週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

旬の野菜喰らう!

2011年06月20日 | ☆文学のこと☆

梅雨真っ盛り、皆さんいかがお過ごしかな

ここ浅草ではお祭りの中止が相次いだ淋しい、皐月、水無月でやんした。

なれど、お富士さんこと、植木市は無事開催された。次回は6月25日、26日の予定。
規模は縮小されたが、季節の風物詩に出会えるってぇのは、やっぱりうれしい

そして、7月合羽橋の「七夕祭り」6~10日に、観音様の「ほうずき市」9、10日と続く。
      *おそれ入谷の鬼子母神、入谷の朝顔市は残念ながら中止。

ちょいと早いが、尊敬する大兄から句作が届いたので、ご紹介。

    「ほおずきの、君の手に触れ宵の市」
                         正木                   


季節を感じることは、人々の暮らしの中の平穏を保つためにも大切なことなんだ。





さて、タイトルの、「旬の野菜喰らう」である。

現在は、農業技術の進化、肥料やハウス栽培など技術革新により、冬でもきゅうり、トマトを食せる時代。
それって、やっぱ変?
夏野菜は、いまこの時期からが本番
本物の野菜の旨味を味わうには、旬なくしてはありえないのだ。
今回ご紹介する本もその旬の野菜を素材にして、書かれたもの

そう、イノウエミホコ氏の「男子弁当部」の続編である。

                   
              「男子弁当部」第1巻、第2巻

「男子弁当部」2  ―弁当バトル!野菜で勝負だ!!
                 (イノウエミホコ・作 東野さとる・絵)ポプラ社刊

第1話では、男子弁当部の結成、そして最初の活躍が描かれている。
誰にでも敬語で話す不思議な、でも優しい母さん、考古学の教授で単身赴任中の父さん、日本全国で暮らす夢を実現するため放浪中の兄ミライ、この4人家族で構成される手良ソラの家族。
ありえなさそうで、どっかで聞いたことある衛星家族(まるでTファミリー)。
主人公ソラは留守がちの父と兄に代って、栄養学を教える多忙な母さんを補佐するために調理するようになった。今では小学5年生ながら、料理歴4年のベテラン料理人。
こんな子ホントいるの?ってくらい、一見クールでシャイ、でも有言実行できるかっこいい男子だ。
ソラの持つ魅力が分かる友達が集まってくる。
それがお調子ものの滝口ユウタに、しっかりものの高野タケル。
ここに、北原レイラ、母さんの友人ミズホさんがスパイスとなり、美味しい弁当ができるのだ。
そう、男子弁当部の誕生である

読者の期待度っていったら、いわゆる続編のハードルは高いはずである。
それゆえ、書き手の真価が問われるのだ

さぁて、どきどき、わくわくしながら続編のページをめくる。
そんな本に出会えるのも、幸せなことだ。

まず、子供フリマのチラシが目に飛び込んできた。市役所勤めのミズホさんが仕掛けた、男子弁当部の新たな出番からお話がスタートする。たくさんの料理を手がけてきたソラだったが、このところ気になることがある。旬の野菜が持つ色と香りと存在感。
メニューは弁当部のメンバーと決めたはずだったが・・・

祖父と一緒に野菜作りをする新しいキャラクター泉田ジュキの登場が、この第2話に広がりを見せる。
自然から恵まれる水、たっぷりとふり注ぐ夏の日差し、豊かな土壌。
畑を育てる人間の愛情が、旬の野菜に魔法をかけたごとく、甘く瑞々しい命を与える。
旬の野菜にこだわるソラとジュキ、二人のこだわりが今回の見もの、なのだ。

○○を使った鮮やかなイエローライスに、夏野菜の素材を活かした視覚も、味覚も楽しめるとっておきのサプライズの弁当が待っている

ラストには、次作への伏線、ソラとほのかに思いを寄せる北原の意味深なやり取りも・・

ところで・・せっかくの衛星家族。
父さんの暮らす山形の地の物、ミライの訪れる多種多様な町の調理法。そんな地産地消の食もあれこれと取り入れたら面白いと思う。
例えば、父さんが暮らす山形には馬肉や山菜に蕎麦がある。北海道のアスパラにポテト、新潟の川魚、栃尾の油揚げ、徳島のカボスに香川のうどん、宇和島のじゃこ揚げ、鹿児島の黒豚にサツマイモ、沖縄のゴーヤ、黒糖、どんどん取り入れて、シリーズを長く続けてほしい。
そうです、寅さんのように・・・(映画化だってありえる

筆者としては、下町の味にこだわった弁当も登場させてほしいなぁ。
しょっぱい味付けは、お弁当に最適のはず。

そんな楽しく、美味しい男子弁当は、この本をめくればすぐに味わえる!

まずは、弁当箱を開かなきゃ、損、損。

さぁ、みんなで旬を丸ごと喰らおう

そんな野菜本来の魅力がギュっとつまった、野趣溢れる児童文学の誕生だ


     「炎天下 がぶりとトマト汁あふれ」
                         海光 



今夜は、よ~く冷やしたきゅうりに天然塩をぶっかけてそのままいただこう
きっとビールがうまいはず(おっと、児童文学の紹介でした)

では、お後がよろしいようで・・・


2011年6月20日現在 TOTAL828.3km