福岡、大分県の大雨被害に驚いています。お見舞い申し上げます。
京都の植物園では巨椋(おぐら)系のハスが多く見られます。
巨椋系ハスの名付けの元となったのは京都にかつて存在した巨椋池から来ています。
巨椋池は古代より京都府南部、現在の京都市伏見区・宇治市・久御山町にまたがる場所にあった池で、
当時の大きさは日本最大規模の池でした。
豊臣秀吉による伏見城築城をはじめとする土木工事などにより姿を変え、1930年代年の干拓事業で農地に姿を変えました。
巨椋池は古くから景勝地として有名で、古くは『万葉集』にも出てきます。
農業や漁業も行われ、多様な動植物の生息地として多くの人に恩恵を与えてきました。
沿岸のヨシは京都御所の屋根や簾として用いられ、周辺地域の宇治茶で碾茶や玉露を作る覆いとして用いられました。
蓮も有名で大正期頃蓮根栽培とともに、京阪神向けのお盆用の花蓮も栽培されてきました。
干拓後は京都大阪に近接した一大農業地帯として、米や野菜などが生産されています。
この巨椋池で咲いていた蓮の種子が保存され、現在の巨椋系蓮となっています。
巨椋の紅霞

巨椋の白鳥
京都市伏見区向島にある府立商業高等学校(現府立京都すばる高等学校)で採取されたもの。
花弁が大きく花托上面は濃緑で、内弁数枚が内側に曲がり、白鳥が飛び立つ様子から命名。


巨椋斑
昭和初期に巨椋池で採取されたものが京都伏見の西運寺に奉納されていたもので、干拓される前に採取された唯一のもの。

清所の本紅
品種名は地名に由来。昭和45年頃宇治市北遊田請所の水田で発見した実から育成したもの。
つぼみの時から緑色地に濃い桃色の花弁、開花しても茶碗型で丸弁有条の八重咲きで、
最後までほぼ茶碗型を保ち、花弁は中心部の花托を包み散乱しない。

佐古外屋敷
巨椋池系品種で品種名は地名である。


巨椋の炎
巨椋池系品種の中で一番濃い紅色で、それが品種名の由来になっている。
つぼみはふっくらとした円錐形で先端の丸いことが、時折炎のように弁先がねじれる花を生じさせる。


にぎりめし
品種名は通称に由来。久御山町百間切地内で採取。
「にぎりめし」とは採取場所の上空から見た形がにぎりめしに似ていることから付けられた。花弁全体が淡桃色で弁先が若干濃い。


巨椋の瑞光

巨椋の華


巨椋の曙
開花1日目は白緑色で淡い桃色がかかり、2日目は弁先だけが淡桃色で全体は白色になり、3日目は白花となる。
見る花や時間によって花色が変化するため、当時の巨椋池の漁師仲間では「キツネ」と呼ばれた品種です。

以下は巨椋系以外の品種
春不老


印度デリー大学

毎葉蓮
江戸時代にはすでに栽培されていて花上がりが良いところから呼ばれたようです。

桜蓮
江戸時代には広く普及していたと思われ、蓮図譜に掲載されているそうです。
別名 白川紅蓮と呼ばれ、白川候(松平定信)が愛培されていたそうです。


清湖蓮


桑名白
名古屋を中心として中部地方に古くより栽培されてきた白蓮です。

賽佛座

ペリーヌジャイアントサンバースト

姫蓮
弁は剣弁で細い。花色は赤色、葉は小さく花立ちがよい蓮です。

月の兎
ほんのりクリーム色がかった白い八重の蓮です。

ミセススローカム
アメリカ黄蓮種と紅色八重種(ローズ・プレナ)の交配により育成されたものです。

明光蓮

見た目にもどこが違うのかな? と思うのもありますね
植物園のハスは品種が多いです。ピンクと白がほとんどですが、表示名がないと全くわからないです。
どこが違うのかと思うのも多いです。
ありがとうございます。