NHK日曜美術館アンコール放送8月25日
宇宙の器 器の宇宙 ~陶芸家・河井寛次郎~
私が河井寛次郎の作品をある程度まとまって見たのは、たしか大原美術館だったと思います。また、近場では河井寛次郎記念館、京都国立近代美術館の常設展示でも観賞しました。
しかし、私は河井寛次郎の作品をどう表現していいのかわからないのです。
あの個性的な形、色使い。圧倒的な存在感。
作品を前にすると、寛次郎の作品に込めた思いが読み取れず、
途方にくれてしまいます。
昭和32年の映像が写し出されます。
この年、イタリアのミラノ・トリエンナーレ国際陶磁器展でグランプリを受賞します。
人間国宝や文化勲章をかたくなに固辞した河井寛次郎の珍しいインタビューが始まります。寛次郎の横にはつね夫人と棟方志功がいます。
寛次郎は出品された作品は、「持っていた友人が自分に黙って、勝手に出品したものである。だいたい自分は、モノを競うことに興味をもたないんです」。
そして最近花器の作品が多いことの質問には、寛次郎は、「花器の形がおもしろいので、
いろいろな形をつくっている。だから、花器に使えるか使えないか、そんなことはわからない」と答えます。
寛治郎の人と創作思想がよくわかります。
河井炻次郎(1890-1966)は、 民芸運動をけん引した日本を代表する陶芸家です。
民芸運動を起こした柳宗悦との交流から“用の美”に目覚め、作風は一転します。
「銘」を入れることさえ辞 め、名もなき陶工の道を歩み始めます。
そして戦後は、“用の美”を超越した異形の作品の数々を作り出しました。
私は番組を見終わりましたが、まだ悶々としています。
まだ河井寛次郎とその作品をどう表現していいのか言葉がでてきません。
巨大な壁のようです。