて言うなら「どこに出しても恥ずかしい人」だろうか。高橋氏が言うには、キヤノングローバル戦略研究所は経団連の関連で天下り先の一つにすぎないようである。天下り先で自慢話・・・これが今井氏の「程度」だ。承認欲求は強いが中味も実力もない…そういう人物なのである。よほど褒めてもらいたいのかもしれないが、今回のインタビュー内容で褒めてくれる人など皆無だろう。アベノミクスを批判して足を引っ張っている…ということであり、本人も言っているように「反政府行為」なのである。(蔑笑)こんな内容は安倍氏が存命中だったら絶対に言えなかったことであろう。今はいないから言えるのだ。もし存命中に言っていたら「おまえ、何を言ってるんだ?」でお終い、な話である。こんなインタビュー内容を安倍氏がなくなってから言える、というのは相当な厚顔無恥と言えよう。呆れるばかり、である。
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<2025年3月12日:追記>
そもそもの話し、今井氏はなぜ「今」になってこんな話しをしているのだろうか?…これについて高橋洋一氏は次のように推察している。
安倍政権では安倍総理にべったり寄り添い、安倍氏に恭順の意を示していた(*4)にも関わらず、安倍氏が亡くなっていなくなったら、今井氏は「安倍総理は俺が操縦していた」とばかりに安倍氏を貶めているのだ。噂では安倍色を払拭して岸田氏に乗り換えている、ということだ。安倍氏に対しては極めて失礼な事である。その勢いに乗じて高橋洋一氏にまで事実と異なる名誉毀損相当な言葉を吐いているのだ。
なぜ、今井氏は「今」になってわざわざこんな話しをしているのだろうか?
あり得る推察から言うならば、現在政権末期を迎えている石破政権の「次の政権」で再び政府内で重用してもらいたくて、次の政権を担う総理大臣(*5)に向かって自分(今井氏)をアピールしているのではないか、ということだ。次期内閣が岸田氏の再登板という可能性もある。今井氏は岸田政権になるかもしれない次期政権で政府内に再び重用されて美味しい汁をたっぷり吸いたいのだろう、チューチューと。だから、あれだけ奉公した安倍総理をけちょんけちょんに貶してまで自分をアピールしているのである。・・・現在の政局も合わせて考慮すれば、今の時点で今井氏がわざわざこんな話しを世間に出す事は合点がいくのだ。
酷い男である。もっとも、今井氏のインタビューは発言内容が稚拙で失笑せざるを得ない箇所が多々ある事で、これがアピールになり得るのか?という疑問は残るのだが…。(蔑笑)
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(*1)
ルッキズム云々な話ではない。目つきや顔つきにはその人の人間性が滲み出るものだからである。
(*2)
余談だが、経済評論コメンテーターとしても知られる明治大学教授の飯田泰之氏もここが理解できていない人物である。経済が専門であるにも関わらず、高橋氏の見立てに従えば「飯田氏もド素人」ということになる。
(*3)
高橋氏は述懐する。第一次安倍政権の時に今井氏は既に政権内に秘書官として居た。その時の今井氏はおとなしい感じの人物だったそうだ。その後、安倍氏に気に入られて第二次安倍政権の時に秘書官になったのである。この第二次政権の時に「安倍総理のスケジュールを全て管理して全部仕切ってます」と言って憚らなかったそうだ。高橋氏の立場では、そんなことは全然関係ないので、いちいち今井氏を通さずに安倍氏にアポを取ることができたのだ。今井氏の管理下にはないからである。それが今井氏は気に入らなかったのだろう。子供のような悪感情を持っていたであろうことは想像に難くない。(蔑笑)だが、高橋氏はそんなに頻繁に安倍氏に電話などかけていないし、そもそも用がある時は安倍総理の方から直接高橋氏に連絡が来ていたのである。連絡が来れば「こうですよ」とアドバイスする、ということだ。
(*4)
「安倍さん命」とまで言っていたほどである。
(*5)
現時点(2025年3月12日)で次期内閣の総理大臣が誰になるかは未定である。
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