週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

アサギをよぶ声

2016年06月12日 | ☆文学のこと☆


          「アサギをよぶ声」
        著:森川成美  画:スカイエマ

  
 2巻、3巻と立て続けに読んだ。

 初巻を読んでから随分と開いてしまったが、すんなりと架空の古の世界へ飛ぶ。

 アサギはタケに競争で勝ったにも関わらず、村の掟に従い女屋へ入る。

 信頼できる戦士ハヤと訓練した弓の腕は、ここでは役に立たない。

 そんな中、サコねえが村から消えた。

 神とりにあったと人々は口にする。

 心の拠り所にしたサコねえの失踪、かつて矢羽を交換した謎の女ナータ。

 ハヤとタケの偵察。

 物語がいよいよ動きだす。

 「新たな旅立ち」から「そして時は来た」へ。

 スカイエマの絵が古の舞台を想起させる。

 半信半疑のアサギ自身の力を、あの声が、猿が、弓が導いてゆく。

 ページが進むごとに夢中になった。

 後半の展開は先が見えたが、それも気にならない。

 丹念に世界が描かれているからだろう。

 自分が生きるためとはいえ、人と人はなぜ争わなくてはならないのだ。

 根源的な人間の業を深く考え、共感した。

 ただ惜しむとしたら、ラストのあの言葉。

 作者ならではの表現で置き換えて欲しかった。

 安全と食い扶持が担保されても自由がなければ生きている価値は薄い。

 現代の私たちにも言えることを作者は問いかける。

 私たちの古かこいや柵は、自分で壊し、出ていくしか道はないのだ。

 物語の世界に浸れる。

 本を読む楽しみはこれに尽きる。

 森川さん、面白かったよ。 


【梅雨空に思いの矢を放つ時】 哲露






 かのK女史が銀座で美味い蕎麦を食べた話しをFBで書いていた。

 そしたら、松屋裏の山形田を思い出した。

 名物の蔵王冷やし地鶏そば。

 顎が痛くなるほどの噛みごたえのある手打ち、

 野性味のあるわりにさっぱりといただける地鶏。

 出汁の効いた薄口の塩味のスープは丁寧な仕込みゆえだろう。

 京橋から移って、しばらくぶりに食べた。

 たっぷりの一味をかけて、汁まで飲み干した。

 やっぱり旨い。

 夜は地酒や山菜や馬刺しなどのつまみも充実。

 またきっと来るだろうな。

 昨夜はせいのあつこさんの初出版のお祝い会があった。

 同人へ入会以来、あちらこちらで合評し、切磋琢磨した仲間のデビューは本当に嬉しい。

 何があっても書き続けてきたからこそのご褒美である。

 せいのさん、本当におめでとう。

 さて、まもなく鳥越の宮入り。

 屋台を冷やかしに出掛けるとしますかな。
  



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (せいの)
2016-06-12 22:28:29
お忙しい中、本当にありがとうございました!! 関東一本締め、かっこよかったです!!!!
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 (海光)
2016-06-13 23:44:13
せいのさま

初出版本当におめでとうございました!
ブログにまで来ていただき、コメントなんて恐縮です。一本締め、とりあえず締まりましたかね(笑)
さて、作家としての勝負はこれから。益々のご健筆、ご活躍を祈っております。

海拝
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