年末の忘年会もキャンセルし、ランニングはおろか自転車にも乗れずに過ごした
おかげで体がすっかり鈍った分、頭脳がすっきりと随分明晰になった気がする。
これも医者の言いつけ通り、我慢して禁酒したせいだろう。
お正月、大切な友人からの贈り物、40%まで磨いた大吟醸を開ける。
紫波という町の腕っききの杜氏が仕込んだ銘酒である。
昭和を思い出す大瓶のラガーで肝臓に合図を送る。
そして、おもむろに常温のまま〈月の輪〉の酒精を流し込むのだ。
甘くべたついた幼稚さは全くない。琥珀は叩き磨いた熟成の証。
香りもフルーティーはなく、東北の朴訥の洗練が鼻腔をくすぐる。
こんな格好の祝い酒はない。
カンカン!っと、栓抜きで叩き開ける快感、子供心になんと憧れたことか。
家族との他愛ない会話をツマミにする贅沢、年明けの静謐な時間が訪れる。
可愛らしい包装紙は捨てるに忍びない秀逸のイラスト。
紫波町には、あの野村胡堂が暮らしたという。
今でこそ判るが与力しか持てない十手を腰に差した岡っ引き、寛永通宝を投げる平次の正義は、祖母とのかけがえのない思い出である。
亭主が仕事に出掛ける。火打ち石を鳴らすのが夫婦愛だと気づかずに知らされていたわけだ。
旧きには学ぶこと多し。
お正月千住まで脚を伸ばすと、地元の神社で俳句大会なる看板が目に付いた。
そう、ここは芭蕉、奥の細道の出発点。
日光街道の千住宿は、旅の起点でもあり、江戸に入る旅人にとり身支度を整える町でもあったのだ。
そのまま白髭橋へ差し掛かると、石浜神社がある。剣客商売の大治郎が暮らした、真崎稲荷の地だ。
2013年事始めに七福神巡りをした。この神社も寿老人。
真摯に、やらずにはいられないものを願った。
第一京浜でオープン参加となってしまった母校の塩谷選手に声援を送る。
参考記録でも区間記録を出し、精一杯走りきることは未来への希望をつなぐのだ。
精々しい気持ちを伝えてくれた後輩たちにエールを送りたい。
あれから何度この門を潜ったのだろう。
申年のおいらの守り神が鎮座する神社は、神輿も立派だという。いつか見てみたいものだ。
仕事始めの会社員らしき人も多く見受けられた。
新年がまたぞろ動き出したのだ。
赤坂に来た時に必ずといっていいほど寄る、坦々麺の名店〈希須林〉はまだ休みだった。
期待してきた二男ががっかりしているので、新橋の四季保坊に電話した。
働き者のお母さんは、元気な声でお待ちしてます、と。
名物の麻婆麺と、坦々麺、長男はエビマヨ定食を頼む。
唐辛子や豆板醤の辛さよりも、花山椒の実が舌に痺れる快感を味わう。
お母さんが、鉄板餃子をサービスしてくれた。
新年最初の中華に、お腹も心も満腹になる。
家族と過ごす貴重な時間の合間に、〈星の王子さま〉を再読し、先輩から薦められた〈ドローセルマイアーの人形劇〉を読んだ。自分では決して手に取らない本だからこそ、発見がある。
そして、師が青春期に最も影響を受けたという〈嘔吐〉に取り掛かっている。
一つ一つ足りないものを補充している充足感がある。
心の準備は万端だ。
寒の入り、明日は七草粥を食すだろう。
2013年、微速ながら、いいスタートが切れた
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ブログを拝読して、海光さんのお子さんは、海光さんのような父親を持って、きっとグルメになるだろうな~と、思いました。
素直な、感想ですみません
今年もよろしくお願いいたします☆
ぴったりきたのは、やはり私も呑み助?
正月の酒はやはり日本酒でしょう。
酒以外にも造詣の深い話。きっと、すごい方なのでしょうね。
これから楽しみです。
グルメは云い過ぎで、食いしん坊万歳といった息子二人に育ってしまいました。うらぴょんさまなら頷いてくださると思いますが、成長期、運動部の男の子の胃は底なしで、エンゲル係数も無限大でございます。
こちらこそ、今年もよろしくお願い申し上げます。
呑み助2さま
はじめまして。ご訪問ありがとうございます!
お褒めに預かり光栄でございます。
決してすごい方ではありません、ただの呑み助です。
これからもよろしければ、ご愛読くださいまし。
どうぞよろしゅうに。
さすが海光さん、大二郎の家まで知ってたか。
ぜひ今度は秋山お父さん先生の家付近も紹介してくださいな。
はい、バッチリです!
秋山小兵衛の家かぁ。今は護岸されていますね。舟着場もあるあの風情はないですけど、今度機会あればご紹介させていただきやす。
せっかくの俳号。春の句会に一度おいでくださいませ。